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人生日々挑戦
「よかったね、高橋大輔選手!!メリークリスマス!!」
2013年12月24日
テーマ:人生
私がブログ記事を書き始めてから、あと二、三日で、6か月になる。
ブログ記事を読んで下さる方々がどういう人かは私には分からない。分からないが、自分なりに想定しながら、記事を書いている。
ブログ記事を書く目的の一つは、私の考え方や見解を人に伝えたいからである。伝えてどうなるか、これも分からない。分からないが、伝えるだけは伝えたい。ブログとはそういうものだと、私は理解している。
そこで、若い人々に伝えたいことがあるので、それについて書いていく。
人生には、どうしても勝負をしなければならないときが何度かある。
勝負に当たってのパターンは、三通りある。?勝てそうな場合、?勝つか負けるか五分五分の場合、?負けそうな場合、の三パターンだ。
?勝てそうな場合でも、手を抜いたり、油断したりすれば、負ける。?勝てそうな場合は、余裕があるから、余裕を持ちつつ、全力を出すことだ。そうすれば、勝つ。
?勝つか負けるか五分五分の場合は、決して消極的になってはならない。消極的になる、換言すれば、逃げると、負ける。逃げないで向かっていくことだ。五分五分の場合だから、逃げないで向かっていっても、勝負は五分五分だ。しかし、逃げると、確実に負ける。
?負けそうな場合は、逃げると、負ける。負けそうな場合だから、逃げないで向かっていっても、まあ負ける。しかし、逃げないで向かっていくと、勝つことはあり得る。
?負けそうな場合でも、逃げないで向かっていくと、勝つことはあり得るのだから、勝負をしなければならない。また、勝つことはありえないと思われる場合でも、どうしても勝負をしなければならないときがある。人生とは、そういうものだ。
逃げて負けるのと、逃げないで向かっていって負けるのとでは、負ける点では同じだ。しかし、納得感の点で違ってくる。負けても、逃げないで向かっていったという納得感が大事なのだ。逃げて負けると、納得感がないどころか、悔やむ心が消えない。人間とは、そういうものだ。
だから、勝負に当たっては、決して逃げてはならない。
来年2月に開催されるソチ五輪の出場権をかけて、フィギュアスケート全日本選手権が12月21日から23日まで、埼玉県さいたま市のさいたまスーパーアリーで行われた。
前回2010年バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔選手は、21日のショートプログラムで4位と出遅れた。22日のフリースケーティングでは、2度の4回転の失敗を含め、ジャンプでミスを連発し、5位に沈んだ。この結果に関して、メディアは、異口同音に、高橋大輔選手の3大会連続の五輪出場は厳しい状況と伝えた。
今シーズンは不調で推移していた高橋選手は、11月上旬に開催のNHK杯で優勝し、ソチ五輪に向けてスイッチが入ったように見えた。不調な高橋選手にやきもきしていたファンは、やっと胸をなでおろした。さあ、これからだ。
しかし、高橋選手は、11月26日、練習中に右足のすねを負傷した。痛めたのは、右膝の下で、5年前に前十字靱帯を断裂して手術を受けた箇所だった。
5年前の大けがのときは、それを克服し、2010年バンクーバー五輪で銅メダルに輝いた。
今回の負傷で、患部には炎症で水がたまり、今大会前も注射で水を抜いて出場した。体調は、万全の状態ではなかった。
NHK杯で優勝し、さあ、これからだという時で、ソチ五輪の出場権をかけてのフィギュアスケート全日本選手権の直前での負傷だ。高橋選手は、自らの不運に泣いた。
しかし、高橋大輔選手は、決めた。決して逃げないと。彼は、5年前に前十字靱帯を断裂したときも、決して逃げなかった。必死でリハビリをし、右足の筋肉も復活させ、2010年バンクーバー五輪にこぎつけた。その頑張りに、銅メダル獲得のご褒美が待っていた。
今回の全日本選手権の前に高橋選手の練習風景が放映された。そこには、不安げな高橋選手の表情があった。彼のこうした自信なさげな姿は、初めて観た。よほど足の状態が悪いのだ。おそらく、右足は痛むのだろう。
高橋選手のフリー演技が始まる。冒頭の4回転トーループ。決まった、と思った。しかし、着地の瞬間、転倒。右足の痛みさえなければ。後で分かったことだが、両手をついた際に右手を負傷して流血が続く。
2つ目の4回転は回避する選択肢もあり得る。しかし、高橋選手は逃げなかった。果敢に挑戦し、両足着氷。
4回転ジャンプは、二度とも失敗したが、世界の高橋大輔として定評のあるステップとスピンで観客を魅了した。
どんなに辛く苦しくても、決して逃げない。転んでも立ち上がり、右手から流血しながらも、ジャンプを跳び続けた。高橋選手は、決して逃げなかった。
高橋選手のフリー演技が終わった瞬間、1万8,000人もの大観衆が総立ちで、高橋選手を讃えた。鳴りやまない拍手を浴びながら、高橋選手は、四方に向かい、深々と頭を下げた。
テレビカメラに映る高橋選手の顔は、かすかな笑みが浮ぶともに、涙している。そして、カメラが映し出す右手からは赤い血が滴り落ちている。
かすかに浮ぶ笑みは、決して逃げずに死力を尽くしたという高橋選手の誇りがそうさせている。そして、それ以上に鮮烈に映る涙は、右足のけがのために、自分の演技ができなかった悔しさの現われである。
演技が終わってから、高橋選手に対するテレビのインタビューが始まった。彼の姿を観るのが辛かった。
目を真っ赤に腫らして言葉を絞り出した。「いや…、全く…、自分の演技が…」と言いかけて、嗚咽が止まらず、しゃべれない。たまらず、カメラの前を離れ、奥に引っ込んだ。
再び姿を見せると、彼は、涙ながらに、声をふりしぼった。
「自分の演技ができなかった。それが一番悔しい。ミスを重ねていくごとに、これで終わったのかなという気持ちが強くなった」
高橋選手は、自分の演技ができなかったのが悔しいとは言うものの、右足のけがのせいにはしない。けがには触れないのだ。そして、驚くことに、演技をしながら、自分を見つめている高橋選手がいる。最高レベルのアスリートが持つ底力である。
「自分自身への情けない気持ちと応援してくれた皆さんにパワーを返せなかったことが悔しい」
高橋選手は、応援してくれた日本国民に応えれないことが悔しいと言う。
「でも、これが自分の実力。受け止めたい。僕のスケート人生で一番苦しかった全日本でした。その厳しい壁を乗り越えられなかった自分自身に対して、もっとできるはずの自分がいるという気持ちもあるんですが。それができなかったことが悔しいんです」
この発言には、決して逃げない高橋選手の真骨頂がよく現れている。
インタビューの中で、「これで最後の演技になるかもしれないと思ったら、ありがとうございますという気持ちだった」と語っている部分は、スタンディングオベーションに対して彼がかすかに浮べた笑みについて言っているものだろう。
12月23日、女子のフリースケーティングが終わり、ソチ五輪の男女の出場権をかけたフィギュアスケート全日本選手権は幕を下ろした。
会場のさいたまスーパーアリーナで、ソチ五輪の男子の代表が発表されていく。
最初は、羽生結弦選手の名前がコールされた。会場から沸き起こる歓声。
次は、町田樹選手だ。これまた沸き起こる歓声。ここまでは、誰しもの予想通りだ。
最後の三人目の発表だ。大観衆が固唾を呑む。
「高橋大輔!!」 その瞬間、会場全体がどよめいた。それは、驚きの声ではない。高橋選手に対する期待と祝福の声である。会場を埋め尽くした大観衆は、高橋大輔選手が選出されることを望んでいたのだ。
ソチ五輪のフィギュアスケートでは、日本は、男女とも金メダルを獲る。ただし、そのためには、条件がある。その条件とは、日本は、フィギュアスケートの男女6人のチームジャパンとして、向かっていく必要があり、そのメンバーには高橋大輔選手がいなければならないということだ。
前回2010年バンクーバー五輪の銀メダリストである浅田真央選手がいるだけでは、だめだ。銅メダリストの高橋大輔選手がいなければならないのだ。
なぜ分かるのか? なぜもなにも、分かる。津軽のシニアブロガーは、海千山千の人生の経験者だから、分かる。
「うそだと思ったら食べて下さい」 や「みそだと思ったら食べて下さい」ではないが、「うそだと思ったらソチ五輪を観て下さい」である。
それにしても、「よかったね、高橋大輔選手!!メリークリスマス!!」
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