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「浅田真央選手と天国のお母さん」 

2013年12月08日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

 冬のスポーツの花形種目、フィギュアスケートは、競技者自身の自分との闘いが大きな要素を占めるスポーツ種目である。

 フィギュアスケート大会では、演技種目で高い得点を挙げた選手が勝つ。大会で得点を稼ぐためには、当然、毎日毎日練習しなければならない。

 そして、練習でできることを本番でできなければ、負ける。練習で高確率ではできないことを本番でできれば、勝つ。

 練習でできることを本番でできないのは、なぜか? いくつかのパターンがある。

? 練習でできるのに、本番で急にできるかどうか不安になって、できない。

? 相手選手のでき具合を目の当たりにし、ここで決めれば勝てると思い込んで、力が入った瞬間、できない。

? 練習でできることはできるが、高確率ではできない場合、やっぱりできない。

 これらを考えれば、フィギュアスケートは、自分との闘いの要素が大きいとの思いが強くなる。

 大会本番で勝つためには、練習で高確率でできることと、本番では、無我の境地で、無意識に、自信一杯で、できることが必要不可欠だ。

 そして、ジャンプは、一つ目ができ、二つ目も、三つ目も、という具合に、次から次に成功し、気がついたらフィニッシュといった感じがほしい。

 優勝するためには、ジャンプだけでなく、ステップ、スピン、シークェンスなどでも、高得点を稼ぐ必要がある。

 かくして、フィギュアスケートでは、自分との闘いに負けてミスが出れば、ジャンプしてゴロッと転び、また、ジャンプしてゴロッと転びの連続となる。

 自分との闘いに勝つためのポイントは、どこまで自信が身について本番に臨むかである。


去る12月5日から7日まで、フィギュアスケートのグランプリファイナルが福岡市のマリンメッセ福岡で行われ、男子では、羽生結弦(ゆづる)選手が初優勝を飾った。
 

 12月5日夜のショートプログラム(SP)で、羽生選手は、4回転ジャンプ等のジャンプがすべて成功するなど、練習で高確率でできることを、本番では、無我の境地で、無意識に、自信一杯で、できた。羽生選手は、自分との闘いに勝った。その結果、SP世界歴代最高得点を更新する99.84点での首位となった。

 問題は、翌12月6日夜のフリー演技のできだ。

 羽生選手は、フリー演技で、自分との闘いに勝てば、優勝する。練習で高確率でできるのだから、本番では、無我の境地で、無意識に、自信一杯で、やるだけだ。それができれば、勝つ。

 羽生選手の相手は、SPで2位につけているチャン選手であって、チャン選手ではない。羽生選手の闘う相手は、自分自身だ。

 羽生選手の心臓は、チャン選手の演技がスタートしたあたりから、ドキドキハラハラの状態が続く。

チャン選手の演技は、意識的に見なかったが、観客の歓声でチャン選手のできが良かったことは分かる。

 場内に羽生選手の名前がコールされた。その瞬間、羽生選手の心臓のドキドキハラハラがピタッと止まる。


 観客の歓声でチャン選手のできが良かったことが分かり、羽生選手は、「チャン選手よりいい演技をしよう」
と思った。この「チャン選手より」という意識が演技に影響した。
 冒頭の4回転ジャンプ。「チャン選手より」と意識し、力が入った瞬間、羽生選手は、ジャンプしてゴロッと転んだ。

 これまでの羽生選手なら、最初の失敗後、「羽生さんちのゆづる君」の悪い方の面が出る。アレレッ、アレレッ、と泡食ってしまうのだ。

 しかし、12月6日夜のフリー演技では、そうはならなかった。

 冒頭の4回転ジャンプでゴロッと転びながら、「俺は何をヘンに意識してやってんだろう。自分の持てる力を出し切ればいいだけだろうが」と思い直した。

 その後のジャンプをすべて決めるだけでなく、最後は、疲労困憊で、スッと立ち上がれないほどに、力を出し切った。

 その結果、羽生選手は、グランプリファイナルで初めて優勝した。フリー演技、合計演技とも自己最高得点を更新し、フリー世界歴代2位となる193.41点を記録した。

 羽生選手は、フリー演技の冒頭における4回転ジャンプ転倒で、思いを切り替え、自分との闘いに勝った。
今回、総じて、羽生選手は、練習で高確率でできることを、本番では、無我の境地で、無意識に、自信一杯で、できた。

 一方、女子では、浅田真央選手が合計得点204.02点で2年連続4度目の優勝を果たした。 

 ショートプログラムでは、浅田選手は、72.36点でトップに立った。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)では、着氷させるが、回転不足を取られた。しかし、続くトリプルフリップをきれいに決め、全体として、安定感あふれる演技だった。

 SPで、回転不足となりはしたものの、トリプルアクセルに挑んだこと自体が今後の浅田選手を占う最大のポイントである。

 前回、2010年2月開催のバンクーバー五輪で銀メダルを獲得した後、一頃の浅田選手の演技を観るたびに、「あれね」かった。「あれね」とは、津軽弁であり、はらはらする、気が気ではない、という意味である。

 テレビ画面に向かって声援を送るたび、「あれね」状態がずうっと続いた時期がある。その頃の浅田選手は、トリプルアクセルに挑むどころではなかった。トリプルアクセル以外の難度の低い演技ですら、やってみなけりゃ分からない感じだった。


 しかし、ここにきて、最近の浅田選手は、かつての悪い状態とは全く違う。今回のグランプリファイナルのショートプログラムでの演技は、観ていて、堂々たるものだ。「あれね」感じは、みじんもない。
 冒頭のトリプルアクセルは、成功したように見え、惜しくも回転不足を取られたと言っていい。


 最近の浅田選手は、練習で高確率でできることを、本番では、無我の境地で、無意識に、自信一杯で、できる。

 
 浅田選手のこれまで。めんこい真央ちゃんの時から、今シーズンをフィギュアスケート人生の集大成と位置付ける大人の女性に成長した浅田真央さん。

 この間の全体を振り返り、来年2月開催のソチ五輪を展望するとき、浅田選手が前回のバンクーバー五輪の金メダリストである韓国のキム・ヨナ選手を破り、金メダルを獲得する鍵は、トリプルアクセルの成功にある。それも、トリプルアクセル2回の成功がほしい。

 今回のグランプリファイナルのフリー演技が終わった後のインタビューで、浅田選手は、次のように語っている。

 (トリプル)アクセルジャンプを2回挑戦したが失敗して、途中から体力が持つかなと心配だったが、滑り切ることができた。挑戦できたのは次につながる。(この次も)必ず跳ぶという気持ちで臨みたい。

 浅田選手にとっても、フィギュアスケートは、自分との闘いだ。大会本番で勝つためには、自分との闘いに勝ち、練習で高確率でできることを、無我の境地で、無意識に、自信一杯で、できることが必要不可欠だ。

 今回のグランプリファイナルのフリー演技で、トリプルアクセルに2回挑戦し、2回とも失敗したのは、なぜか。

 フリー演技直前の練習時、浅田選手は、落ち着き払い、気合い十分に見えた。気合いが入りすぎたがゆえにトリプルアクセルに2回とも失敗したとみる向きがあるかもしれない。

 しかし、失敗は、気合いが入りすぎていたからではない。フリー演技の直前練習で、浅田選手は、最初のトリプルアクセルに成功し、2回目は、転倒した。ここがポイントである。


 浅田選手は、トリプルアクセルに2回挑戦する際に、1回目は確実に成功するレベルに到達している。
 しかし、2回目は、1回目成功による勢いが良ければ、成功する。つまり、2回目成功は、本番での一本勝負なのだ。それほどに、トリプルアクセルの2回連続成功は、至難の業である。

 だから、浅田選手は、フリー演技の直前練習でのトリプルアクセルの試技は、1回だけにすべきだ。

 本番で、ジャンプは、一つ目ができ、二つ目も、三つ目も、という具合に、次から次に成功し、気がついたらフィニッシュといった感じの過程の中で、トリプルアクセル1回目成功、続いて2回目成功という流れになるのだ。

 今回、フリー演技の直前練習で、浅田選手は、最初のトリプルアクセルに成功したが、2回目は転倒したことにより、急に、本番でのトリプルアクセルができるかどうか不安になった。

 急に、できるかどうか不安になって、本番では、トリプルアクセルへの挑戦が、1回目失敗、2回目も失敗と続いた。

 しかし、浅田選手がトリプルアクセルに2回とも失敗したのがソチ五輪の前であるのは、幸いである。
 今回の失敗で、ソチ五輪でのトリプルアクセル2回連続成功を成し遂げるには、どうすればいいのかを完璧に会得したからだ。換言すれば、浅田選手は、自分との闘いに勝つすべを会得したことになる。


 来年2月開催のソチ五輪では、浅田真央選手が韓国のキム・ヨナ選手とのライバル対決を制し、金メダルに輝くことを、日本中のファンが熱望している。

 だが、浅田選手の金メダル獲得を誰よりも望み、それを後押ししてくれるのは、天国にいらっしゃる浅田選手のお母さんだ。
 お母さんとのお別れがあった時以降、浅田選手は、本当によく頑張ってきた。調子が良くなかった時期が続いたにもかかわらず、一生懸命精進を続けてきた。
 お母さんは、浅田選手の努力を常に見守り、後押ししてくれている。

 そして、お母さんの娘は、真に強くなった。2か月後、娘は、凛としてソチ五輪のリンクに立つ。

 浅田真央選手よ、お母さんがおっしゃっている。

 「真央、貴女の闘う相手は貴女自身よ。練習でできることを、本番で、無我の境地で、無意識に、自信一杯で、やるだけよ。頑張れ、真央! いつもお母さんがついているよ」

 


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頑張ってほしい

さん

wasaoさんのブログの描写で羽生選手の演技が鮮明に思い出せました。
そして真央ちゃんには本当に頑張ってほしいですね。お母さんの事、当時とても気の毒に思いました。テレビに映る表情には出さないものの、どれだけ悲しかっただろうかと思いました。真央ちゃんのお母さん、wasaoさんの書かれているように見守ってくれてますね。

2013/12/09 00:11:17

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