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「こけ女」 

2013年11月14日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

今、「こけ女」が流行っているそうだ。

 
 「こけ女」と初めて聞いたとき、こける女子を連想した。こけるは、転けるで、ころぶ女子だ。まあ、最近の女子の中には、丸々とお太りあそばしている女子もいて、よくこけるから、こける女子で「こけ女」かなと。

 あるいは、逆に、やせこけるのこける、つまり無理なダイエットの挙句に頬がやせこける女子という意味で、こける女子で「こけ女」かなと。

 しかし、体型にはまったく関係がなかった。

 「こけ女」とは、「こけし女子」を略した表現で、「こけし女子」とは、こけしに魅せられた女子をいうのだそうだ。

 近年、とりわけ2011年3月11日の東日本大震災の発生後、「こけ女」の流行り方が顕著になっているらしい。

 東京や大阪など、大都市でこけしの展示即売のイベントが開かれると、会場は女性で埋め尽くされ、「かわいい」の声が飛び交い、熱気にあふれ、こけしたちは、タジタジだそうだ。
 「かわいい」を連発する女子はと見やれば、かわいいのもいれば、かわいくないのもいる。丸子もいれば、細子もだ。若いナオン もいれば、オバンもいる。オバンがいるのは、夜の開催のときだなと想像したら、昼の開催でもいるそうだ。

 私たちの周りには、小さい頃から、どこの家庭でも、こけしの二体や三体はあり、日常生活の中でなにげなしにおつきあいをしてきている。だから、最近、「こけ女」の流行り方が顕著だと聞くと、なんで?と思ってしまう。


 我が青森県の津軽は黒石市に、津軽こけし館がある。 

 黒石市は、青森県のほぼ中央に位置しており、三方に津軽平野、東に八甲田連峰が連なり、十和田国立公園の西玄関口に当たる。
 自然豊かで、豊富な温泉に恵まれた古くからの城下町である。津軽地方は、江戸時代、津軽藩十万石の領地であるが、その支藩が黒石藩だ。
 味の良い「黒石米」と「黒石りんご」の産地として知られ、人口は36,000人ほどだ。
 黒石市は、大きな街ではないが、約70店舗もの焼きそば屋があり、近年、B級ご当地グルメの「つゆ焼きそば」の街として有名だ。
 それと、「錦秋の小嵐山・中野もみじ山」の人気が高く、10月中旬から11月上旬にかけての紅葉シーズンには、県内外から10万人もの観光客が訪れる。

 津軽こけし館は、全国から集められた表情豊かな4,000本ものこけしが展示されている「こけしの殿堂」だ。そのホームページを見てみたら、いろいろなことが勉強できた。 

 私は、こけしは日本全国にあるものだと認識してきた。この場合の全国にあるとは、全国の各地方、九州、四国、近畿、関東等々におしなべてあるという意味でだ。

 しかし、こけしは、東北地方にだけ生まれ、東北地方にだけ育ったという特殊な木地玩具であった。

 古来、日本全国に木地師(きじし)と呼ばれる職人がいた。木地師とは、轆轤(ろくろ)を用いて椀や盆等の木工品を加工し、製造する職人だ。どこでも、椀や盆等の木工品は日常の必需品だから、木地師はどこでもいた。

 ところがだ。江戸時代末期(文政から天保にかけての時期)頃から、東北地方の木地師たちは、仕事のない冬場に湯治に訪れた温泉地で、お土産用の木地玩具を作るようになった。それがこけしである。

木地師は、日本全国にいるが、こけしは、なぜ東北地方にだけなのか。
 おそらく、こけしは、徒弟制度の中で厳しく伝統を守って作られていった歴史からすれば、粘り強く、我慢強い東北人にだけ担うことができたということだろう。

 こけしは、産地によって形態や模様に特徴があり、現在は、東北全域で11系統に分類されている。県別に見れば、青森、岩手、秋田、福島の各県に1系統、宮城県に4系統、山形県に3系統ある。

 なお、東北地方以外でもおみやげ物としてこけしと称して売られている木工玩具がある。これは、「新作こけし」であり、「創作こけし」である。厳しい徒弟制度の下で育まれた「こけし」は、伝統こけしとして東北地方にだけにしかない。

 
 東北地方以外の人々は、伝統こけしが持つ優しさ、やすらぎ、癒し、穏やかさといった風情を近年まで知らなかったといえるのだろう。

 東日本大震災の発生を契機として、被災地が東日本大震災からの復興に立ち向かうのを日本全国の人々が応援してくれている。被災地応援ツアーで訪れる人々などもたくさんいる。
 その中で、自然と東北地方全体にも目が向く。

 そして、日本全体が長い低迷期の中で苦しみ、日本人がなにかしらの喪失感にさいなまれてきたといえる。

 こうした背景が「こけ女」の流行り方の顕著さをもたらしているということだろう。

 今日も、「こけ女」は、さまざまに「こけ女」活動にいそしんでいる。

 ある者は、仕事から帰ってきたら、こけしに話しかけ、ビールで乾杯をする。

 ある者は、こけしの素朴で愛くるしい姿を求め、東北に足を運ぶ。黒石市の津軽こけし館にも「こけ女」は、出没している。こけし工人との会話を楽しみ、伝統こけしや創作こけしを手に入れ、ほっこり笑顔で帰っていく。

 ある者は、恋に破れ、北への旅に出る。(こけしちゃんに会いたい)と思うのだ。

 「こけ女」をさまざまに魅了してくれるこけしたち。東北人の一人として、こけしにも「こけ女」にも深甚なる感謝の意を表さなければならない。



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