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逆転の発想・つゆ焼きそば 

2013年09月22日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

 17世紀フランスの思想家パスカルは、「人間は、自然の中で最も弱い一茎(ひとくき)の葦にすぎない。だが、それは、考える葦である」と述べているそうだ。

 人間は、考える葦である以上、人生においては、発想が大事であるし、正攻法の発想とともに、逆転の発想も大事になってくる。

 「押しても駄目なら引いてみな」という言葉がある。この言葉は、逆転の発想の意味合いを物の見事に言い現わしている。

 こうすれば上手くいくと思うやり方でやってみたが、どうも上手くいかないなと感じたときに、その逆のやり方でやっみる。
 あるいは、誰が見ても、失敗とか不運にしか見えない出来事が起こったときに、それを逆手にとって、成功とか幸運に導く出来事にするやり方をしてみる。

 これが逆転の発想である。

 だから、逆転の発想を言い現わす言葉は、「押しても駄目なら引いてみな」だけでなく、「引かれて駄目なら押してみな」もだし、「失敗に見えるなら成功なんだとアピールしてみな」もだし、「不運だと嘆きたくなるなら幸運に変えてみな」もそうだ。

 焼きそばは、フライパンや鉄板プレートで焼いて作る。

 まずは、油を敷いて加熱する。焼きそばに入れる野菜を下炒めするのだ。肉好きの人は、肉を混ぜて炒めるのも、おいしい。強火で1分足らず炒めたら、取り出す。

 次は、そばを炒める。水を少し加えてほぐしながら炒めれば、スムーズにいく。

 適宜、ソースを絡める。ソースは、人の好みによるが、濃厚なブルドックソースなんかがいい。
ソースだけでなく、醤油をたらすのも、味が深くなっていい。コショウを少しかけると、味が締まる。

 いいところで、下炒めしておいた野菜を加える。肉やソーセージを入れるのを忘れてはいけない。

 まあ、こんなところで、出来上がりだ。いただきまあす、となる。普通はね。

 ところが、青森県は津軽地方の黒石市の食堂で、ある時、そうはいかなかった。

 その黒石市の食堂では、昼時、周辺のサラリーマンたちで大変賑わう。焼きそばとラーメンが人気メニューのベストワン、ツーだ。

 作るのは、食堂の親父が一人でやる。50がらみの小男だ。昼時は、焼きそばを炒めながら、ラーメンを作る。一人での流れ作業が繰り返されるのだ。

 ある時、食堂の親父は、忙しさのあまり、炒め終えた焼きそばを、皿に盛るのではなく、ラーメン用のスープに放り込んでしまった。

エッ、親父は、思わず、後ろを振り向いた。誰も見ていない。ラーメンスープに放り込んだ焼きそば。親父は、急いで捨てようと思った。

しかし、団塊世代の親父には、できなかった。どうしても、捨てることはできなかった。

 なぜか。「日本人」と題する自由詩がある。その一番を掲げる。
  
1 戦争に負け 金もなく
  食べ物もなく やせ細り
 焼き芋を食い 麦飯食った
  日本人
  かの人たちは 今いずこ

 団塊世代の親父は、戦後すぐの頃、ろくに食べることができなかった。団塊世代は、もったいない精神の体現者なのだ。

 食堂の親父は、急いで、ラーメンスープ中の焼きそばを口の中に放り込んだ。

 エッ、再び、親父は、後ろを振り向いた。誰も見ていない。イケルジャン。こりゃいける 。

 ラーメンスープ中の焼きそば、「つゆ焼きそば」の誕生の瞬間だった。

 ラーメンスープに放り込んだ焼きそば。一見、誰が見ても、失敗だ。しかし、黒石市の食堂の親父は、それを逆手にとった。「失敗に見えるなら成功なんだとアピールしてみな」の言葉を実践したのだ。

 まさに、逆転の発想である。
 
「つゆ焼きそば」は、その意外性が受けて、大評判となり、瞬く間に黒石中の食堂に広まっていった。

 黒石市は、青森県のほぼ中央に位置しており、三方に津軽平野、東に八甲田連峰が連なる自然豊かで豊富な温泉に恵まれた古くからの城下町である。津軽地方は、津軽藩十万石の領地であったが、その支藩が黒石藩だ。

 十和田国立公園の西玄関口に当たり、味の良い「黒石米」と「黒石りんご」の産地として知られ、人口は36,000人ほどだ。

 黒石市は大きなまちではないが、約70店舗もの焼きそば屋があり、焼きそばとつゆ焼きそばを提供してくれる。

 これらの店舗を束ね、「黒石焼きそば」と「黒石つゆ焼きそば」というB級ご当地グルメを用いて「まちおこし活動」に一生懸命なのが「やきそばのまち黒石会」である。

 「やきそばのまち黒石会」の活動は、各種イベントに出展し、「黒石焼きそば」づくりと「黒石つゆ焼きそば」づくりを実演し、販売することにより、“やきそばのまち黒石”をアピールすることが中心である。
 
その活動は、青森県内はもちろん、全国で、毎年、10回程度展開されている。今や、「黒石焼きそば」と「黒石つゆ焼きそば」は、黒石市を全国にアピールするうえで最大の功労者である。
 それは、黒石市民の元気の素ともなっているのだ。

 「やきそばのまち黒石会」のホームページは、次のように語っている。

 「黒石焼きそばは、太くて平らな麺で、見た目は『うどん?』のように見えますが、食べるともちもちで、ウスターソースがよく絡み、独特の食感を生み出しています」

 「昔は『おやつ焼きそば』と呼ばれて10円単位で買えた子どものおやつだったりと、しっかりと地域に根ざしたご当地グルメなのです。今でも100円から食べれるお店があり、手作りのおやつ感覚でいただくことができます」

 そうか、「黒石焼きそば」は、戦後間もなくから連綿と続く歴史に培われてきたご当地グルメなのだ。黒石の人々にとっては、たかが焼きそばではない。黒石の人々の焼きそば好きが「黒石つゆ焼きそば」という逆転の発想に結実したということだろう。

 好きこそ物の上手なれを地で行くものだ。
 
「黒石つゆ焼きそば」については、次のように記述されている。

「『やきそばにつゆ?』『不思議な食べ物?』『新しいラーメン?』など色々なご意見をいただいておりますが、やはり一度食べてみないと、この食感は分からないと思います。だまされたと思って一度ご賞味ください」

 そのとおりだ。みなさん、どうか、だまされたと思って一度ご賞味してやってほしい。
 参考までに、「黒石つゆ焼きそば」の画像を掲げ、ブログ記事を終えることとする。



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故郷の焼きそば!

Mr.中年元気さん

私の生まれ故郷黒石の、つゆやきそばをアピールして下さり有難う。ところで一度も食べた事ないんですけど、
美味しいですかァ?
いつ頃から出だしたんですか?私がいた40年前は、
まだその様な焼きそばは、ありませんでしたね。

2013/09/23 19:36:24

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