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元祖「逆転の発想」 

2013年09月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

 17世紀フランスの思想家パスカルは、「人間は、自然の中で最も弱い一茎(ひとくき)の葦にすぎない。だが、それは、考える葦である」と述べているそうだ。

 人間は、考える葦である以上、人生においては、発想が大事であるし、正攻法の発想とともに、逆転の発想も大事になってくる。

 「押しても駄目なら引いてみな」という言葉がある。この言葉は、逆転の発想の意味合いを物の見事とに言い現わしている。

 こうすれば上手くいくと思うやり方でやってみたが、どうも上手くいかないなと感じたときに、その逆のやり方でやっみる。
 あるいは、誰が見ても、失敗とか不運にしか見えない出来事が起こったときに、それを逆手にとって、成功とか幸運に導く出来事にするやり方をしてみる。

 これが逆転の発想である。

 だから、逆転の発想を言い現わす言葉は、「押しても駄目なら引いてみな」だけでなく、「引かれて駄目なら押してみな」もだし、「失敗に見えるなら成功なんだとアピールしてみな」もだし、「不運だと嘆きたくなるなら幸運に変えてみな」もそうだ。


 青森県は日本一のりんごどころだが、津軽地方のりんご農家にとって、出来秋に台風被害を受けないことが一番の願いだ。
 春先から営々と励んできた農作業の成果として、りんご樹にたわわに実る真っ赤なりんご。それが、台風の直撃を受ければ、一瞬にして、すべての努力が水泡に帰するのだ。

 だから、台風が北上し始めれば、津軽地方のりんご農家は、気が気でない。
台風が日本海側を北上する場合は、まずは、津軽地方を直撃しないで太平洋側にそれていくことをひたすら祈ることになる。

 そして、ヤバイとなれば、台風でりんごが落下する前に、摘み取ることになるが、熟し終わる前に摘み取る分、値段は安くなってしまう。

 今から、22年前の平成3年9月28日早朝、台風19号が津軽地方を直撃した。最大瞬間風速が50メートルを越える暴風だ。いたるところで、立木がなぎ倒され、電柱が倒れ、建物が損壊し、トタン屋根が飛んでしまったほどの強烈な台風だった。

 台風通過後、りんご畑を見に行った農家の人々は、茫然自失だった。収穫前のりんごが樹から落ち、辺り一面に敷き詰められているのだ。9割方のりんごが売り物にならなくなってしまっていた。

 ちなみに、このときのりんごの被害は、被害面積が22,400ヘクタール、被害数量が38万8,000トン、被害金額が741億7千万円と、甚大なものであった。

 津軽地方のりんご農家にとって、これ以上の不運はない。大部分の人が打ちひしがれ、茫然自失の状態であったのも無理はない。

 ところが、この不運な状況を逆手にとって、危機的状況を打開する提案が若手りんご農家からなされた。

 最大瞬間風速が50メートルを越える暴風にも耐えて落ちなかったりんごを「落ちないりんご」と銘打って売り出そうというのだ。

 全国の神社で、受験生に縁起物として販売してもらい、併せてりんご栽培復活の一助にしようというアイデアだ。

 危機的状況のときに、若い人の柔らかい発想が打開策をもたらすという好例である。

 まさに、「逆転の発想」だ。

 いつの世も、受験生は、合格のためには、わらをもつかむ心境だ。

 「落ちないりんご」は、壊滅的な打撃を受けた津軽地方のりんご農家救済のため、テレビや新聞で大々的に報道された。
これで全国的に有名になったこともあり、受験生の間のみならず、縁起物として、広く飛ぶように売れた。空飛ぶりんごのようだった。

 22年前の「落ちないりんご」は、その後も「逆転の発想」の好例として引き合いに出されることから、言わば、元祖「逆転の発想」である。


 あれから22年が経った。
 
 「落ちないりんご」は、平成3年に起こった出来事として、歴史に燦然と輝くものだと認識してきた。
22年前の台風19号による津軽地方のりんご農家の苦境を救ったヒーロー。

 しかし、どっこい、一過性のことで終わってはいなかったのだ。

ネットショップのウェブサイトは、次のように、語っている。

「『落ちないりんご』は、平成5年、法人組織に発展し、有限会社『落ちないりんご』を設立
 しました。
 産地からの直送を志向する新しい形態のりんご販売を行なっています。
 予約制の文字入りりんごや新鮮なりんごを使ったジュースやジャムを販売し、縁起物のりんごとして、現在では幼稚園受験から大学受験まで広く人気を集め、全国から注文を受けています。
毎年、受験シーズンには地元の中学校の受験生たちへ無料で贈呈されています」

 かなり繁盛している匂いがする。

 この手のものは、通常は一過性で終わる。ところが、「落ちないりんご」は、22年前に始まり、今日に至るまで、連綿として続いており、更なる発展を予感させている。

 これこそ、まさに「逆転の発想」である。

 やはり、人間は、考える葦だ。豊かな発想が素晴らしい。


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発想の転換

プラチナさん

"落ちないリンゴ"、良い話です。
人は窮地に立つと活きるために、無から有への発想を生み出すものなのですね。
何事も諦めたら、♪ハイそれまでよ♪

2013/09/21 21:13:27

窮すれば通ず

トパーズさん

逆転ホームランのように、ピンチをチャンスに変えた
青森りんご農家の方達の最後まで諦めない精神に
感服です。

2013/09/21 11:26:20

もう22年が経つんですかァ!

Mr.中年元気さん

私は、この年この台風の去った直後に、里帰りしたので
収穫前の真っ赤になったりんごが、赤いじゅうたん敷いたように、落ちていたのを目のあたりのしました。

「落ちないりんご」も、受験に落ちないようにとの願掛けから、売られた事も知っています。

あれからもう22年が経つんですねェ。

2013/09/21 10:44:12

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