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人生日々挑戦
雪割桜
2013年08月05日
テーマ:人生
俳句、川柳、短歌、五行歌を作るに当たっての私なりの基本がある。それは、五音からなる言葉と七音からなる言葉で綴るということだ。
五音あるいは七音からなる言葉は、綺麗な日本語、美しい日本語であることが多い。
また、五七五の音はリズムがいい。
五音からなる言葉と七音からなる言葉で綴るべし、ということは、五行歌でも十行歌でも一緒だし、自由詩を作る場合でも一緒だ。
私なりの基本が当を得たものかどうかは分からなかったが、先日、極めて強い味方が現れた。
その強い味方とは、詩人の西條八十先生である。
西條八十先生は、大正から昭和へと、「詩」によって常に時代をリードした稀有の詩人と称される。
その西條八十先生が私なりの基本どおりに、「七五 七五 七七 五 七五」で映画「青い山脈」の主題歌「青い山脈」の歌詞を書いているのだ。
しかも、「青い山脈」は、NHKの紅白歌合戦に並ぶ大型音楽番組で“夏の紅白”とも呼ばれる「思い出のメロディー」で国民からのリクエストのベスト5に入るほどの人気歌唱曲である。
私は、大変嬉しかった。
以下に、「青い山脈」の一番の歌詞を掲げる。
青 い 山 脈 (昭和24年)
作詩 西条八十 作曲 服部良一
1 若く明るい7 歌声に5 七五
雪崩は消える7 花も咲く5 七五
青い山脈7 雪割桜7 七七
空のはて5 五
今日もわれらの7 夢を呼ぶ5 七五
先日、「青い山脈」と題してブログを書いた。
そうしたら、「「青い山脈」でのゆきわりざくらって何でしょうかね」というご質問を頂戴した。
ゆきわりざくらは雪割桜と書き、主題歌「青い山脈」の一番に出てくる。
しかし、津軽に住む私たちは、主題歌「青い山脈」の歌詞を除いて、雪割桜という桜の名前を耳にすることはない。
津軽藩十万石の弘前城がある弘前公園は、2,600本の桜が生育し、そのうちのソメイヨシノは、樹齢100年を越すものが300本以上あって、元気に咲き誇ることから、日本一の桜の名所と言われる。
だのに、その中に雪割桜はない。
そこで、例によって、ネットで調べてみた。
そうしたら、高知県は須崎市に桑田山というところがあって、そこは雪割り桜の名所だという。で、次のような説明があった。
2月中旬〜3月中旬に、濃い桃色の美しい花をつける雪割り桜。正式にはツバキカンザクラ(椿寒桜)と言う。2月のまだ雪のある頃に咲くことから、雪割り桜と地元の人々に親しまれている。
桑田山全体には1,000本近くの雪割り桜の木があり、満開に咲き誇る雪割り桜を一目見ようと多くの見物客が訪れる。
驚いた。南国は土佐の高知の方々が雪割り桜と、しかも美しい日本語で椿寒桜を呼んでいるのだ。土佐の高知と言えば、豪快な男そのもののイメージだが、雪割り桜と呼ぶとは。
しかし、東京出身の西条八十先生が高知の雪割り桜という言葉を「青い山脈」の歌詞用いたとは思えない。
吉永小百合が主演した映画「青い山脈」は、青森県は弘前市出身の作家、石坂洋次郎の小説「青い山脈」を映画化したものである。
石坂洋次郎は、津軽の若者たちを思い描いて小説「青い山脈」を書いた。
津軽は、「青い山脈」からも連想されるように、美人の宝庫だ。津軽の女の子は、めんこい。
作家の石坂洋次郎は、作詞家の西条八十との間で、当然、津軽について、津軽の若者たちについて、津軽のめんこい女の子について、話をしたはずだ。
津軽平野のど真ん中に岩木山がある。津軽の富士の山だ。
その岩木山だけに生育する固有種というべき高山植物がある。ミチノクコザクラだ。
ミチノクコザクラは、サクラソウ科サクラソウ属の多年草で花茎は高さ10〜25cmだという。
一方、同じ青森県のもう一つの主峰である八甲田山には、高山植物のユキワリコザクラが咲く。
ユキワリコザクラつまり雪割小桜は、サクラソウ科サクラソウ属の多年草で花茎は高さ10〜25cmである。
開花時期は、5月から6月である。淡い紅色の花をつける。「雪割」の名は、雪解け時期に咲くことからきているという。
高知の雪割り桜は、2月のまだ雪のある頃に咲くことから、雪割り桜と呼ばれるのに対し、八甲田山の雪割小桜は、雪解け時期に咲くことから雪割小桜と呼ばれる。日本語の感性には、多様さがあることが分かる。
そう、ご想像のように、「青い山脈」の雪割桜は雪割小桜のことを指す、と私は思う。
雪割桜は、「青い山脈」の雪割桜だ。「青い山脈」だから高山、高山だから高山植物、そしてその高山植物は雪割小桜、と連想が続くのだ。
ここで重要なポイントは、西條八十先生が主題歌「青い山脈」の歌詞を私なりの基本どおりに、「七五 七五 七七 五 七五」でを書いているという点だ。
このポイントからは、
青い山脈7 雪割小桜8 七八 という字余りではいけない。
青い山脈7 雪割桜7 七七 でなければならなかったのだ。
詩人の詩人たるゆえんは、想像力と創造力に人並み外れて優れているところにある。
「青い山脈」の雪割桜は、「詩」によって常に時代をリードした稀有の詩人と称される西條八十先生の想像力と創造力の賜物である。
しかし、今となっては、このことを西條八十先生にも石坂洋次郎先生にも誰にも確かめようがない。
津軽の富士のお山だけが確かなことを知っているのだろう。
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こんばんは
和歌や俳句や詩で馴染んできている日本人にとって、七五調と言うのは、DNAになっているのかも知れませんね。文章を読んでいても、七五調で書かれていると読みやすく、しっくり来ますものね。
2013/08/05 22:07:49