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人生日々挑戦
96歳家出男性
2013年08月04日
テーマ:人生
人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻の如くなり
じんかんごじゅうねん げてんのうちをくらぶれば ゆめまぼろしのごとくなり
幸若舞の演目の一つである「敦盛」(あつもり)の一節である。織田信長がこの節を特に好んで演じたと伝えられている。
「人間」の読み方は、にんげんではなく、じんかんと読むのが正しいそうで、「人間」とは「人の世」の意味である。
天部のうち、いまだ欲望に捉われる6つの天界を六欲天といい、「下天」は、六欲天の最下位の世で、一昼夜は人の世の50年に当たるのだそうだ。
したがって、人の世の50年の歳月は、下天という世界の一日にしか当たらず、一瞬のまぼろしのようである、というのが正しい解釈になる。
と、ここで終われば、話は続かない。が、世の中はおもしろいもので、通俗的な解釈は別である。それは、「人間」はにんげんと読み、人間五十年は、人生は五十年ととらえるのだ。
これによれば、人生は五十年であり、せいぜい五十年で尽きる人生は短く儚い、という解釈になる。人生50年というフレーズはここから始まる。
というわけで、信長の戦国時代から天下泰平の徳川時代を経て、明治、大正、昭和になってもずっと「人生50年」と言われ、人生50年時代ととらえられることが続いた。この間、日本人の平均寿命は50歳以下であった。
日本人の平均寿命が50歳を超えるようになったのは実に第二次大戦後になってからであり、その後も日本人の平均寿命は伸び続けている。
そして、我が国でやがて人生80年時代が到来するだろうことを謳ったのが1984年度すなわち昭和59年度の「厚生白書」だそうだ。それから29年が経って、人生80年時代は現実のものとなり、今やすっかり定着している。
人生80年時代の元気なシニアは、とにかく元気で、人生50年時代のシニアに比べれば若々しい。
テレビの「NHKのど自慢」や「開運!なんでも鑑定団」を観ていると、80歳代後半のシニアがかくしゃくとして出演しているのが特段珍しいことではなくなった。
また、インターネットや携帯電話に代表される21世紀世界の文明利器を操る80歳代のシニアは、今や少なくない。
しかし、そうは言っても、80歳代のシニアの言動は、ソフトな印象がする。
だから、三浦雄一郎さんが5月23日に史上最高齢となる80歳での世界最高峰エベレストへの登頂を成功させたときには、驚いた。
冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんは、我が青森県は津軽の青森市出身であり、その快挙が誇らしかった。
と同時に、そのハードな行動は、三浦雄一郎さんだからこそできるものだと思った。
そうした折、7月31日にネットで毎日新聞からの配信が目に入ってきた。
それを以下に掲げる。
<96歳男性>現金2800万円持って家出 妻とけんかし
現金2800万円を持って家出していた北九州市の男性(96)が28日、愛知県常滑市の中部国際空港で警察官に保護されていたことが分かった。
妻(87)とけんかして25日に家出し、家族が捜索願を出していた。
男性は、どこかで一人で生活しようと大金を持って旅をしていたという。
その後、テレビを観たら、96歳家出男性は、北九州市から沖縄に飛び、沖縄で何日か過ごした後に中部国際空港に飛んだらしい。そして、96歳家出男性は、現金2800万円を持って北海道に渡り、北海道で一軒家を買って一人で暮らそうとしていたらしい。
ポイントは、いくつもある。
? 96歳であること。
? 96歳家出男性は87歳の妻とけんかしたこと。
? 現金2,800万円を持って家出したこと。
? 北九州市から沖縄に飛び、沖縄で何日か過した後に中部国際空港に飛んだこと。
? 北海道に渡り、北海道で一軒家を買って一人で暮らそうとしたこと。
これを見れば、ソフトな印象ではない。ハードそのものな行動の印象である。上の各ポイントごとに私の感想を述べる。
? 96歳ものシニアは、いつも自宅で生活し、外に出ることはあまりなく、穏やかにテレビでも観て過ごしているのだろうと想像する。しかし、そうではなかった。
? 96歳家出男性は87歳の妻とけんかし、男性は家出した。こうした二人は、元気そのものである。とても、96歳と87歳とは思えない。
? 現金280万円を持っての家出でも驚く。それがどうだ。現金2,800万円だ。
北九州と聞けば、豪快というイメージを浮かべるが、実に豪快だ。
? 北九州市から沖縄へ、その後沖縄から中部国際空港へ飛ぶなんて、若い者顔負けの行動力だ。
? 九州の人間が北海道に渡り、一人で暮らすことは、一年を通しては無理だ。冬の北海道の寒さは厳しい。
北国は津軽に住む私でも、冬の北海道で一人で暮らすことには、自信がない。
しかし、96歳家出男性がそうしたことを考えただけでも大したものだ。元気そのものだ。
三浦雄一郎さんの80歳での世界最高峰エベレストへの登頂や96歳家出男性の発想及び行動は、私たちにいろいろなことを考えさせる。
人生80年時代の到来を謳った1984年度の「厚生白書」から約30年を経て、今や人生80年時代は現実のものとなったと思ったが、時代は、既に人生90年時代の到来を迎えているのだろう。
そして、人生100年時代の到来も夢幻ではない。
と、思う。
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こんにちは
読み応えがありました。CMで、きんさんぎんさんの双子の姉妹が登場したときも驚きました。三浦さんのエベレスト登頂もリアルタイムの放送を見て、凄いことだと思いました。96才の男性の話しを読みケンカが出来るのも、家出が出来るのも、健康で大金があるからこそかも知れませんが?皆さんのバイタリティーにただただ脱帽です。
2013/08/04 16:35:21