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たゆたえど、沈まず
大型犬
2012年07月10日
テーマ:テーマ無し
かって母の介護をしていた頃、我が家には大きなシェパードがいた。
その頃の写真である。
母は人生の後半の44年間を下半身麻痺で暮らした。
我が家のシェパードは毎日母の相手をするのが日課であり、母も彼も大好きな時間であった。
母が犬としゃべる時は声が一段と高くなり大きな声になる。
そして、いっぱい話しかける母をジッと犬は頭を撫でられながら聞いている。
それが心地いいらしく、やがて犬は目を瞑り安心して母の床の横で寝る。
母の晩年はシェパードによって楽しいひと時を生活に中に持つことができた。
懐かしい心がほのぼのとする思い出である。
早朝のウォーキングで、アフガンハウンドに出会った。
久しぶりに大型犬に出会って思わず声をかけた。
訓練が入った良い犬であった。
私がシェパード好きであることを話し、少しだけ犬談義をした。
私が、訓練されたシェパードは永遠の三歳児ですと言ったら、この犬も同じですと言われた。
最近は小型犬を我が子のように可愛がっている人が増え、大型犬を滅多に見なくなった。
住環境の変化もあるのだろうが、これも草食系への人間の変化かもしれない。
私が訓練所からシェパードを連れてきた時、暗い車庫の中で車から降りてきた真っ黒なシェパードを見てあまりの大きさに女房は仰天した。
こんな大きな犬をどうやって飼うんだろうと想像もつかなかったらしい。
彼女はネコ派の人間で生まれた時からずっと猫と暮らしてきて犬は嫌いであった。
私がシェパードと会話しながら一緒に暮らし、散歩や訓練に付き合ううちに彼女はだんだん訓練のコマンドを憶え、犬といい関係を結ぶことができ、私のシェパード好きを理解した。
大型犬を飼うってこういうことなのね、シェパードってこういう犬なんだ、これは楽しいわぁ、
こんな楽しさは誰も知らないよ。
最初はどうなることかと怖かったけどやっと分かった。凄いし素晴らしい!
そう言って大のシェパード好きになり、訓練所に一緒に出入りするうちに、警察犬の世界、訓練の世界を知りシェパードを見る目が肥えていった。
そして、とうとう自分のシェパードを欲しいと言い出し、手に入れた。
軽トラックに犬舎を載せ、彼女の実家に行く度に連れて行った。
里山の過疎村だから、川も山も自由に勝手に駆け巡り、鹿やイノシシを追いかけて生き生きとしていた。
そんなシェパードとの生活が終わりを告げ、もう一度飼いたいと思うが踏ん切りがつかない。
我々の年齢と体力が間に合わなくなるし、犬を残して先にあの世行きの可能性だってある。
無性に犬に触れたくなる時はシェパード仲間の家に遊びに行く。
彼らは近所に住んでいたが、岐阜の田舎に広い敷地を求め引っ越した。
そこに老いたご両親を迎え、自給自足、日曜大工三昧の手作り生活をしている。
嘱託で週に何日か出勤するが、あとはシェパード二匹と雑種犬一匹と暮らしている。もちろん広い敷地の中で放し飼いである。
私も彼らのような生活を選択していたらCOPDを発症するようなことはなかったと思う。
いずれは田舎暮らしをと思ってはいたが、行動が遅かった。
モタモタと都会に未練を残しているうちにヨレヨレになってしまった。
もう一度ここからやり直してシェパードがいる生活がしたいと思う。
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