Kanzeさん

火灯窓について...

お寺の窓の形として誰しもが思い浮かべる梵鐘型の窓。なんというかご存知ですか？　あの窓は禅宗の影響を色濃く受けたもので、一般に「火頭窓」（かとうまど。火灯窓とも）と呼ばれています。鎌倉時代に中国から禅宗が伝わった際、禅宗の建築様式として同時に入ってきたといわれ、その後広く普及、お寺だけでなく、書院造りのディティールとして城や邸宅などにも取り入れられるようになりました。

問題の形ですが実は梵鐘を模したものではなく、一般に炎の形と言われています。独特の曲線のことを、火灯曲線などと呼ぶこともあるそうです。面白いのは、炎の形から「火頭窓」と命名されながら、木造建築が多い日本ゆえ、火災を想起させる「火」という文字を嫌い、同じ「カ」の音を持つ「花」や「華」を当て「花頭窓」、「華頭窓」などと言い換えをしている点。窓一つで、音を軸にさまざまな字が当てられ、いろんなイメージが湧いてくる興味深い窓です。

余談ですが、紫式部が源氏物語を綴ったとされる石山寺の「源氏の間」にもこの窓があることから、別称「源氏窓」とも呼ばれているそうです。

2016/05/04 17:10:13