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作品名 67になっても、たまにはデートしたい(48) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(48)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/04/11 17:47:41

+++タオルで体を拭ってやりながら、私は女を愛し
ているというより、芸術品として慈しんだ。実際芸術
品のように美しかった。

48.微妙な変化

 女は時々こんな事を私に言った:
「貴方は何回会っても人柄が少しも変わらないのね。
会うたびに何時も私を大切にしてくれる。数回ベッド
を共にしただけで、「オレの女だ」みたいに態度がぞ
んざいになったり、変にナレて来るものなのにーーー」

 私が女に丁寧に接していたのは確かだが、本音を言
えば、自分の懐具合が女を支援するのに不充分という
引け目が、そうさせていた面が無くもない。けれども
敢えて女の勝手な誤解を解かずに、代わりに応えた:
「好きだからだよ。好きな人は普通以上に大切に扱わ
ないといけないからね、ウフフ」

「有り難いわ。私の周りに貴方みたいな人は今までに
一人も居なかったわ、本当よ。貴方は確かに普通の人
じゃあない」
「ーーーー?」

「上手く言えないけれど、体の中心に何かどっしり真
実を置いてあると感じるのよ。そこから全然ぶれな
い。本当の値打ちは、貴方みたいな人だという気が
する」
「へえ、中心に文鎮でもあるのかなーーー?」
 そんな過大な褒め言葉が、裏を返せば女の豊富な男
性経験を窺わせたから、私を複雑な気持にさせた。

 付き合い始めて一年ほども過ぎた時期から、女は新
たなパトロンを強いて求めなくなった。何か興味を失
ったようで、代わりに以前よりも私へ気を遣うように
なった:
「何ヶ月も前から貴方以外の人とは、もう誰とも付き
合って無かったの」
 
 更に、先きを読むように不安気に洩らす事もあっ
た:
「何時か貴方に棄てられるわ、私が重荷になってー
ーー」

 そんな言葉はとりもなおさず、女の気持に微妙な変
化が起きつつあるのを、私に気付かせた。ある時デー
トの前日に、私が何気無しに「明日お話をしましょ
うーーー」というメールをした処、それを変に勘ぐっ
て「別れ話の事かと思ったーーー」と次の日に、ベッ
ドで心底ほっとしたように女が呟いた。

 女は、私を「好き」になってしまったのである。

(比呂よし)

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