+++絵でも音楽でも、名のある芸術家で遠慮してい
る人なんていませんよ。モーツアルトも例外じゃな
いわ。みんな、ワレが一番、ワレが一番ーーよ。売り
込みの為に少し醜い位ーーー」
27.たぶらかされたい
「確かにーーーそうなんだろうね。 貴女の足の上がる
高さは見てないけれど、でも、貴女は本当に美しいー
ーー。そういう風に自信を持って言う処が、ますます
好い」
「そうかもねーーー、有難うございます。嬉しい。
でも、そんなに褒められても、私は結婚するつもりは
ないの。好きになってもダメよ、私の恋人はバレエー
ーー」
「ーーーそれに、それを支えてくれる経済だったね。
忘れやしないさ。好きになってもダメなんて、そんな
自信に満ちた処が好い」
「ウフフーーー。さっきから、貴方の言い方は何処か
正直で面白いわーーー。普通の人とは感触が違う、何
故か不思議よ」
「僕の印象が不思議な感触だって? そんなオーラが
あるのかな? いや、多分僕の掛けた魔術が利いてい
るからだよ。このテーブルの辺りに、怪しげな雰囲気
が漂よっているでしょう? たぶらかしの黒魔術な
んだ」
「アハハーー、魔法使いなの? でも女は元々、たぶ
らかされてみたいと思っているものよ」
(つづく)
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