ナビトモのメンバーズギャラリー

条件で調べる

カテゴリ選択
ジャンル選択

前の画像

次の画像

ギャラリー詳細

作品名 愛情物語 評価 評価評価評価評価評価(5)
タイトル 【結末注意】人生とは
投稿者 きみだんご 投稿日 2013/07/19 19:15:31

原題は「エディーデューチン物語」である。エディデューチンはピアニストであったが、私は彼の演奏を聴いたことはない。映画の中での演奏はカーメンキャバレロによるものである。

明るい雰囲気と、前半のエディ(タイロンパワー)とマージョリー(キムノヴァク)のカーメンキャバレロのロマンティックなピアノをバックにしたデートシーンは恋愛映画を予感させるのであるが、マージョリーが風を恐れる場面から、やがて、この映画は愛と死と人生の残酷さをテーマにしていることが明らかになってくる。

エディの「人生は残酷なものだ。」という科白はそれをよく表している。

マージョリーという伴侶を獲得したエディはピーターという子供をもうけた直後にマージョリーは死んでしまう。やがてエディは「エディーデューチン・オーケストラ」を率いて成功を収めるが、すぐに余命いくばくもない病魔に冒される。二度の華やかな成功を「死」に奪われてしまうという、そのままではあまりに残酷なストーリーである。

マージョリーを奪われたようで、無意識にピーターを遠ざけていたエディも、ピーターと父親として和解するが、自分の死をピーターに告げるシーンは切ない。この場面でも風が不安をあおるように吹き荒れる。

ピーターの乳母をしていたチキータ(ビクトリアショー)は死期の間近いことを知りながら、エディと結婚することを決意し告白するところは、救いではあっても残酷なシーンである。しかし、美しい。

エディとピーターが自宅でピアノの競演(ショパンのノクターンE♭)をするが、エディに発作が起こり、チキータがショックを受けた表情をするが、突然エディは画面から消え、ピーターが演奏を続け、チキータが穏やかな表情で聞き入る場面で映画は終わる。神話的な終わり方である。

ストーリーは当に悲劇的である。救いは何かとといえば、カーメンキャバレロのロマンティックなピアノ演奏と、マージョリーとチキータの女性としての魅力であろう。女性がいかにも女性らしかった古きよき時代がよく表れている。この二つの要素がこの映画のストーリーの悲劇性をやわらげ、観る者を感動に誘ってくれるのである。

私もこの映画にでてくる「マンハッタン」という曲が好きでよくひとりで弾くのは、この映画の影響である。私にはこの曲が一番ロマンティックに聴こえるからである。

人生は残酷である反面、素晴らしいものにも出会えることを教えてくれる映画である。

古い映画ですが、皆さんにもお勧めします。



荒井公康
http://www5f.biglobe.ne.jp/~kimmusic/

前の画像

次の画像



【きみだんご さんの作品一覧はこちら】

最近の拍手
全ての拍手
2013/07/19
2013/07/19
みのり
拍手数

2

コメント数

0


コメント

この作品はコメントを受け付けておりません


同ジャンルの他の作品

PR





上部へ