読書日記

『章説 トキワ荘の青春』 <旧>1523 

2023年12月04日 ナビトモブログ記事
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石ノ森章太郎『章説 トキワ荘の青春』中公文庫

この本の書誌はまず昭和59(1984)年9月に講談社から発行された『章説・トキワ荘・春』に始まる。それを再構成したものが2008年6月に清流出版から『章説・トキワ荘・春』として出され、さらに2018年10月に再構成されて『章説 トキワ荘の青春』中公文庫となり、私が読んだのはその第2版(2020年)である(以前に出版されたものを私は所持しておらず、当然未読である)。
なお、石ノ森章太郎自身は1998年1月に亡くなっている。

さて、いまやトキワ荘は漫画の聖地である。1953年に手塚治虫(1953初〜1954/10)が入居したトキワ荘にはその後、寺田ヒロオ(1953/12〜1957/6)、藤子不二雄(藤本弘と安孫子素雄、1954/10〜1961/10)、赤塚不二夫(1954/5〜1961/10)、それに石ノ森章太郎(1954/5〜1961年末)らが続々入居し一時は水野英子(1958/3〜1958/10)も住んでいた(かっこ内は住んでいた時期)。
いずれの住人も漫画が市民権を得ていくうちに売れっ子となり、著名漫画家になっていく。

この時代のトキワ荘については何冊も本が書かれていて私も少し読んでいるし、ウォーキングのついでにトキワ荘跡に行ったこともあるけれど、先日できた「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」(2020年7月7日開館)にはコロナ禍もあってまだ行っていない。

さて、著者の石ノ森章太郎(初めは石森章太郎、1984年から石ノ森)はトキワ荘に集った仲間たちの内で最年少(トキワ荘入居時で16歳)であり、病気療養を兼ねた姉とともにトキワ荘に移り住んだ。その姉の病死(1958年)から本書は始まる。題名に章説が付いているのは、姉の思い出に正面から向き合うためにはフィクションが必要ということでこう名付けた様である。

内容的にはトキワ荘とその仲間にも触れられているが、自叙伝に近い。「起」「承」「転」「結」の4章に分かれており、「起」ではトキワ荘に引っ越すまでの話で、「承」の小がトキワ荘時代「転」でトキワ荘の仲間たちを紹介し、「結」で皆がトキワ荘から出て行ったその後の話である。
(2021年6月13日読了)



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