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読書日記
『ボクはやっと認知症のことがわかった』 <旧>読書日記1507
2023年11月02日
テーマ:<旧>読書日記
読書日記1507
長谷川和夫、猪熊律子『ボクはやっと認知症のことがわかった』KADOKAWA(図書館)
みなさんは「長谷川式簡易知能スケール」(以下長谷川式スケール)という言葉をお聞きになったことがありますか?
この言葉は本書冒頭に書かれている。そして、この本の題名には続きがある。それには縦書きで
「自らも/認知症になった/専門医が、/日本人に/伝えたい遺言」と書いてある。(/は行換えを示す)
つまり、この本は長谷川式スケールを考案した専門医の長谷川一夫さんが、自らも認知症になっていることを明かしつつ、認知症について一般人が知って欲しいことを書いたものである。
〈目次〉
第1章 認知症になったボク
第2章 認知症とは何か
第3章 認知症になってわかったこと
第4章 「長谷川式スケール」開発秘話
第5章 認知症の歴史
第6章 社会は、医療は何ができるか
第7章 日本人に伝えたい遺言
そして本書中で繰り返し述べられることがいくつかあるが、まとめて書けば
イ.認知症の人=何もわからなくなった人、では無い
ロ.認知症患者は人それぞれ。先入見や偏見をもって対応しない。
ハ.認知症の本質は暮らしの障害。認知症の患者及び家族が安心して暮らせる社会を作ろう(地域ケアとパーソン・センタード・ケアの推進)。
具体的には第3章で
「認知症になったからといって突然、人が変わるわけではありません。昨日まで生きてきた続きの自分がそこにいます(p.66)」。
「認知症は『固定されたものではない』(p.66)、「よくなったり、悪くなったりというグラデーションがある(p.67)」。
「何かを決めるときに、ボクたち抜きに物事を決めないでほしい。ボクたちを置いてきぼりにしないでほしい(p.69)」。
「自分からどんどん話を進めてしまう人がいます。そうすると、認知症の人は戸惑い、混乱して、自分の思っていたことがいえなくなってしまいます」「その人が話すまで待ち、何をいうか注意深く聴いてほしい(pp.69-70)」。
「認知症の人を、ただ『支えられる人』にして、すべての役割を奪わないということも心がけていただきたい」。
そして「認知症の人を騙さない。」…何となくおかしい。尊厳を持って扱われていないと認知症になっても判る(p.85)。
本書は内容的には認知症について、一般の人にも判りやすく丁寧に書かれている。また、介護する人に向けて書かれているようにも思える。ついでに書けば「認知症にならないようにする方法」は書いてない。それを求める人や介護関係者など知識のある人にはにとっては物足りなく思えるかも知れない。
現状の医学では認知症を治せない。ただ、進行を遅らせることができるだけ。そして誰でも認知症になり得る、という現状の事実を知れば「ならない方法は書いていない」ことにも納得出来るのではないだろうか。
(2021年5月13日読了)
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