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初笑い(新春国立名人会) 

2023年01月07日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

新春の国立演芸場は、定席は中席だけで上席がなく、2日から7日まで新春国立名人会を開催している。
2日だけ2回で、7日までの6日間に7回の公演がある。
テレビ番組の「笑点」でお馴染みの林家たい平が、落語家としては最初に高座に上がるのだから、出演者が錚々たるメンバーであることは想像できるだろう。
今まで、人間国宝の柳家小三治がトリを務めていた千穐楽を見てきたが、彼が亡くなったので、今年は何日にするか迷った。

色物を除く出演者(落語・講談)に○印と×印を付けて、その数で決めることにした。
その結果、6人中5人に○印が付いた、6日を見ることにした。
国立演芸場は、民間の寄席よりも出演者の持ち時間が長く、15分(色物・前座・二つ目)、20分(真打)、30分(トリ)が一般的である。
今回、出演者の人数が多いので、15分(色物・真打)、20分(仲入り・トリ)と、短かくなった。

   *****

■隅田川馬石
マクラで一門の真打を紹介した。五街道雲助(師匠)、桃月庵白酒(兄弟子)、蜃気楼龍玉(弟弟子)と、全員の亭号が異なるのも珍しい。『鮑のし』を始めたが、普通のペースで口演していた。案の定、お祝いの口上を終えた途端にオチを入れた。何とも見事な落とし方で、物足りなさは無かった。

■柳家花緑
先代小さんの孫、当代の甥っ子である。昔から気になっていた噺家だが、5年ほど前に初めて実演を見て、少しがっかりした。早口過ぎて、補聴器を愛用している私には、非常に聞き取り難かった。ところが、今回は素晴らしい滑舌で良く理解できた。それだけでなく、所作が完璧で美しかった。高座に上げた『権助提灯』は、見事に15分に構成されていた。

■林家正蔵
なかいり(仲入りの直前)を務めた。正蔵の高座を多く見て来たが、今回の『おすわどん』は初めてである。膝が良くないのは知っているが、少し悪化しているのか、不自然な所作があった。帰宅してから演題を調べてみると、桂歌丸の持ちネタだった。国立演芸場で高座に上がる噺は、古典落語なら大概は分かると思っていたが・・・

■春風亭一之輔
くいつき(仲入りの直後)を務めた。ざわついた場内を、一気に落語の世界に引き込んだのは流石である。『ガマの油』を口演した。前半で見事な口上を見せ、後半は酔っ払った口上と、両極端を見事に演じ分けた。

■桂竹丸
ひざ前を務めた。この後、ひざがわり、トリと続く。『異母兄妹』を口演したが、演題は小噺の一つで、漫談風の落語だった。勿論、それなりに面白く、観客の疲れを癒してくれる効果があった。また、ひざ前は、トリの引き立て役とも言われているので、良い仕事をしたと言えるだろう。

■神田松鯉(講談)
日本講談協会名誉会長で人間国宝である。落語芸術協会にも参加しているので、日頃から国立演芸場は出番が多い。今回の『門松の由来』は、自作の読み物だ。門松の竹の切り方が二通りなのは、徳川と武田の争いに起因しているらしい。正月に相応しい読み物と言える。

(敬称省略)

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写真
2023年1月6日(金)撮影:国立演芸場の場内と演題

お礼
「手作り度と満足度は比例?」に、拍手を有り難う御座います。この場を借りてお礼申し上げます。



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