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むぅびぃ・とりっぷ
美術モデル「セクハラ訴訟」、スッキリしない背景
2020年12月12日
テーマ:テーマ無し
美術史の公開講座で、わいせつな作品を見せられ精神的苦痛を受けたとして、受講した女性が大学を運営する学校法人「瓜生山学園」(京都市)に330万円の損害賠償を求めた。その訴訟の判決が12月4日に出たと、ニュース記事になっていた。● 大学側はセクハラを予見できた大学側は2018年、ヌードをテーマに講師を招いて全5回の講座を都内で開催。その中で、美術家の会田誠氏は四肢を切断された全裸の少女の絵などを、写真家の鷹野隆大氏は全裸の男性の写真などを1〜2時間にわたりスクリーンに映した。法人側は「作品はヌード講座の素材として適格性があり、講師の解説も精神活動の表現だ」と主張した。判決は、2人の作品が「露骨な表現で、正常な性的羞恥(しゅうち)心を害するわいせつ性がある」と指摘。受講生が成績評価を受けるには出席が欠かせないことをふまえ、「作品を見るよう強要されたセクハラだ」と判断した。その上で、作品を講義前に確認した大学側はセクハラを予見できたとして、「退室可能なことを事前に告知するべきだった」と認定した。結果、伊藤繁裁判長はセクハラに当たると結論付け約35万円の賠償を命じた。セクハラと彼女が感じた一人の講師は会田誠という作家。絵画が有名だが、小説もエッセーも書き数作、漫画も描いているようだ。世間的な評価も高い。● 日本の現代美術を牽引する一人「安吾賞」の第8回(2013年)受賞者に、会田誠氏が選ばれている。「安吾賞」とは、新潟市出身の小説家坂口安吾を記念して2006年に新潟市が創設した。その賞を伝える記事では、『90年代初頭より絵画や立体、パフォーマンスから小説や漫画まで多彩な表現を展開し、日本の現代美術を牽引する一人として評価を受けてきた。』と、会田誠氏を伝えている。その多方面で活躍して評価されている作家でも、見方の方向を変えればたんにセクハラ作家と認定されてしまう。ぼくが”会田誠”の名前を知ったのは、古本屋で見つけた一冊の小説でタイトルは「青春と変態」。その頃は、会田誠という名前も知らないし、その本の出版社も聞いたことがない。しかし、題名に興味を持って中身をパラパラ読んでみて、あっとゆうまに惹きつけられた。この小説の主人公は、女子トイレに入って覗く事が趣味の17歳の高校生。まあ、この時点で引いてしまう人は大勢いるのかもしれないが・・・・・・・。設定はともかくとしてとにかく内容が興味深く飽きさせない。思えば、青春小説の中では比較する小説がないくらいにダントツに面白かった。会田誠氏の話をしだすとキリがないので、受講した女性に話を戻すけど、今回のニュース記事では、彼女の名まえが出ていない。でも大学を提訴した時点で顔も名前も出している女性。彼女は美術モデル大原直美さん。訴えた時点では39歳だった。● 酔ってロレツも回らず下ネタ連呼大原さんは2014〜17年、同大の通信部に編入、卒業したOG。15年から絵画や彫刻作品のヌード・着衣モデルとして活動し、公開講座にも通っていたが「問題となった講義は大変ひどいものだった」(大原さん)という。第3回(5月15日)の講師は現代芸術家の会田誠氏。涙を流した少女がレイプされている絵や、ゴキブリと性行為をする女性、四肢切断されて犬の格好をしている女性の絵を巨大スクリーンで映した。大原さんによると、会田氏は遅刻したうえに酔ってロレツも回らず、下ネタを連呼。(しかし会田氏は「酒に酔った」との大原さんの受け止めについても「まったく事実と違います」とツイートしている。)過激な作品を見せられ、講義で会田氏が語った「自分が学生(東京芸大卒、同大大学院修了)のときに来た美術モデルをズリネタにオナニーした」との発言を冒とくと受け取った。この美術モデルの一文だけ抜粋すると、まさしくスケベオヤジの猥談の一言で終わってしまうが、このように会田氏はツイートしている。僕は芸術が「落ち着いた文化教養講座」の枠に押し込められることへの抵抗を、デビュー以来大きなモチベーションとしてきた作りてです。「モデルをズリネタに」去々という文字がありましたが、おそらくこういう文脈で出てきたものです。美大油絵科の学生としてみんなとヌ―ドモデルを描いていた時に、はたと気づいた。裸の女性が真ん中にいて、たくさんの男たちが(当時美大は男子学生が多かった)それを凝視している。そして言外に欲情は禁じられている。これってなんなんだ?何ゆえなんだ?歴史的経緯は?美術・芸術の領域(具体的には芸大上野キャンパス)から一歩出た世間は、まったく違う風が吹いているじゃないか?どっちが嘘をついているんだ?どっちが病的なんだ?そういう問いです。大原さんは講座を受講後に、すぐに大学のセクハラ対策窓口に苦情のメールを送ったが、その後の第5回(6月12日)のゲスト講師の写真家・鷹野隆大氏は無修整の男性器の写真を何枚も大画面に映した。大原さんは弁護士を交え、大学側に対策の徹底を求めた。大学側が和解条項に「学生としても仕事としても今後、大学にかかわらないこと」と大原さんの排除を盛り込もうとしたことが溝を深めたという。わいせつな言動や作品を実際に提示した講師は訴えられていない。大原さん側は被害相談した学生側を排除し、著名人である加害者を守ろうとする対応を問題視。大原さんは「大学の授業に参加したことで大学から排除されるのは本末転倒。大学の同窓会への出席さえ制限しようとした」と明かした。去年2019年の2月27日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した大原直美さんのニュースが報じられるや、ネット上では大原さんへの批判が上がった。会田氏や鷹野氏のことを事前に調べていれば作風はわかるとして「クレーマー」「当たり屋」などの命名を与えられた。● アートの世界で本格的に活動して参りますところでぼくは正直、何か判決を含めスッキリこないのである。彼女は芸術大学を出て、美術モデルもやっている。それでいながら参加する講義の作家に興味がないのか、事前にネットで調てもいない。彫刻作品のヌードモデルまでやったのに、ネットでは見よう思えば無修正があたりまえの時代に、男性器の写真になぜそんなに拒否反応するのか。ぼくにはヌードの講座ならば、男性のヌード、もしくは男性器・女性器の写真くらいあたりまえのことに思える。現代の美術に興味があったなら、同時代に大活躍している会田誠氏の名前と作品くらい知っていてよさそうなものだが、それも知らなかったのか。彼女は千葉市観光ガイドのコンパニオン(5BEACHエンジェルス)もやっていたことがあり、最後のブログにこうメッセージを掲載している。「私の今後ですが、ひとつ決まっているのはアートの世界で本格的に活動して参ります。また新たなステージで、皆様にお会いすることができると思います。」会田誠の作品で精神的苦痛を受けるようなヤワな精神であるならば、『それはやめときなさい!』と言うしかないだろう。それとも、この訴訟自体が目的であえて会田誠の作風に否を唱え、大学の講義にNOをつきつけた?まあ、そこまで意図的に行動しているならば、司法記者クラブで会見した時に別のメッセージがあってもおかしくない。ぼくの印象としては、大原直美さんはとても浅く美術に作品に接しているように思えてしかたがない。もしくは人間の影の部分を全て封じ込めた一方向でしか接していない。それでは、人の心を真から揺さぶるアートの創作には到達しないであろう。大学側もこの判決に屈せず、独自の路線で再度、新たな講義を計画してもらいたいものだ。
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