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葵から菊へ
問われる「植民地支配責任」明治学院大学阿部浩巳教授に聞く
2019年01月11日
テーマ:テーマ無し
「問われる植民地支配」
?当時は合法?論に異議
しんぶん赤旗明治学院大学阿部浩巳教授に聞く
文字起こし
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国際法の歴史をみると、ヨーロッパ各国が世界進出に乗り出した15世紀夫以来、国際法秩序そのものが西洋と非西洋の支配・被支配関係を定めるルールとして、植民地支配や人種差別を容認してきた歴史があります。
第2次世界大戦後、植民地支配やその根底にある人種差別は、国際法上許されなくなりました。1960年には画期的な植民地独立付与宣言、65年には人種差別撤廃条約が国連で採択され、植民地支配責任を問う流れが強まります。それが頂点に達した2001年のダーバン世界会議で、アフリカ諸国などが植民地支配・奴隷制での謝罪、賠償を求め、激しく議論しました。
国際法の暴力性
国際法学者の閤では、現行秩序の「安定化」を図る国際法の機能を根拠に、植民地支配を不法と規定した現在の法は過去に遡及しない、?当時は合法″とする考え方が根強くあります。しかしそれは、国際法の抱える暴力性を是認するものです。植民地支配を受けた人たちは不法だと異議を申し立ててきたのに、大国中心のルールはその声を排除してきました。
植民地支配責任を問う流れは、米ソ冷戦終結後に大きく広がりました。しかしダーバン会議直後の01年9月11日に同時多発テロが起こり、「対テロ戦争」が幕を開け、米国を中心とする大国による軍事力の世界支配が強まりました。日本や英国などもその流れに乗っていきます。
しかし植民地支配の不法性を認めない大国中心の秩序は、むしろ世界の不安定化を招いています。テロや紛争などが絶えず、世界が不安定化している背景には、過去の植民地支配を清算してこなかったことがあります。問題を放置したままでは、世界の安定化を進めることはできません。
過去と向き合う
今日、人権は国境を越え、時代を超え、及んでいくという普遍化の道は、国際的な潮流になっています。過去にどう向き合うかは、未来をどうつくるかにかかわるのです。暴力や差別の潔い世界をつくるには、そうした世界の実現を訴え植民地支配に反対した人たちの声をすくいあげることが必要です。そこに国際法の新しい役割があるのではないか。
いまアフリカやアジア諸国で、強制労働や虐殺といった植民地下での人権侵害に対する賠償請求の動きが起きています。拷問や虐殺、強制労働、女性への性暴力がなぜ起きたのかを掘り下げれば、やはり植民地支配や人種差別の問題にたどり着くと思います。そして、個別の不正義への追及を積み重ねていくことは、?当時は合法″とする国際法の暴力性を克服することにつながっていくのです。
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(了)
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