メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

シニアの放課後

<心に成功の炎を>61 

2018年06月16日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 まず第一に触覚。触覚というものは およそ五官感覚の中でいちばん普遍的なものなんです。いっさいの生物は それが高級なものであれ 低級なものであれ いずれもみんなこの感覚だけは持っているんです。
 そして とくに我々が知っておくべき重要なことは この触覚作用は 意思の集中によってある程度まで抑制できる。 つまり 病から受ける苦痛感や他のものから受ける不快な触覚感のごときは 意志の力と神経反射の調節法を用いて 心機を確実に転換しえれば そうとうの程度まで抑制できるということなんです。
 だから 古今往来 偉人もしくは修養の徹底した人が みだりに寒暑を気にかけたり 病に冒されても容易に苦しいとか痛いとかいうことを口にしないのも その意志力が積極的に働いて心機転換が巧妙に正確にできた結果であるといえるんです。 
 有名な坊さんがで快川(かいせん)国師という人が 織田信長に憎まれて 楼門の上へ縛り上げられて火あぶりの刑に処せられた。そのとき快川国師に エンエンと火を燃えあがらせる役人が<坊主 熱いか 熱けりゃ手かげんしてやるぞ>聞くやつも聞くやつだよ。火を燃やして火あぶりにするやつに 熱いかと聞く。熱い思いでもって殺そうというのが目的だろう。
 そのとき 快川国師が言った言葉が 禅のほうの教えで 誰でも知ってる言葉だ。<案禅必ずしも山水を須(もち)いず 心頭滅却すれば火も自ら涼し>と言ったというんだ。
 真っ黒焦げになって死んだ快川国師はおそらく息の絶えるまで そらもう感覚的には熱いと感じていても 苦しいとは感じていなかったでしょう。
 同じような話で あの日蓮の弟子に日親という人がいた。日親がもう間がな隙がな南無妙法連華経を唱えるその時分 南妙法蓮華経を唱えることは室町幕府の法度だった。
 そして つかまって牢屋にぶちこまれた。それでも南無妙法連華経を唱えているものだから 役人が
 <あいつ ひとつ 煮え湯ぶっかけてやれ。そうしたら言わなくなるだろうから>
 そこで グラグラと鍋でお湯をたぎらせておいて
 <これをぶっかけるが それでも言うか>といったら
 <ぶっかけられてみなきゃわからん>と そういった。
 <ようし それじゃ ぶっかけてやる。熱いぞ>
 <そら熱いでござろう。昔から湯の冷たいという話は聞いたことござらん>
 <このやろう 口が横に裂けてるとはいえ どこまで好きなことをを言いやがる。それ ぶっかけろ>
 <あつっ>
 <熱けりゃ やめろ>
 <いや 熱いとお題目とは違う。熱いのは感じるから熱いと申し上げたんじゃ。けれど 熱いからお題目を言わんとは申し上げない。熱けりゃ熱いほどよけい申し上げる。南無妙法連華経 南無妙法連華経  南無妙法連華経 ・・・>
 <こんちくしょう まだ言うか まだ言うか>とありったけの湯をぶっかけた。熱くってのたうちまわって苦しみながら <南無妙法連華経 南無妙法連華経 南無妙法連華経・・・>どうしてもやめない。
 そこで 業腹になっちゃって もうぶっかける湯がなくなっちゃったもんだから 役人が 鍋をそのまま頭にギュッとかぶせた。
 <これでも言うか>といったら
 <南無妙法連華経>といったなり気を失っちゃった。
 <ざまあみやがれ>といって 鍋を取ろうとしたら 取れないんだ。はげ頭に鍋が密接な関係をつくちゃたんだ。つまり 焦げついちゃったんだよ。はげ頭に それで 鍋かむりの日親と言われるようになったんだ。
 これもおそらくは日親という坊さん 熱さは熱かったろう。それは熱いに決まっている。火のような鍋をおっつけられているんだから。けれど 苦しくなかったに違いない。
 これなんかは まさに心機を転換せしめて触覚作用を抑制せしめた例なんです。
 そこでだ 実際的に触覚作用自身を修練する方法としては こういうのがある。
 夜間なら電灯を消して真っ暗闇の中で 他の人のいくつか小物を不規則に置いてもらって それを手探りで触れて言い当てる修練をする。この場合用いる品物は平素あまり手に触れないようなものがよろしい。
 そして この修練に上達してきたら 今度は十数個の黒碁石の中に白碁石を1、2個いれて その中から触覚で白石を取り上げる修練をする。さらにこの修練も容易にできうるようになってきたら 今度は青赤白黒黄の五色に分けた色紙の小片を 触覚でこれは何色かと言い当てる修練をおこなう。
 碁石や色紙のごときは 触覚作用が正当に鋭敏に修練されると その湿度や微妙な手触りで だんだんと言い当てえるようになってくる。あなた方もできるのよ。ただはじめの間は 当たらないほうが多いから 興味なくしちゃって投げ出しちゃう人が多いけれど 忍耐続行でやれば 必ずできるんです。

―続くー



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

碁石<白・黒>の判別〜〜

メタセコイアさん

ありがとうございます〜〜
機会があったら 行なって見たいと思います〜 そう言えば 花、生地、果物、野菜等々・・・何でも 親指にて 触れて感じるようにしますよね〜大昔 麻雀パイ?で<モウパイ>をしたことはありますが・・・と!!

2018/06/16 19:12:10

碁石

藤の花さん

黒:那智黒(黒色)圭岩
白:貝または砂岩(黒より僅か小さい)
手触りで訓練すれば区別できるかも。

2018/06/16 11:20:47

PR





上部へ