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<心に成功の炎を>50 

2018年06月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 私は いけない病人は死ぬ日から時刻まで言うじゃねえか。<せっかくのことだけれども ご病人 何月何日の何時に死ぬよ>。古い会員はちゃんと私の言うことを知ってますから 
 <ああ そうですか>
 お医者さんだった田村博士が死ぬときだって そらまあ あれだけの医者ですから 本人に言いました。
 <あんたももう75、6になってる。浮世に望みがまだあるかもしれないけれども 75、6といったら もう立派な寿命だ。そして あなたのこの病は 実をいうと 60のときになくなるはずの運命を 天風会に入ったばかりにここまでもってたんだ。こう言ってる私もやがてあなたの後を追う。散る桜 残る桜も散る桜。わかったかな。だから まあ先に言って待ってな。あとから行くから>といったら にっこり笑って
 <長い間お世話になりました>
 <いやいや これから先立って おまえ お互いに地獄へ行くか 極楽へ行くか あの世へ行ったら やっぱり世話になったり 世話になられたりするからよ まあ一足先に行くだけよ。待ってな>
 そして 死ぬ時刻まで言ったろ。奥さんがこれを聞いて そのときは<ほんまにそんな時刻に死ぬやろか>と思ったらしいが そのとおり ピシャッと 一分も違わなかった。
 そういうときね 事情のわからない人は 病人が私の言うことに影響されて そのとおりになったと思うけれども そうじゃないんですよ。
 そういうことを知ってるのは宇宙生命なんです。はかり知れざる微妙な働きを持つ造物主が知っている。その造物主のスーパーノリッジ<宇宙創造の叡智>が 私の頭脳に発達すると インスピレーションがでるんですよ。だから 自分でも 自分で言う場合 最初の間は不思議だなあと思う。疑いやしないけど 当たるとね 不思議だなあとおもう。もうこのごろは 何にも不思議だと思いやしませんけど 何十年のことですから。
 けれども 当たるのは不思議だとは思わないけれども 間違いなくピタッとなるのは不思議だなあと思うよ。これは本当に どんな場合がきても ワンダフルと思いますよ。
 だから あなた方もね 論より証拠 うそじゃない。雑念 妄念 なるべく出さないようにしてごらん。それで 心が一点ちり汚れのない磨きたての鏡のように八面玲瓏(れいろう)たる状態になると でてくれるなといっても フウッと霊性心はでてくれる。きれいにしさえすりゃ 霊性心はすぐでるように自然傾向でできているんです。
 現在 あなた方だって こういう経験ありゃしないかい? 忘れたものを考えてるときには思い出さないで 考えない 心が空になったときに ヒョイとそれが思い出されることがありゃしない 今まで?
 大掃除のときに 忙しさにとりまぎれて タンスの鍵を入れた場所を忘れちゃった。外に出ようと思って 着物をきがえようと思ったら タンスの鍵。はてな? 大掃除のときにどっかにしまった。どこだろう。そのうちに 誘いに来た友達が急きたてるので 心ならずも 友達のお供のように見えるようなふだん着を着て出かけて 心楽しくない。デパートへ行って 何か買い物してるときに ハッと<あっ 洋ダンスの三つ目のひきだし>なんて思い出すようなこと あるでしょう。
 それから よく往来であいさつして 両方とも親しげに言葉を交わして別れて<はあて あの人だれだったかな。いや おれ 知ってんだ あの人。だれだったかなあ。よく知ってんだけど ちょっと思い出せないな。 まあ しょうがないわ>。それで考えないでいると 夕ごはんのときなんかに 考えずとも<あっ 天風先生だ>。そういうこともあるでしょう。
 とにかく あなた方は 雑念 妄念がしょっちゅう もうもうと浅間山の煙のごとく噴出して絶え間ないから 肝心な心が曇りどおしだもん。考える中に雑念があると いつか心のレンズは曇らせられているんですぜ。
 たとえどんなに感度の強い高級なレンズのカメラを持ってきたって シャッターを切ったときにレンズが曇ってたら 何にも写りませんがな。そうでしょう。それをあなた方は気がつかずにいるんですよ。
 ところが とったか見たかの刹那に命をなくすかもしれない昔の武術家なんていうのは 今の人間よりも油断もできない日々 毎日を生きていたから いざというときに考えちゃいけないということを悟っていたんですねえ。考えると切られるという つまり 無念無想の境涯こそ 霊性意識の中から本当に強い力が出てくる。
 それじゃあ むずかしい話が続いて肩が凝ったらいけないから肩の凝りをほどかすために こういう話をお聞かせしよう。

           *

 幕末維新の頃に 剣客として日本六十余州に名を輝かした人の中で とりわけて 神田のお玉が池に道場を持って 北辰一刀流を教えていたのが千葉秀作。七日の間 一日だけお城に上がって お城の侍たちに手をとって剣道を教えて あとの6日はわが家の道場で弟子に教えていた。

―続くー



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