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<心に成功の炎を>19 

2018年04月28日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 いつかお話したと思いますが 2年まえにフランスの伯爵(画家バルティス氏)をここに連れてこられた出田節子(現在バルティス夫人)さんね いまフランスにいますが たぶん 来月は帰って来るでしょうが あの人が会員になったときが13歳のときなんだ。今年はいくつになったと 昨日 おっかさんに聞いたら 24歳になりましたと。
 <それじゃあれだな 満12年天風会に入ってんだね>と言ったんだが
 あの子が入りたてのときにね 私のこの話を聞いて 家へ帰って おっかさんにこう言ったそうだ。
 <お母さん 真珠の指輪ない?>
 <あるわよ>
 <貸して>
 <まだ早いわよ あんた 12や13歳で指輪はめちゃだめ>
 <いや はめんじゃないの。寝がけのときだけ貸していただきたいの>
 <どうするの?>
 <天風先生に聞いたの。磨きたての真珠を薄絹に包んだような気持になれっていうから お母さんの指輪貸してよ。それを毎日 絹のハンカチに包んで枕元に置いて その指輪に負けないような きれいな気持になって寝るんだから>
 やっぱり13ぐらいの子供の心は無邪気なもんですわな。果たせるかな あんな立派な人生をつくり上げてくれてしまっています。
 
 とにかくね 体も昼間こうやって人生に生きてちゃ ごみだらけになってますわ。ですから 特別な事情のない人であるかぎりは 必ず毎晩 寝がけにお湯に入るでしょう。それよりも大事なことは 心の垢 汚れをおとすことなんです。
 ましていわんや この複雑なマスコミ時代に生きている関係上というものは
いくら自分で気をつけたからといって 自分の心に知らざる間にずいぶん そらもう大きな垢 汚れがついちゃってきてます。
 それを寝がけに 何の用意もなく そのまんま寝るだけでも恐ろしいのに いわんやましてさらに 垢に垢をつけるようなことをやって寝たんじゃ 何のことはない それは毒薬飲みながら寝てしまうのと同じことですよ。
 だから 寝がけは どんなことがあろうとも 心の態度を消極的にしないという心がけを実行に移しなさい。
 そうすると 習いは性。人によると 十日も二十日もかかる人もあろうけれども やらないよりは やるにこしたことはない。一生懸命その心がけを毎晩 毎晩やっていると しまいにはもうね。どんなに心配なことがあろうと 腹が立つことがあろうと また恐ろしいことがあろうと 今度は気にかからなくなっちゃうんです。
 それからもうひとつ大事なことを教えておく。寝ぎわに鏡を応用して 鏡がなければないでいいんですが 自分に自己矯正の暗示をかけると 自然とその暗示通りに心が作りかえられていくという効果があるんです。
 ですから 最初はうそでもいいから たとえば 何か非常に気になってしょうがないことがあったならば<こんなこと気にならない。気になるもんか。今までは気になったが もう気にしてやしない。何もない。へいちゃらだ>と暗示をかける。自分自身で自分自身につぶやいても 大きな効果があるんです。
 つまり 自分の心をとにかく汚さないこと 汚さないことなんだ。
 ことわざにこういうのがありますね。<おのれに勝ちあたわざる者は天下とるにあたわず>。結局要するに つまんねえことに腹立ったり おっかながったり 心配したりするのは おのれに勝ちあたわざるがためだろう。しかも その己にかつということがなかなかできないんだが たったいま教わったような簡単明瞭なことをやってごらんよ。自分でも驚くほど意思の力が強くなってくるんだから。
 ただ あまりにも簡単で あまりにもやさしい方法であるために この方法の真の価値をわからない人には 鶏がダイヤモンドを見たのと同じような結果がくるおそれがありますからね。
 理論からあなた方を導いたら 空もう一晩や二晩や十日や二十日じゃ このやさしい方法に対する理解というものを 説き尽せないんですよ。
 この方法をやって 一日も早く自分自身の心を自分自身が本当に安心して頼みにして生きられる人間にならなきゃ。それでないと 自分の貴重な人生というものが いつまでたっても哀れな弱い心でもって 価値のない状態にされてしまう結果しかきませんぜ。
 そして私は自分自身で なるほど効果があるなあと思ったのは 字と絵がめちゃめちゃに上手になったことなんです。私って人間は昔 字や絵なんか全然かけなかった人間なんです。字なんてのは 自分の書いた字が自分で読めなかったんだから。それがまあねえ けいこする暇なんかありゃしませんわ。けいこしないでもって ただ毎晩の気持の取りかえをやっただけで とにかく人並み以上のものが書けるようになった。

―続くー



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