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<心に成功の炎を>14 

2018年04月23日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 ありがたいことに 私の話を聞いた人なんかが お礼をよく言いにきてくれますが    <先生 おかげさまでもって まあ本当に家じゅう健康になりまして ありがとうございます>とか
 <商売もおかげさまで繁盛いたしまして いえもう このごろは娘も息子もほんとうによく私の言うことを聞くようになって うちじゅう もうほんとうに平和でございます>
 こういう礼をいう人を見ると 私はね この人 いったい何を聞いてけつかたんだろうと思うんです。そういうときはいつも
 <あなた 私の話を本当に聞いてたの。間違って聞いてるなあ。まっ お礼の言い方 2,3日考えてから 言い直しにいらっしゃい>と それは相手の身分が高ければ 身分の高いほど きつく言いますよ。
 私が涙が出るほどうれしいお礼の言葉は もう一つ上にあるはずなんだ。
 <先生ありがとうございました>そのあと何を言うかと思って 私はじいっと聞いています。 
 <いえねえ おかげでこの頃は 先生 うちにどんな病人ができても どんな運命的なことができましても 以前と心持が違うんです。ぜんぜん心持ちがいたぶられないんですよ。それはもうほんとうに 天風会の誓いの言葉どおり 怒らず 恐れず 悲しまず 正直 親切 愉快に 力と勇気と信念を持って・・・。ほんとうですよ 先生。どんなに私の心を乱すようなことを仕向けられても 断然 私の心は始終 平和でございます。憎い人は一人もいません。私の心の中は愛で満ちています。ほんとうにありがとうございます>
 こういうお礼を言われると 私ねえ もう抱きしめてやりたいようなうれしさを感じます。
 つまり どんな大事に直面しても どんな危険な場合に直面しても 心がいささかもそれによってあわてたり あるいはそれを恐れたり 上がったりしない いわゆる平然自若として ふだんの気持と同じようにこれに対処することができる状態。どんな目にあっても どんな苦しい目 どんな思いがけない大事にあっても 日常と少しも違わない。平然として これに対処する。これが私の積極的精神なんであります。わかった?
 そういう気持になってこそ はじめて人間として立派に仕事をやりとおせ 自分の人生を立派に生きていくことができるんだよ。
 昔の歌に<晴れてよし曇りてもよし富士の山>というのがあるね。富士山というものは 天気だろうが 曇って雲がかかろうが そのもとの姿は変わらない。あの状態 あれがいわゆる絶対積極の気持なんであります。

          *

 それじゃあ どうすれば精神を積極化できるかという実践方法に入っていきますが 前にも言いましたけれど 軍事探偵時代 何日も何日も雨にたたかれようが 風に吹かれようが 木のまたに寝ようが 睡眠不足にもならず 疲労もせず 倦怠も感じなかった丈夫な私が 戦争が終わって 明治39年当時 伊藤博文さんが朝鮮総監をされていた時代 私は陸軍から高等通訳官を拝命しまして そして任務について三ヶ月目に大喀血をしたんです。まったく青天の霹靂とたとえたい 驚きでした。風邪ひとつ くしゃみひとつしない人間が 戦争が終わって悠長な任務について きわめてのんびりした気分になりえた たった三ヶ月目のことなんですから。

ー続くー



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