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<心に成功の炎を>7 

2018年04月14日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 じゃあ人間とは何だろう。正しい真理のうえから厳粛にいえば<人間とは感情の動物>ではなく <人間とは感情を統御しうる生物なり>。これが本当の人間の姿なんであります。
 しかるに この本当の人間の姿だという真理のうえから 厳しくあなた方の人生生活を考えてごらんなさい。感情を統御するどころか しょっちゅう感情に追い回されているだろ。自分の心が怒っているか 泣いているか 恐れているか 悶えているか 迷っているか 苦しんでいるか 憎んでいるか ねたんでいるか そねんでるか このどれかしらに当たるね。
 心に一切の邪悪邪念なく 怒りも悲しみも恐れも 憎みもねたみも そねみも 悶えも苦しみも 悩みもなく生きてる人 千人に1人いるかなあ。
 けれども 失礼だが たとえどんなに宗教を信仰してる人であろうと また ほかの修養法をおやりになっている人でも 感情を統御して心を積極的に生かす実際方法についてはご存知ないと 私ははっきり言いきります。
 なぜならば 天風以外の教えは <How to say(ハウ ツー セイ)>に重きをおいて <How to do(ハウ ツー ドゥ)>に重きをおいてないからであります。
 お医者さんが患者のところに行って 帰りがけに<お大事に>と言いますね。その意味を詳しく聞かないから それなりでもって無事に済んでるんだけど よく考えてみりゃあ言ってる者も聞いてるものもわからない。
 <お大事に。また明日>
 <ちょっとお待ちください 先生 お大事にとおっしゃいましたけれども どこをどう大事にしましょう>
 <そらあ そういわれても困るね。つまり大事だよ>
 <ですから どういうふうにいたしますれば大事になりましょう>
 <あんたも変なことを言う人だなあ。夜も十分寝かせて 暴飲暴食させないで 何をおいても第一番に必要なのは病を気にしないことだな。さよなら>
 <先生 先生 ちょっと待って。暴飲暴食だけは看護のほうで気をつけますけれど 夜よく寝ろと言いましても あの病人は寝ないんです。夜になると 意地悪く目を覚ましますの。気にするなとおっしゃいますけど あの病人くらい そら病を気にするものもいません。どうすればいいのでしょう?>
 <そらそのう そこが大事>
 <どうすりゃあ大事です?>
 <そらそのう そら私のことでない。病人のことだから 病人に言いなさい。よく寝なさいと>
 あんまり問い詰められると医者は困るから
 <さようなら>
 <そんなこといったって 先生 だめですわ>
 <そうか じゃあしょうがない 鎮静剤でもあげようか>
 たいてい臭素カリぐらいでごまかしてね。
 <これ 貴重なもんですぞ>
 そんなものは効きゃしない。催眠剤さえきかないのに ねえ。
 あなた方 人ごととして われに関係なしというような気持ちで聞いちゃいけませんよ。親が子供に小言いうときだって 先輩が後輩に意見するときだって 言ってる本人もわからないでもって 言われてる本人もわからないというような こんにゃく問答をしょっちゅうやってますぜ。
 つまり 我々が今まで人生に生きる際に得た心の統御の方法たるや できない相談をできるかのごとくに考えて教えこまれた ここに過ちがあるんです。
 我々が教わった方法は そういう心が出たら抑えなさい というだけなんだ。それで抑えられる とめられるんなら 人生 何も苦労しない。そうでしょ。
 坊さんのほうじゃ よくこう言います。
 <人間が極楽へ行かないまでも 日々をもっと安楽に生きたかったら 何をおいても まず欲を捨てなされ 欲を>
 <欲を捨てろって 和尚さん おっしゃいますけれども どうすれば欲を捨てられます?>
 と聞くと たいてい これはお説教の紋切り型です。
 <それはなあ 諦めがあんたについていないからだ。一切合財 諸事万事 因縁ずくじゃとあきらめなされ。教えにもうたってある。使い果たして2分残る。金より大事な忠兵衛さん 咎人になりゃしゃんさも>
 <諦めろよ>と言われて <あ そうか 諦める>とすぐ諦められれば 人生 なんにも苦労しやしない。<諦める>と言われりゃ言われるほど 諦められない。これはあなた方もよく経験してますでしょ。
 じつは 今えらそうなことを言ってる私なんかも 35歳ぐらいまでは あなた方と同じだったんです。

ー続くー
<明日の日曜日はお休みします>



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