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<心に成功の炎を>5 

2018年04月12日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 そこでだ 理想的な人生を生きるうえで 注意のうえにも注意をしなきゃならないことは <怒っていけないこと>と 悲しんでいけないこと>と <恐れていけないこと>なんです。これの逆をのべつまくなしに ひっくり返しひっくり返し 日々やっているのが あなた方の日課だ。変なことがデイリーベースになっていますよ。
 <人間だから怒るのは当たり前だ>って言う人がいるけれども どういうわけで人間なら怒るのが当たり前? 世のおおむね多くの人々は<怒ったり 泣いたり 恐れたりするのは 人間だからできるんだ。犬や猫や豚や馬でもやるかもしれないけれども 人間ほど繊細で 直感的な感情というものをもたないじゃないか>と言います。
 そしてそういう人に限って <人間は感情の動物なり>というような間違ったことを言っていて 間違ったことをいってないと思ってる。<感情の動物だから 怒ったり 泣いたり 恐れるのはあたりまえじゃないか>なんてね。屁理屈の出発点を間違えて 結論もやっぱり間違って 正当なとこへ到達するはずがないんですよ。
 このお集まりの中に まさかとは思うけど 人間を動物の仲間に入れちゃって <感情の動物なり>といって 万物の霊長として 生きとし生ける生命を与えられたものの中で一番尊い存在であるはずの人間を 馬や猫と同じにしている人がいやしないか。
 そう考えてるもんだから 人間それ自身の評価を われ知らずグンと低くしてしまっている。現象界に存在するものというものの中で いちばん何よりも尊いのは人間なんですよ。
 それを <これを怒らずにいられるか>とかね <これが恐ろしくないでどうする>なんて 通らない理屈を言っている人がある。中にはもっと変な理屈をいってる。
 <おれはな 怒りたかねえぜ。怒りたかねえ>
 <怒りたくないなら怒らなきゃいい>
 <怒りたくないけれども これでも怒らずにいられるかというふうにするから 余儀なく怒るんだ>といって つきあいで怒ってる人もいる。
 そうして 怒ったり 悲しんだり 恐れたり 悶えたり 憎んだり 迷ったり 悩んだり いちばん肉体を健康に丈夫に生かそうとするところの血液を濁してしまっているんです。
 とにかく いま言ったような消極的な感情がフワーッとでるでしょう。コントロールしないと いきなり交感神経系統がフーッと異常興奮を起こす。それと同時に 腎臓の上にある副腎の中から アドレナリンという化学物質が発生するのであります。
 アドレナリンは何のために発生するかというと ハッと驚いたり カッと怒ったりしたときに 各種の破壊作用が知らない間に細胞組織の間に生じますから その生じる破壊作用を防ごうがための自然現象なんだが ここなんだ 注意すべき問題は そういういい目的を持ったものでも 分量が増えちまうといけないの。
 どんないいことでも たとえば栄養物が大変これはいいからというので それじゃあとそいつを仰向いて歩かなきゃ歩けないほど食ってごらん。体によくないだろう。
 このアドレナリンが いわゆる発生過剰の状態になるとね そりゃ恐ろしいんだ。いろんな結果がくるが 一番先に末梢動脈がキュッと収縮するんであります。収縮すると同時に 血液の循環障害というものが起こってくる。円満に血液が循環しなくなる。そして恐るべき問題は 血圧が上昇する。同時に しばしばそれを繰り返しやってると 血管硬化が早く来る。
 この間 大阪のおそばとうどんのすき焼きをするところへある人に連れていかれた。その店には中年以上の紳士がわんさと来ていたんだが うまくもなんともないんだ。
 こんなまずいもの よくまあどっさり食うわと思って聞いたらね 来てる人は うどんが食いたい そばが食いたいで来てんじゃないんだそうだ。なんでかって聞くとね。血圧が下がるというので来ているという。ほう そうかといっている時に となりで<なんではよ 持ってこんねん これから東京へ行くねん>なんて怒ってるやつがいる。
 <あれ こいつ そば食って血圧下げて 怒って血圧上げてるわ>と思いましたな。おかしいでしょ。
 それから2番目には アドレナリンが生産過剰になると 糖分が増加して 血液が酸性化しちまう。この血液の酸性化というのはおっかないんだよ。血液というものは弱アルカリ性 学問でいうと 純正アルカローシスというのが理想なんです。
 どういうわけで糖分が増加するかというと カッと怒ったり ハッと驚いたりするとね 肝臓の中の糖原質がブドウ糖に変化してしまうんです。ブドウ糖に変化して このブドウ糖が 必要なところに流れてくれりゃぁいいけど 組織の中にも入ってくる。このブドウ糖が バクテリアに抵抗する血液の抵抗力を弱いものにしてしまう。
 さあここだ。病原菌を束で食おうが この抵抗力があったら菌に侵されやしない。結局要するに 抵抗力の薄弱な人間になっちゃってるから その原因はいずこにありやといえば 心の使い方なんであります。

ー続くー



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