宗教日記

梵我一如と『神は私のうちにいる』 

2018年03月08日 ナビトモブログ記事
テーマ:宗教

知人に勧められ購入した哲学者岩田靖夫さんの
「人生と信仰についての覚え書き」を
ほぼ読み終えた。

岩田さんは聖書やキリスト教から
ものごとの本質を追求しているのだが、
既存のキリスト教の教義に縛られない自由な見地で
考察をされている。

本書の中ごろにある次の言葉には深く頷かされる。
八木誠一さんという聖書学者の考えでもあるが、
「仏教とキリスト教は根本的な点で同じだ」という。

私も、以前キリスト教徒であったにもかかわらず、
仏教などから物事の本質を探ってきたので、
こうした観点を持ち始めていた。

浄土真宗の「阿弥陀」のことを
クリスチャン時代に読んでいた「神」に言い換えて
いってみたりしていたのだが、
ちゃんとした考察の元やっている訳ではなかったので、
言いながら口ごもったりしていた。
本書によって自分の中のあやふやさが
だいぶ是正された感がある。

岩田さんの「神」についての考察は次の通りだ。

「私に命を贈ってくれた
『あの目に見えない根拠』は目に見えないのだから、
本当にどこにいるのか誰にも分かりません。
しかし、さっき言ったような意味で、
我々は自分で自分を存在させているのでないから、
この根拠が私の命の根底に入っていることを
自覚できるのです。

だから、それは、
私の最大の他者でありながら、
私の奥底にある本当の自己でもあるということです。
それは、私(小我、アートマン)の自由にならない、
という意味で本当の自己です。

そこでかりに私が
世の中のすべてに見捨てられて、まったく
孤独の闇の世界に落ち込んでしまったとしても、
生きている以上、
この根底の自己が私を支えてくれているのです。
そういうふうに安心してよいのです。

だから、この他者との交わりという話を、ただ、
人間の世界の中で人と交われなければおしまいだと
考える必要はありません。もし万が一、
人間の世界で失敗して、もう友達がいなくなって、
まったくひとりぼっちの孤独に落ち込んでも、
この命を贈ってくれた最大の他者が
自分の心の奥底にいるのだと分れば、
最後の安心を持つことができるでしょう。

このことを、東洋人は昔からよく理解していました。
たとえば『梵我一如』という言葉があります。
梵とは、ヒンズー教のブラフマンです。
仏教の源はヒンズー教ですが、
ブラフマンを梵という漢字で訳したのです。
そのブラフマンが私<我>と一体だ、という意味です。
我はアートマンです。

ブラフマンは、宇宙の根源、天地万物の根源です。
そのブラフマンがこの私という小さなアートマンと
一つだというのです。
これをキリスト教の言葉で言うと、
『神は私のうちにいる』、
あるいは、『私は神のうちにいる』となります。
神はどこか遠く離れたところ、
たとえば、天の彼方にいるのではなくて、
私の心の奥底にいるということです。
   (「人生と信仰についての覚え書き」p47,48)



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

確かに

joybellさん

>「自分の心」というときには、一歩誤ると、
固定化したものを思い浮かべてしまうのですが、
「これが自分の心です」などと取り出しては言えない。
確固としたものではないというのが自分の見解です。

と書かれていますが確かにそうだと思います。
一般的に人は形がある目に見えるものを信じる傾向にあります。
故に多くの宗教で信仰の対象として形あるものを作るのでしょうね、例えば仏教でいえば仏像がそうだと思います。

2023/10/16 13:51:10

joybellさんへ

菜穂子さん

>「内なる神」とは自分の心なのではないかと思っています。
ほんとその通りと思いますよ。
ただ、「自分の心」というときには、一歩誤ると、
固定化したものを思い浮かべてしまうのですが、
「これが自分の心です」などと取り出しては言えない。
確固としたものではないというのが自分の見解です。

2023/10/16 11:59:12

神とは

joybellさん

自分の心と同じで見ることができないものだと思います。
ぼくが洗礼を受けた教会では十字架さえ偶像崇拝だということで
十字架は教会のどこにもありませんでした。
「内なる神」とは自分の心なのではないかと思っています。
欲望にも煩悩にも影響されることなくいつも同じ状態の心であれば
他人と対立することなく平安をたもてるのではないかと思っています。

2023/10/16 10:27:48

こんにちわ

さん

菜穂子様、こんにちわ。
貴女の記事を読んでいると、
毎朝の『礼拝』を思いだします。
中学から、私立のプロテスタントの女子校でした。
毎朝『礼拝』がある為、他の私立校より30分以上早く
始まる学校で…通学はとても大変でした。
でも、こうして記事を読んでいると…
大聖堂のステンドグラスの窓や、、
パイプオルガンの音色を思いだします。
記事、、これからも楽しみにしています。

2018/03/08 12:16:44

PR







掲載されている画像

    もっと見る

上部へ