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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

92歳老人北軽井沢移住生活奮闘記(39) 

2016年09月24日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


野菜直売店は、爽太にとって初体験なので、何もかもが初めての経験だ。230円、270円などの商品もあり、すらすらと暗算もできない。最初の頃はよく計算を間違えた。
「ちょっと待ってね、今、計算するからね」と言って電卓を取りだし、一つ一つ計算するようになってから、その後計算間違いは減ったが、何人もの客を一人で裁くのだから、売りたいという一心でついつい急いでしまうこともあった。
 
レタスの「レ」は、「カフェ・オ・レ」の「レ」と同じで、ミルクという意味である。日本語では「ちしゃ」あるいは「ちさ」と呼ぶが、この「ち」という語は「乳」の意味で、古くは「乳菜」と書かれることもあった。レタスを収穫するとき、茎の根元を切ると、切った断面から白濁した汁がしみでる。その 白い汁を、昔の人は乳(ミルク)にたとえたのだ。
 
ある時、このような文章をカレンダーの裏の白地にマジックで書き、店の壁に貼り付けてみた。これが好評で「へ〜、そうなんだ。知らなかった」という人がほとんどで、そこから購買意欲が出てくる人もいるし、話しているうちにいろいろと買ってもらえることもある。
この文章は、玉村豊男著「世界の野菜を旅する」の中からいただいたものだが、野菜の歴史や原産地などを知ると言うこともとても面白い。
 
このレタスの「レ」に興味を持った人には、サラダの話しをする。
美味しいサラダを作るコツは、まず野菜の水分をしっかり切ることである。葉に水分が残っていると、せっかくのドレッシングが葉の表面をうまくコーティングすることが出来ない。サラダの理想は、すべての葉の表面に、ドレッシングの液体が均一に接触している状態なのだ。塩と酢と油を混ぜたサラダのソースのこと を英語で「ドレッシング」と呼ぶが、これは野菜にドレスを着せる、という意味である。
 
なんて、本のネタを得意になって話す。こんな時はどうせ暇な時なのだから、時間つぶしにもとてもいい。地元のおばさんと話していると、おじさん博学だねなんて誉められるが、いやいや、ほれこの本に書いてあったのさ、と本を見せる。
 
しばらく時間が経ってくると、このキャベツは柔らかくて美味しかった。ここのレタスを食べるとスーパーのレタスはもう食べられない、なんて言ってくる地元の人が多く現れ始めた。それからはもう自信たっぷりの爽太は、野菜のおじさんになりきって、口八丁、手八丁でしゃべり始めた。
 
8月の20日過ぎに販売品目が一つ増えた。ジャガイモである。一袋100円なので買っていく客も多く、とても美味しかったという感想を耳にすると、何処かに良いネタはないかと本をめくる。
 
ジャガイモの品種は19世紀に急増し、現在では数千を超えるといわれている。食用の植物としてはトウモロコシ、小麦、コメに次いで大量に栽培されているが、家畜用飼料にまわされる量が多いトウモロコシを別にすれば、ジャガイモは人間にとっての主食である穀類と肩を並べる地位を不動のものにした。 もう人類は、ジャガイモなしでは生きていけないだろう。・・・と、ここまでは話せるように何度も本を読み返す。
 
「ジャガイモは、土の中のリンゴ。アダムとイヴは、禁断の木の実であるリンゴを食べたために楽園を追放されたが、地上で生きることを余儀なくされたその子孫たちは、土の中のリンゴによって生き延びた。」
この文章を、ジャガイモの価格の隣に貼り付けてみた。その後、毎日10袋のジャガイモは飛ぶように売れ始めた。
 
後に分かったことだが、これはPOP広告(ポップこうこく)の方法だったのだ。
POPは、紙を広告媒体としてその上に商品と価格、またはキャッチコピーや説明文、イラストだけを手描きしたものであり、数ある広告媒体の中でも単純なツールの一つだ。POPは個性的な雰囲気を作り上げる力があり、POP一つでその商品、ひいては店舗の売り上げを左右するとまで言われるほど、実に優れた力を持っている。爽太は、知らず知らずのうちにそのPOP広告を実践していたのだった。
 
 
 

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