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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

小説その36 

2016年08月24日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し




キュウリの収穫はそれほど大きな面積ではないので、難しくはないけれど、大きな葉に隠れたキュウリを探すために、葉を手でよけながら進む。キュウリのエリアをすべて回って収穫したキュウリをコンテに入れていく。目と神経をキュウリに集中する。頭の中はあの収穫する大きさのキュウリだけ。爽太は一人のアルバイト労働者だが、これを生業として生きている人もいる。世の中にはいろいろな職業があり、それがあるから世の中は成り立っている。キュウリの茎から一個一個もぎ取りながら、日が傾き始めたとはいえ晴れた夏空からの日差しに、じわじわと汗が出る。トウモロコシを植えていたころに聞いたカッコーとホトトギスの声はもうなかったが、時折近くの森からケーンケーンという雉の鳴き声が聞こえた。
 
キュウリの収穫を済ませて、爽太はモロッコインゲンのアーチへ向かった。アーチの中で腰をかがめながらの作業は腰に来る。またモロッコインゲンは、キュウリに比べてその数が多い。そこいらじゅうに鈴なりになっているモロッコから収穫する大きさを探し、次々にもぎ取っていくが、量が多いのでなかなか進まない。コンテにいっぱい入れると重くて運べないので、爽太は半分ぐらいになると地面に印をしてトンネルを入った方向へとコンテをもって腰をかがめながら急ぐ。そして次のコンテを持って再び印の場所まで駆ける。
地面に印をしてまた入口方向へ戻る。距離はどんどん遠くなり、最後は途中で休憩しなければ運び出せなくなる。収穫する大きさは、頭の中では分かっていても、どんどんもぎ取っていかなくてはすすまない。そんな状態なので多少小さいのも収穫してしまうという間違いは起こる。作業は午後7時前にやっと完了する。午後3時まで野菜売り場で働き、その後の作業がキュウリとモロッコインゲンの収穫だ。さすがの爽太も疲れ切った体で帰宅する。
 
見せまいと思ってもやはり千恵子には隠せない疲労の身体。
「どうだった?」と明るく迎えてくれた千恵子に、野菜がほとんど売れたことや、グルジイが来てくれたこと、キュウリとモロッコインゲンの収穫作業の様子などを話すが、爽太の疲れた様子に「大丈夫?収穫は断ったら」と千恵子は的確な判断をする。
一日でねをあげては男が腐る、と強がりを言いながら、もう少し続けてみると言って、爽太は風呂場へ行った。熱い湯に身体を沈め、ふーと一息。なんと気持ちのいいお湯か、まさに天国だ。こんな風呂に入ったのは何年振りか思い出せない。
野菜売りのオジサンの一日目は無難に終わったが、75日休みなしの約束がある。
やっと終わった第一日目から弱気にはなれない。あと74日、長い戦いは始まったばかり、ゆっくりと湯につかりながら、爽太は徐々に元気を取り戻していった。
食後すぐに睡魔が来た。当分の間ブログは書けないと言ってあるが正解だった。
とてもこの状態では書けない。爽太は目を閉じるとすぐに眠ってしまった。

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