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社会派で娯楽作・「日本で一番悪い奴ら」 

2016年07月17日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


「日本で一番悪い奴ら」の映画を観て、これはまた痛快な警察官映画ができたものだと、嬉しくなった。2002年に実際に起こった北海道警察の組織ぐるみの犯罪(稲葉事件)を描いていて、主人公はその組織犯罪の犠牲者に仕立て上げられた。つまり、内容は社会派の告発映画といえる。しかし、そんなことより刑事でありながら、ほぼヤクザとおなじような言動と暴力沙汰をひきおこし、その人脈を生かして拳銃を巻き上げ、自己の成果として申請し、警察組織の中でみとめられていくところが面白い。これは、警察官の裏の出世物語になっている主人公の北海道警の刑事・諸星要一はまるで、劇画のように警察官の立場を利用して、暴力団関係者とつるみ、裏金を懐に入れ酒と水商売の美人ホステスにおぼれる。そのホステスとの濡れ場シーンがけっこう色っぽい。新人・諸星(綾野剛)に警察官としての裏の生き方を教える先輩として、ピエール瀧も出ている。彼は、NHKの連続ドラマ「とと姉ちゃん」に出ていて、の仕出し屋「森田屋」の大将を演じていた。彼が演じるこわもて刑事の役が実にうまくはまっていた。映画の前半だけで出てこなくなるのが、もったいないほどだった。クラブでホステス女性を両脇にはべらせ、ホステスの女性の胸を揉みながら、警察官としての悪の道を説くピエールは、独特の魅力にあふれていた。これくらい悪役がはまる人もいないのではないか。その演技力にほれぼれした。ところで、その胸を揉まれる女優・松岡依都美さんに関して、面白いエピソードがあり、ラジオ番組「たまむすび」で、司会の赤江さんと以下のようなやりとりがあった。?(ピエール瀧)レクチャーする時に、女の人のおっぱいを揉みながら説明するんですけど。揉んでいる人が『凶悪』で僕が抱いていた彼女というか、内縁の妻っぽい松岡(依都美)さんっていう女優さんですけども。?(赤江珠緒) ですってね。そこなんですね。あの方なんですね。?(ピエール瀧)そうなんです。だから現場に言って、白石監督が「じゃあ、お願い?します」っていったら、松岡さんがいて。「えっ、監督。また僕、 松岡さんのおっぱいを揉むの?」っつったら、「そうです、瀧さん。揉んじゃってください」っていうから(笑)。?(赤江珠緒) (笑)。いや、それ気づかなかった。また全然違う役をされていたから。?(ピエール瀧)なんの天丼なのかな?って思って。「また揉むの?」っつったら、?「また揉んでください」って。で、松岡さんも「また揉んじゃって ください」って言ってるから(笑)。ところで、ピエール滝演じる先輩警察官が、捕まった後にも、主人公の刑事、諸星は態度を改めることなく悪事を続ける。さらには水商売の女性だけではなく、シロウトの警察官の女性社員までも手をつけ、社内で一目を盗んで性行為に励む。やっていることは本当にハチャメチャで、これで何事もなく警察官の仕事がまっとうできたなら、善悪は別としてこんなに愉快な生き方はないであろう。しかし、事はそんなにうまくゆかず、警察署の内部に悪事が公になり、北海道の奥の僻地に飛ばされ、しまいに覚せい剤所持で捕まり、哀しい結末となる。前回見た、同じように実在の犯罪を扱った「凶悪」も、とても面白い映画だったが、今回の「日本で一番悪い奴ら」も実に充実した映画だった。白石和彌(しらいし かずや)監督に今後も注目したい。

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