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こじきのくれた手ぬぐい 

2016年01月14日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

松谷みよ子のむかしむかし 日本の昔話3 講談社 より再話

こじきのくれた手ぬぐい

あるところに、長者どんの大きな屋敷があった。
ある日のこと、長者どんのおかみさんが機織りをしておると、みっともない乞食が入ってきて、
「水をいっぱい飲ませて下され」と頼んだ。
おかみさんはうるさがって、
「そこら辺の川の水でも飲んだらよかべ」と、追い飛ばした。

それを見ていた下働きの娘が見るに見かねて、自分の食べる分の握り飯を一つ手に持つと、お椀に水を汲んで乞食の後を追いかけた。
乞食はたいそう有難がって、ごくりごくりと喉を鳴らして水を飲むと、にぎり飯をおし戴いて、お礼にと手ぬぐいをひとすじくれて、とぼりとぼりと行ってしまった。

次の朝、娘はいつものように、暗いうちから起きて顔を洗い、昨日もらった手ぬぐいで顔を拭いた。
それから、水を汲むやら、飯を炊くやら、身体が三つあっても足らんぐらい忙しく働き回っていたが、いつの間にかおかみさんが起きてきて、娘の顔を穴があくほどじろじろ見ておる。
娘は妙に思って、
「何ぞついておりますか?」と言って、また手ぬぐいで顔を拭いた。
とたんにおかみさん腰を抜かした。
「その手ぬぐいはどうしたえ! お、お前の顔はどうしたえ!」と騒ぎ立てたものだから、家中の下男や下女も集まってきて、アッとたまげた。
「お前! その顔どうしたんじゃ!?」
「ほんにまあ、綺麗なおなごぶりじゃ!」
そんなこと言われたって、娘にはなんのことやら分からん。
ようやく鏡を借りてビックリした。
色が真っ黒で、山ざる山ざると馬鹿にされていた醜い顔が、ひと皮もふた皮もむけたような、色の白い、目の黒々とした、美しい娘の顔に変わっていた。

おかみさんは、
「その手ぬぐいじゃ、拭くたびに綺麗になりよる。どれ、わしにかしてみい」と手ぬぐいをひったくって自分の顔をごしごしこすった。が・・・なんともない。
そこで娘がまた拭くと、いっそう美しくなった。おかみさんは、
「その手ぬぐい、だれに貰うた、言うてみい」
「へえ、昨日の乞食にお水をあげたらお礼にと」
「なにぃ、昨日の乞食だと!ええ悔しい、そんなことならわしが水をくれてやるんじゃった」おかみさんは地団駄を踏んで、
「おいみんな、そこらあたり駆け回って、昨日の乞食を探してこい。居らなんだらどんな乞食でも良いわい、片っ端から引っ張って来るんじゃ」と言ったものだから、下男も下女もみんな仕事をほっぽり出して村へ出て行った。
そうして、乞食とみれば首っ玉捕まえて引っ張ってきたものだから、たちまち裏庭は乞食でいっぱいになった。
おかみさんは喜んで、
「ええわいええわい、これだけおりゃあ一人ぐらいたからの手ぬぐい持っている者も居ろうて。さあさあみんな、遠慮せんと、飲んで下され食べて下され」急に優しい声になって言った。
喜んだのは乞食ども。飲むわ飲むわ、食うわ食うわ、そのうち歌い出す者あり、踊り出す者あり、一晩中大騒ぎをした。
やがて空が白々と明けてくると、乞食たちは一人二人と帰り始めた。
おかみさんは慌てて、
「手ぬぐい持ってないかい。持ってたら置いてっとくれ、手ぬぐい持ってないかい」と騒ぎ立てたが、何しろ乞食のことだ、有ったらもらいたいぐらいのもんで、みんな黙って帰って行く。
おかみさんは青くなって、最後の乞食の腕をがしっと掴んで、
「手ぬぐいをおくれ!」とわめいた。
乞食は、ふところから汚い手ぬぐいを出すと、黙ってすたすた行ってしまった。
おかみさんは喜んで、
「ほうれ、わしも手ぬぐい貰うたで」と言ってその汚い手ぬぐいで、顔を拭いた。
とたんにおかみさんは馬になり、馬はひんひん鳴きながら、山の方へ駆けて行ってしまった。
それっきり、戻っては来なかったんだと。



挿し絵を描いてみたくて、いろんな顔を描いたのですが、みんなイメージと違っちゃうのでした。

神様にもらった顔はどんな顔かなあ、ふっくらした丸顔、富士額、三日月眉、切れ長の目、梅の花のような鼻、おちょぼ口、と思って描いたら、二十歳過ぎの顔になっちゃって、15歳には見えません。
いろいろ描き直しましたが、イメージの絵になりません。

絵は素人なので、これから勉強します。その楽しみも始まったわけです。
76歳で語り始めたのだから、84歳で挿し絵を描き始めてもいいわけでした。やってみようっと!

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