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「強い(コ・ワ・イ)おんな」 

2014年08月28日 ナビトモブログ記事
テーマ:暮らし

これは小説として書いたものです。
フィクションとしてお読みください。
   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 戦後の昭和22年、23年、24年は、解放感からか
大量なる出産ブームとなり、世の中はかつてない
ほどのベビーブーム到来期であり、日本の変革期と
重る時代にあたる。
(第一次ベビーブームのピーク時の昭和24年には
270万人とされている)

この第一次ベビーブーム世代の者たちは、
子供時代から敗戦後の日本が繁栄を願い、立ち直って
いく様を体に刻みつけながら成長した年代である。
今やシニア年代に達し、名を改め「団塊世代」となった。


この物語に登場させた冴子もそうした日本の
社会背景の中、「強い女」へと成長した一人
でもある。

冴子も私も小学校入学当時の昭和29年は高度経済
成長期に入り、日本が成長を遂げ始めた時期であった。

当時の女たちは欧米の文化が流れ込むと同時に、
ファッションも華やかに装えるようになり、
女性が美しく変身しだすと男性が元気になるという、
日本は敗戦を忘れようとするかのように一気に活気を
取り戻して行った。

冴子は丁度その頃、母親の都合で生活の場を移す
ことになり、私が在籍する小学校に転校してきた。
冴子にとってはやっと慣れた小学校から、一年生の
2学期に新しい学校の門をくぐることになるとは
思ってもみなかっただろう。

転校の日、挨拶を済ませた母親の手を離れ、
新たな同級生の輪の中に入ってきた。
その時の冴子の表情を私は今でもはっきりと
思い出せる。

色が白く、ふんわりとした亜麻色の髪を持つ
冴子は、誰が見ても振り返る綺麗な少女だった。
小さな転校生は恥ずかしがることもなく、むしろ
堂々と自信ありげに立っている。
見透かされまいと強い意思を漂わせ、幼くも
凛とした姿で立っている少女だった。

冴子の母親は今でいうシングルマザーの生活に
終止符を打ち、冴子にとっての新しい養父となる
男性と暮らしを始めるため、この海が見える街に
来たらしい。

のちに冴子の母親が、時代の波に乗り順調に
会社を大きくしていた妻子ある会社経営者の
「囲われ者」「二号さん」であると知ることに
なるのだが…

私たち第一次ベビーブーム時代で生まれた
生徒数の多い学校で、また同じクラスになる
のも珍しいことだったが小学校最終学年は
また同じクラスになった。
下校時には我が家に寄り道をして遊んでいく
こともあり、また坂の上に建つ冴子の家に
遊びに行くこともあった。
初めて冴子の家を訪ねて行った時、違う名の
二つ表札が上がっているのを見て、子供心にも
チャイムを押すことを躊躇ったのを思い出す。

家には背広姿の男の人が居て、出かける前なのか
「やぁ、いらっしゃい!」と、にこやかに挨拶を
され、足早に出て行かれた。
冴子が父親だと教えてくれたが、冴子の困惑気味な
表情で嘘だと思った。
家には住み込みのお手伝いさんもおり、
恵まれた家庭だと思ったがどこの家庭にもある
匂いがない家だと感じたものだ。
でも冴子がその匂いのない家の中で、どう思って
成長していったのか、その当時の私には解らない。

それから私たちは別々の中学、高校生へと成長し
付き合いも、たまに会う程度の友達関係が
続いていった。

その間、冴子は今は解散したが某音楽学校に入り
数年華やかな舞台にも立っていた。
その後、同じ芸能業界の男性と結婚し
家庭に入った。
(結婚も当時付き合っている女性から
彼を奪い取った形で結婚したと聞いた)

私は出産、子育てと専業主婦の生活におわれ、
東京で結婚生活を送っているという冴子とも
疎遠になっていた。

十数年後、私が東京の地に来て再会することに
なった時には、子供が持てなかった冴子は
日本画を習い、個展や美術団体の作品展に
応募したり、趣味に没頭する優雅な奥様に
なっていた。


同郷の私たちも中年といわれる年代になり、
時々会ってはご飯を食べたり電話は長話が常で
気安さで何でも話し合う友人になっていった。
冴子は歳を重ねても昔と変わらず周りの人の
目を引く美しさは健在であった。

それぞれ平和な毎日を送る中、冴子から
こんな相談の電話が入ってきた。
「なんだかうちの夫が○○子という女性とおかしいの…」
○○子は、往年の映画スター。
現在では冴子の夫がチーフ・プロデューサー
として、手掛ける舞台にも出演する誰もが
知っている大女優である。

        〜〜〜明日に続く〜〜〜



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秋さ〜ん

彩々さん

おめでとう、何て 秋さんから
言われると恥ずかしさと嬉しさ、
この上なし!です。

好き勝手書いてるBlogとは違って
文にまとめるって難しいと…
久しぶりに頭と肩が凝りました。

後で完結編をUPするので最後も
読んでね〜。

2014/08/29 05:26:49

ついにデビュー!

秋桜さん


おめでとうございます〜
心強い、お師匠さんがついてて
下さるので安心ですね^^

冴え子の今後が、楽しみですぅ。

2014/08/29 05:03:21

後が恐いです

彩々さん

パトさん、お読みくださって
ありがとうございます。

そのお褒めの一言が、かえって恐いです。

つづきの後でも、まとめて注意点をご指摘
いただければ幸いです。

2014/08/28 21:09:51

いいですねえ

パトラッシュさん

素晴らしいです。

2014/08/28 21:02:26

geotechさん

彩々さん

読んでくださってありがとうございます。

おまけにおっしゃる通り最後に
おかしな文章になっていますぅ><;反省!

また、直しておきます。
詰めが甘いところが私の難点で
ございます。

つづきもお読みくださいね。

2014/08/28 20:51:33

面白い

geotechさん

面白い題材で文章もすっきりしてます。
ただ、最後の文章
「その頃には冴子の夫も・・・・大女優である。」
の主語は冴子の夫。すると、夫が大女優となる。
一体、大女優は○○子なのか冴子なのか。
要らぬ意見を失礼。
明日が楽しみです。

2014/08/28 17:52:24

マリーさん、ありがとう!

彩々さん

冒頭に当時の社会情勢なんか入れちゃったもんだから
それで後が硬い文章になってしまった感があります。

ご指摘の( )内は私も気になったの。
読み手からするとス〜っと読めたものものも
ここで、突っ掛るよね。

明日の後編部はぞ〜っとします。
乞うご期待! なんちって(笑)

2014/08/28 15:54:14

とってもいいわ!

さん

はじめから最後まで一気に読めました。
文章が無駄なく洗練されています。

1か所だけ(結婚も当時付き合っている・・・)の所の( )だけなかったら最高。

続きが早く見たいです。

いよいよ彩々女史のお出ましですね。

2014/08/28 15:36:04

吾句先生へ

彩々さん

美しい女には気をお付けなさい。

ゆめゆめ、気を許してはいけませぬぞ。

そういう女性を「強い(コ・ワ・イ)おんな」と
言います。

一話完結で書きましたが、いっぱい知ってますっせ!

2014/08/28 15:33:17

Soyoチャ〜ン

彩々さん

しんどかったよ〜
これって、思ったより疲れるねぇ

吾句絡さん(笑)やSoyoちゃんが
脱稿祝いをしたくなる気持ちが解りました。

一話完結ですが、長いかと読んでくださる方に
悪いので取敢えず、分けました。

UPして自分で読んだら四角張った漢字が
多くて、これってどうなんでしょうね?

2014/08/28 15:23:57

いや〜、まだまだ

彩々さん

喜美さん、読んでくださって
ありがとうございます。

小説とするからには事実もチョイチョイ入って
ますが、ある意味自分の人生の中で垣間見た
事柄をどこまで膨らませることができるか…
事実と嘘の線引きが難しいですわ〜。

明日は強さ100倍(?)ですからまた寄ってください。

2014/08/28 15:17:32

いよいよですね〜

吾喰楽さん

こんにちは。

彩々先生、日頃のユーモアのある文体とは、全く違いますね。
今までの彩々さんは、仮の姿だったんですね。
中々、面白そうです。
明日からの楽しみが増えました。

差し障りがなかったら、何話くらいの小説か教えてください。

2014/08/28 15:16:44

スケール大きい!

さん

彩さん、凄い!
かいつまんだ少女時代から大人の女に変貌した冴子(名前も合ってる!)波乱含みな大人の展開が予想されるわ。

とても私には書けないジャンル。
やるわね〜
明日が楽しみだわ。

全く無駄のないシャープな文章も魅力よ。

2014/08/28 15:03:50

楽しみです

喜美さん

この頃シニアも作家揃いいですね
酒場で構想をねり 発表する
昔の作家もそういう人あったでしょうね
貴女 本出して儲けたら
私にも頂戴

明日が待ち遠しいわ
                

2014/08/28 14:25:27

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