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「ゴッドファーザーが名付けし世界のスーパースター」 

2013年12月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

津軽は、日本一のりんごの産地だ。

 りんごには、数多くの品種があるが、一体どれくらいあるのだろうか。「青森りんご」のホームページにその答が載っている。

・世界全体では、約15,000種
・日本全国では、 約2,000種
・青森県りんご試験場で栽培されているもの 約300種
・青森県内で栽培されているもの 約50種
・うち市場に出荷されているもの 約40種

 世界全体で15,000種ものりんごの品種があるとは、驚き以外の何物でもない。

 りんごの品種は、長年にわたる研究員や生産者のたゆまぬ努力により、更新され、改良されてきた歴史がある。

 今から75年前、1938(昭和13年)、農林省園芸試験場東北支場が青森県南津軽郡藤崎町に開設された。藤崎町は、津軽の中心都市、弘前市に隣接し、津軽平野の中央部に位置する。

 翌1939年(昭和14年)、その東北支場では、りんごの「国光」×「デリシャス」の交配を行い、種子が得られた。
 

 1941年(昭和16年)に太平洋戦争が始まり、研究員たちが次々と召集され、研究の継続は、困難を極めたが、交配で得られた多くの実生(みしょう)は、残る研究員と善意の人々の努力で守られた。
やがて、戦争が終わり、研究員たちが徐々に復員し、研究が再開された。

 
 くだんの実生は、1958年(昭和33年)の園芸学会春季大会において、東北7号として発表され、注目を集めた。


 この東北7号が「ふじ」と命名され、リンゴ農林1号として品種登録されたのは、1962年(昭和37年)のことである。1939(昭和14年)の「国光」×「デリシャス」の交配開始から、実に23年の歳月が流れた。

 誕生から命名に至るまでの23年間、りんご「ふじ」が藤崎町で生活しながら、春夏秋冬がめぐり来る中で目にしたのは、津軽平野の秀峰、岩木山だ。

 津軽の人々は、古来、岩木山に信仰心を抱き、畏敬の念を込めて、お岩木山(いわきやま)と呼ぶ。人々にとって、お岩木山は、津軽の富士のお山だ。津軽の人間も、りんごも、津軽富士、お岩木山に見守られて生きる。
 

 「ふじ」と命名された由来としては、一つには、津軽の藤崎町で生まれ育ったことから、藤崎町の町名の一字を貰って「ふじ」と名付けた。それとともに、津軽富士、お岩木山に見守られてきたことも大きい。

 研究員や生産者たちは、23年間の研究の成果として、「ふじ」は、日本の津軽に生まれた、世界一級のりんご品種であると確信した。そして、世界一級のりんご品種が、津軽富士の親方であり、日本を代表する富士山の裾野の広さにあやかり、広く普及してほしいという願いを「ふじ」の名に込めた。

 
 世界全体で15,000種ものりんごの品種の中で、最も多く生産され、販売されているりんごの品種をご存じだろうか。

 「りんごの品種」を検索キーワードにして検索をかけたら、「青森県の市販のりんごと話題のりんご」というホームページがヒットした。その中をあれこれとたどって行ったら、世界におけるりんごの生産量に関する記述が出てきた。

 国際園芸学会の情報誌に掲載された論文の中に、米国人研究者らによるりんご生産量についての調査結果に関する論文があり、それによれば、りんご「ふじ」が2001年(昭和13年)の品種別生産量で世界一になっている。

 もちろん、この論文は、米国人研究者の手によるものであり、「ふじ」は「FUJI」と表記される。りんご「ふじ」は、全世界で、「FUJIで通用するのだ。

 りんごを生産する世界の主要32か国の統計によると、りんごの総生産量約5,965万トンのうち、
    1) 「ふじ」が約1,230万トン(約21%)
    2) 「デリシャス」が約930万トン(約16%)の順、
 「ふじ」の国別生産量では、
    1) 中国 1,000万トン以上
    2) 日本 約50万トン
    3) 米国 4) ブラジルの順であり、1位の中国は、2位の日本の20倍以上もの生産量がある。

 今や、全世界で最も多く生産され、販売されているりんごは、「ふじ」・「FUJI」である。世界のメジャースポーツはと言えば、サッカーであるように、世界のりんご界で、「ふじ」は、メジャーであり、スーパースターである。

 今日における世界中のりんご「ふじ」の木は、すべて、青森県南津軽郡藤崎町で生まれた「ふじ」の原木の枝を直接、間接に接木をして増殖されてできたものである。

 1962年(昭和37年)に「ふじ」と命名した研究員たちの願いどおり、その後、「ふじ」は、日本国内はもちろん、全世界に広まって行ったことになる。

 そして、39年の時を経た2001年(平成13年)には、生産量が世界一の品種であることが確認されたわけだ。


 改めて、りんご「ふじ」の誕生の歴史を振り返る。

? 1939年(昭和14年)、青森県南津軽郡藤崎町の農林省園芸試験場東北支場で、りんごの「国光」×「デリシャス」の交配を行い、種子が得られた。

? その23年後、1962年(昭和37年)に、「国光」×「デリシャス」の交配による実生が「ふじ」と命名され、リンゴ農林1号として品種登録された。

? 更に、その39年後、2001年(平成13年)、「ふじ」が生産量世界一の品種であることが確認された。

 この間、実に62年の歳月が経過したことになる。

 「ふじ」は、世界一級のりんご品種であると確信した名付け親の期待に見事に応えた。

 津軽富士、お岩木山に見守られ、津軽で生まれ育ったりんご「ふじ」は、日本全国はもちろん、世界中を股にかけて活躍している。
 日本一のりんご産地・津軽出身の「ふじ」は、日本一のりんごから、やがて世界一のりんごになり、今日に至る。

 「ふじ」の名付け親たちは、どんなにか嬉しかっただろう。

 おそらく、りんご「ふじ」の全世界における活躍は、名付け親たちの期待を大きく超えるものであるだろう。

 ゴッドファーザーが名付けし「ふじ」は、今や、世界の広大なりんご界でスーパースターとして君臨している。

 そして、名付け親たちの中には、「ふじ」の活躍を確信しながらも、世界における活躍の雄姿を見ることができなかった方々もおられるだろう。

 何事も、長年にわたる人間のたゆまぬ努力によって、歴史は刻まれていくのである。

 

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そういえば・・

さん

昔、国光やデリシャスというりんごがありましたね。
以前、聞かれた名前のりんごたち、店頭に出回らなくなりました。
アップルパイに使われた あかね は見なくなりましたし。

2013/12/29 08:03:38

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