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「ひまわり」 

2013年08月09日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

 桜の花言葉は、いくつかあるが、そのうちの一つが「淡泊」だそうだ。さもありなんと思う。

 で、この感覚からすれば、ひまわりの花言葉は、「明朗」とか「元気」だろうなと想像した。
 ひまわりは、夏に咲き、向日葵と漢字表現するぐらいだし、英語では、sunflower サンフラワーだからだ。
 
 私なんか、「ひまわり」という言葉を聞けば、真っ先に福士加代子さんを思い浮かべる。
 福士加代子さん、日本を代表する陸上競技長距離・マラソンの選手。
 福士さんは、津軽の出身で、底抜けに明るく、茶目っけたっぷりで、会う者を心から和ませてくれる。まるで、ひまわりのように。だから、津軽のひまわり娘、加代ちゃん、と心の中で呼び、応援している。

 ところが、あにはからんやである。おとうとが出てきたのだ。

 例によって、ネットで調べたら、ひまわりの花言葉は、「私の目はあなただけを見つめる」「あこがれ」「崇拝」「光輝」「熱愛」「愛慕」と出てきたのだ。
 
 「光輝」「あこがれ」「崇拝」ぐらいは、そうかと思う。

 しかし、「私の目はあなただけを見つめる」になると、ひまわりのような感じで見つめられた日にゃ大変だこりゃ、だ。
 
 「熱愛」「愛慕」とくれば、ちょっと待ってよ、となる。
 ひまわりだよ、サンフラワーだよ、お天道様の下だよ。真昼間に、太陽がサンサンと照りつける下で、「熱愛」だあ、「愛慕」だあ、よしてくれよ、となってしまう。

 しかし、しかしだ。耳元で誰かが囁く。
「観たんでしょう、何回も」
「何を?」
「映画「ひまわり」をよ」

 そうか、映画「ひまわり」か。観た、観た、何回も。10回じゃきかない。20回近くにはなっているだろう。


  映画「ひまわり」、イタリア映画の名作だ。

 第二次世界大戦時下のイタリアはナポリで、理髪師の娘ソフィア・ローレン扮するジョヴァンニは、マルチョロ・マストロヤンニ扮する配線工のアントニオと結婚する。
 
 幸せの絶頂にあった二人のもとに、アントニオに対する召集令状が届く。
 泣く泣く、アントニオは、ソ連戦線に送り込まれる。

 アントニオは、ジョヴァンニに告げる。
「ロシアから帰ってくる時に、きっと黒テンの襟巻きをお土産に買って帰るから」

 冬を迎えたソ連戦線。冬のロシアの寒さは厳しい。おそらく日本の北海道の何倍も厳しいのではなかろうか。

 歴史を見よ。かのナポレオンですら、冬のロシア戦線で敗北を喫し、滅亡へと追いやられているのだ。
案の定、ムッソリーニ率いるイタリアも冬のソ連戦線で手痛く敗れた。

 戦争が終わり、やがて、ソ連戦線で捕虜になったイタリア兵が解放されて、イタリアに帰還するようになる。

 しかし、ソフィア・ローレン扮するジョヴァンニのもとに、マルチョロ・マストロヤンニ扮するアントニオは、帰ってこない。

 ロシアからの帰還兵を乗せた列車がミラノ駅に着くたびに迎えに出かけるジョヴァンニ。
 
 しかし、アントニオは、帰ってこない。

 アントニオは、ソ連戦線で亡くなってしまったんだろうか。一人ぼっちのジョヴァンニ。

 そして、何年か経った。
 待ち疲れ、泣き疲れてしまったジョヴァンニは、意を決して、アントニオを探しにロシア行きの列車に乗る。

 ロシアに行き、数日経ってもジョヴァンニの消息はつかめない。
 
 焦るジョヴァンニ。探し疲れたジョヴァンニは、それでも諦めない。

 そして、見つかった一つの手がかり。
 それを頼りに向かった先には、ひまわり畑。北海道の広さもあろうかというぐらいの地平線まで続くひまわり畑。サワワサワワと風が吹いている。

 その片田舎の一軒家で、ソフィア・ローレン扮するジョヴァンニは、リュドミラ・サヴェーリエワ扮するマーシャと出会う。

 アントニオは、冬のロシア戦線で傷つき倒れ、凍死寸前のところをマーシャに助けられたのだという。

 そして、アントニオとマーシャとの間には、幼い女の子が。

 夕方、工場労働者が乗った列車が駅に着く。マーシャについて行った駅で、ジョヴァンニは待っていた。

 ジョヴァンニの30メートル先でアントニオが降りて近づいて来る。二人の目と目が合った。(ああアントニオ)

 次の瞬間、走り出そうとしていた列車に飛び乗るジョヴァンニ。

 列車の中で「ああアントニオ、アントニオ」泣き叫ぶジョヴァンニ。農民姿のロシアのオバちゃんたちがジョバンニに優しく声をかけ、いたわる。

 それから何年か後。ジョヴァンニは、ミラノで工場労働者と再婚した。

 しばらくして、ロシアのアントニオは、マーシャの承諾を得て、イタリア行きの列車に乗る。
 工場労働者のアントニオは、ロシアのデパートでやっとのことでジョヴァンニへの土産を買っていた。あの、黒テンの襟巻きだ。

 ミラノに着いたアントニオは、さんざん探した末に、ジョヴァンニのアパートにたどり着く。工場労働者の亭主は、夜勤で今夜は戻ってこないという。

 ジョヴァンニに黒テンの襟巻きを差し出すアントニオ。静かに受け取るジョヴァンニ。
 
 そばで、突然、男の赤ちゃんの泣き声。

 アントニオが聞く。「名前は?」

 ジョヴァンニが答える。「アントニオ」
 
 アントニオが何か言いかける。
 
 「違うわよ。聖人のアントニオの名前をつけたのよ」
 
 ヒシと抱き合うジョヴァンニとアントニオ。

 
 翌朝、ミラノ駅。ロシア行きの列車が動き始める。

 ジョヴァンニを見つめ、身じろぎしない列車の中のアントニオ。

 ロシア行きの列車が遠ざかり始める。ジョバンニの目に溢れる涙。

 今、アントニを見送るミラノ駅、それは、戦前にソ連戦線に送り込まれるアントニオを見送ったのと同じ駅。
 
 ああ。

 映画の全編に流れるテーマ曲は、映画音楽界の第一人者といわれるヘンリー・マンシーニの作。

 タタタータ、タータータン、タタタータ、タータータン、タタタータ、タータータン、とメロディが流れていく。

 
 戦争は、残酷だ。
 
 イタリアとロシア。2,000キロメートル以上も離れた、体制も異なる両国。

 その間に引き裂かれたソフィア・ローレン扮するジョヴァンニとマルチョロ・マストロヤンニ扮するアントニオ。

 しかし、アントニオがイタリアに帰ってしまえば、リュドミラ・サヴェーリエワ扮するマーシャとその幼い女の子はどうなる。

 おそらく、と考えてしまう。
 
 あのロシアの片田舎の駅。夕方、工場労働者が乗った列車が駅に着く。

 ジョヴァンニの30メートル先でアントニオが降りて近づいて来る。二人の目と目が合った。(ああアントニオ)

 次の瞬間、走り出そうとしていた列車に飛び乗るジョヴァンニ。

 その瞬間、ジョヴァンニの胸に浮かんだのは、懐かしい懐かしいアントニオに対する愛情と絶望。

 そして、それゆえ、ジョヴァンニは、「アントニオがイタリアに帰ってしまえば、マーシャとその幼い女の子はどうなる」と考えたのではなかろうか。

 死んだかも知れないと考えたアントニオは生きていた。マーシャが命を救ってくれた。愛するアントニオは、マーシャと幼い女の子と三人してロシアの地で生きていくことでこそ幸せになれる。

 だから、私は、アントニオに会わないでイタリアに帰るべきだ。

 と、ジョヴァンニがとっさに考え、列車に飛び乗ったと私は思う。

 
 戦争によって引き裂かれたソフィア・ローレン扮するジョヴァンニとマルチョロ・マストロヤンニ扮するアントニオ。
 しかし、二人は、互いを愛するがゆえに、それぞれイタリアとロシアで生きていくことを選んだ。
 
 そこには、戦争によって傷つけられても、前を向いて生きていこうとする人間の悲しみと、それと同時に希望も見出すこともできる。

 映画「ひまわり」の作者が「ひまわり」に託した意味合いは、深い。

 実に深い。






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ひまわり

さん

素晴らしい映画でしたね もう一度見たいです
音楽も 切ないメロディですね

2013/08/10 15:00:44

こんにちは

さん

映画の場面が鮮明に浮かびました。ソフィアローレンさんが、この映画で、一躍、世界中に知られる女優になりましたね。ひまわりの映像とは対象に切ない音楽が流れ、多くの人々が涙しましたね。

2013/08/10 12:50:36

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