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作品名 67になっても、たまにはデートしたい(45) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(45)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/04/08 10:38:26

+++更に欲張って「私は強い方なので、一晩に三回
発射させてくれないか」と、種子島のロケット並の威
力を誇示した。

45.裏切った表情

 メールをやり取りする内に、厚かましくて品は落ち
るがざっくばらんな男と判った。ウソの無い性格と、
物事をはっきりさせる処が、私の気に入った。情緒は
まるで無いが、実質を考える処が如何にも経営者ら
しい。ある意味私に似た面がある。

 悪い男ではないと判断して、いやむしろ、親近感さ
え覚えて書類選考でパスさせて、女モーツアルトへ推
薦した。
 尻の上下位置を含めて体のパーツを一々商品のよう
に扱う下品さは、本来女の好みではなかった。けれど
も支援の金額が大いに魅力だったから、女が譲歩して
M男もパトロンの一人に加える事に決めた。

 二名のパトロンの内で、私が気にしたのは当然M男
の方である。私とデートの予定が重なると、女はM男
を優先しているらしかった。二倍の金に目がくらんだ
のだ。
「ヤツは地方から期待に満ちて大阪へ上って来るのだ
から、ベッドではさぞ熱烈だろうよ」と、寝取られた
形の私は下司の勘ぐりで、その度に妬いた。

 後日私がM男のロケットの発射振りを訊ねたら、絶
倫な剛の者だと女は告白した:
「一晩三回はまるで嘘よ。本当は五回以上。一体、普
段奥さんに相手をして貰えないのかしら?」

「うむーーー、飢えた餓鬼みたいなヤツだな。何か事
情があるんだろうよ。奥さんが居ないのかもーーー。
いや、ひょとすると捨てられたのかも知れんな」と、
私は憮然とした思いでしらばっくれた。軽蔑を込め
て、嫉妬百パーセント。
 私のロケットの質は上物だが、ペンシル型の細身で
貧相な上、バイアグラの助けを借りて発射はようよう
毎回一回こっきり。仕方無いさ、何せ六十七だもん
なーーーー。

「五回以上付き合うのはかなわなかったわ。途中から
は私も感じまいとして、最中に頭の中で他の事を考え
たり努力したんだけど、体が勝手に反応してダメ。
私、感じ易いのよ。とうとう息が上がって、腰が立た
なくなったわ」
「へえっーーー」 
 男のテクに、私は度肝を抜かれた。

「脂ぎった体質で、夜通し私を寝かせなかったーーー」
「ふうーんーーー」
「脂ぎってる筈よ、トンカツと豚の脂身が好物なんだ
って。それに極太(ごくぶと)だから、最後はアソコ
がひりひりしたーーー」
「ーーー」 
 私は打ちのめされた。
 私を妬かせる為に、女はきっと実態より大袈裟に言
ったに違いない。悔しかったが、結局女の思惑通り、
私は大いに妬いた。

 女も対抗して数ヶ月間頑張ったが、M男の出張が月
3回の時もあって結局体が続かず、それに貯金もある
程度貯まったから、途中で女の方から逃げ出した。毎
回徹夜明けに近い頑張りと労働だったからで、女の方
では翌日の昼間は体がふらついて、バレエや演劇の練
習に支障を来たしたからだ。

「次の日は朝から一日中ぼうとなって、何もする気力
が湧かなくなるから困るわ。でも、本物の実射は最初
の三回だけで、後の四・五回目は空撃ちだったのよ。
アノ人は自分が楽しむと言うより、昇天する私の姿を
眺めるのが好きだったみたいだから、ちょっとばかり
変態男よ!」

 けれども、変態男!と口ぶりだけは嫌そうに言うく
せに、「手わざも含めて、一晩で十六回昇天したのが
最高記録よ」と言う女の表情がそれを裏切っていた
から、当人は案外楽しんだに違いない。
 実にしょうのない女だ、怪しからん!

(比呂よし)

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