生まれつき心臓が悪い孤児だったヒロイン・キャットはハリウッドのテレビスターになる。スターとして人気は出たが、病はひどくなり、心臓移植手術を受ける。元気になったことで一念発起、病気や虐待に苦しむ孤児たちを掬う仕事を始める。
子供の里親志願の夫婦に会いに行ったキャットは、留守番をしているサスペンス作家アレックスと知り合う。
不幸な子供たちが幸せになるよういつも考えているキャットに、ある日、心臓移植を受けた人が事故で死んだという新聞記事の切り抜きが送られて来る。
それはキャットと同じ日に手術を受けた人達で、3通目の手紙は、キャットの死を予告するものだった。
恐怖を覚えたキャットは、彼女と結婚したがっている医師や局のスタッフや番組チーフに相談する。
元警察官だったアレックスはハンサムで、彼の作品に描かれているヒーローのように女の扱いがうまく、キャットは用心しながらも惹かれていく。
女流エンタテイメント作家の特徴は、主人公たちの強烈なラヴ・シーンで、この作品はサイコ・サスペンスといわれる分野だが、読みだしたらやめられない。
キャットは、自分の死亡予告の手紙が来てからアレックスにも相談する。アレックスは、何故、自分に一番先に相談しなかったのか」となじるが、彼自身謎が多く、キャットは彼を心から信頼できない。
孤児、虐待、女優、臓器移植、医師、ドナー遺族、セックスなどをうまく絡めて精力的に書き続ける主婦作家S・ブラウン
の作品は、どれもみな面白い。
日本のテレビ・ドラマはいつも同じパターンで、犯人は悪者ではなく、刑事は人情家で、事件は殺意もないのに殺してしまったというドジなおはなしばかりだが、翻訳ものはみんな、日本ものとは比べものにならない。
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