この度、映画DVDプレゼントに当選し、非常に楽しませていただきましたので、僭越ながらレビューを投稿させていただきます。

物語のあらすじは、
父子2人で経営している仕立て屋（創業は1961年、私の生まれた年と同じでちょっと嬉しい）が不況によって商売が傾き、今まさに取引銀行から差押えを受けようとしている。それに対して息子が移動式の屋台により仕立て屋を始め、あろうことかオーダーメイドのウエディングドレス作りを引き受ける！
映画冒頭から、仕立て屋の作業風景やら七つ道具やらをクローズアップで次々と見せるあたり、監督の職人に対する並々ならぬ愛情を感じさせるし、ウエディングドレス作りを請け負った息子に父親が「俺たちはテーラーだ。お針子なんかじゃない」と苦言を呈するところは、長年仕立て屋稼業を続けてきた職人気質ゆえの頑固さをよく表現していると思いました。
また、
息子がふと漏らす「生まれ故郷に戻って仕立て屋をやるなら、スーツを作るしかない。お葬式しかないから…」って、まさに今日本に住む私の『結婚式は5年に1回、お葬式は年5回』とも言える現状をいみじくも表しており、何となく苦笑いさせられてしまいました。
最後に、
初めは苦労して引っ張っていたリヤカーのような移動式の屋台が、次にオートバイで引くようになり、最終的には車を改造してスピーディーに移動させてしまうあたり、頑張った後の人生の縮図を見るようで小気味良く微笑ましい展開でした。
ただ欲を言えば、
テーラーの作業風景とギリシアの美しい自然をもう少し多く見せて欲しかったなと、職人好き、地中海好きの私としては切に思います。