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葵から菊へ
明治時代、海の上を走った蒸気機関車「高輪築堤」の遺構保存問題
2021年03月19日
テーマ:テーマ無し
海上の鉄道遺構「高輪築堤」保存めぐりJRと学者が対立
と、3月17日付朝日新聞(夕刊)が報じました。
日本で初めて鉄道が開業した際、海上に線路を敷くために造られた鉄道構造物「高輪築堤(ちくてい)」(東京都港区)の遺構をめぐり、JR東日本と考古学者らの間で見解が分かれている。JR東は一帯で開発を進めており、移築や一部分の保存を進めたい意向。これに対し、考古学者側は歴史的な価値があるとして現地での全面保存を主張。議論が平行線をたどるなか、政府も動き出した。(一條優太、丸山ひかり)
「JR東日本は自社の誕生の地であるこの遺跡の重要性を認識すべきだ」
今月2日、考古学研究者でつくる日本考古学協会(東京)が辻秀人会長名で声明文を出した。高輪築堤の遺構を「世界史的にも稀有(けう)だ」と高く評価し、「東アジア最初の鉄道の遺跡として全体を保存する責務がある」と指摘。JR東に全面保存と開発計画の抜本的見直しを求めた。
この翌日、JR東の深沢祐二社長は定例会見で、高輪築堤の遺構を「大変意義深い」と評価しながらも、「全面保存という形では開発自体が全く成り立たなくなる」と述べ、協会の要望に否定的な考えを示した。
高輪築堤は1872(明治5)年、日本初の鉄道が新橋―横浜間に開通した際、現在のJR田町駅付近から品川駅付近までの長さ約2・7キロに築かれた。
明治末期以降に埋め立てられた際に撤去されたとも考えられていたが、2019年にJR品川駅改良工事の現場から石積みの一部が見つかった。20年7月にはJR東が再開発を進める高輪ゲートウェイ駅前の車両基地跡からも発見され、これまでに確認された遺構は計約1・3キロに及ぶ。
歴史的な発見として話題となったが、悩ましいのは、遺構がJR東の開発地域を横切る形で出土したことだ。JR東は、24年度までにオフィスなどが入る超高層ビルを開発区域の一部に建てる計画で、事業費は5千億円規模。国家戦略特別区域の特定事業として国から認定も受けた。仮に遺構をそのまま残せば開発計画への影響は必至で、JR東は、経営的にも影響が大きいプロジェクトの大幅な見直しに消極的な姿勢を示してきた。
日本考古学協会は1月、JR東や文化庁などに「一部だけの保存や移築は遺跡の意義を根本から損なう」と開発の見直しを求める要望書を提出。JR東の深沢社長は会見で「半年ぐらい先には着工段階に」との意向を示し、議論は平行線のままだ。
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地元の港区議会は、1月7日に教育委員会所管の区民・文教常任委員会だけではなく、全議員対象の見学会を行いました。そして第1回定例会で、政府に対する意見書を全会一致で採択しました。
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港区議会発案3第2号 高輪築堤に関する意見書
議決年月日 令和3年3月16日
議決結果
(各会派の態度)
原案可決
自民党議員団 賛成
みなと政策会議 賛成
公明党議員団 賛成
共産党議員団 賛成
都民ファーストの会 賛成
街づくりミナト 賛成
スマイル党−虚偽報道に負けない会 賛成
本文
港区三田三丁目及び高輪二丁目所在遺跡(高輪ゲートウェイ駅周辺の遺構のいわゆる「高輪築堤」)は、平成8年に指定された国指定史跡「旧新橋停車場跡」の延長線上にあり、港区として極めて重要な文化財と考えて、区は、東日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR東日本」という)に対して、現地で末永く後世に継承されるよう要望しております。
港区議会としても、高輪築堤遺跡は、港区にとって重要な遺構であるばかりでなく、わが国の歴史上も、また、世界史上も極めて重要な近代化遺産であり、日本全国、あるいは世界各国からも誰もが自由に訪れることのできる遺跡として公開され、将来に継承し、活用していかれるよう働きかけていきたいと考えています。
国においても、本年2月16日に萩生田文部科学大臣が現地を視察し、遺構の保存方策について、JR東日本と港区との協議などを踏まえながら丁寧に議論し、開発と保存を両立させながら、貴重な文化遺産を現地で保存・公開できるよう検討を求めました。
一方、平成26年6月に新駅開業計画が発表されて以降、約50年ぶりとなる山手線新駅の開業や車両基地跡地を活用したまちづくりに対する地域の期待もあり、高輪築堤が出土したことにより、当該地域のまちづくり のスケジュールが大きく遅れ、心配される声もあります。
日本近代化の象徴とも言える高輪築堤が、将来にわたって地域の価値を一層向上させる貴重な財産として保存・公開されることは、周辺地域の発展にも大きく寄与するものとなります。
よって港区議会は国に対し、下記の事項について強く求めるものです。
記
1 早急に文化財保護法による史跡として指定し、調査・保存・公開に向けた知見・技術などの情報提供を行うこと。
2 国としての全面的な支援を積極的に行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
令和3年3月16日
港区議会議長 二 島 豊 司
文部科学大臣
国土交通大臣 あて
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「高輪築堤」付近 明治30年発行「東京一目新図」より
嘉永3〜7年(1854年)切り絵図「高輪」1993年平凡社刊「江戸東京大地図」より
同図の明治42(1909)年
同図平成5(1993年)
同図平成4(1992年)に管理人が作図
Googleマップ
(了)
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