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痩田肥利太衛門残日録その二

新型コロナウイルスワクチンの開発遅れについて 

2021年03月14日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



海外ワクチンの確保と接種



国産ワクチンの開発状況

【感染者・死者高止まりのままの日本】
国内・東京のコロナ感染数は2021年(令和3年) 1月下旬から減少に転じましたが、2月21日から減少が止まり、特に改善の兆しが見られない首都圏1都3県のみ緊急事態宣言解除(3月7日)を2週間 (3月21日)延長することになりました。しかし、3月13日になっても、感染者数:国内約1,000人、東京約300人の高止まりの状態が続いており、5月の東京1日感染者50人以下は難しくなってきました。
yaseta.hateblo.jp
【感染者・死者世界一の汚名挽回を図るアメリカ】
アメリカは3月9日までで感染者2,900万人、死亡者52万6千人と世界最多で、この1年屈辱に耐えてきました。(参考1)
しかし、底力あるアメリカは違っていました。いち早く、最先端技術を使った「mRNA」ワクチンを開発してしまい、2020年12月11日から接種を開始し、巻き返しをはかっています。
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そして、2021年3月9日で国民の約3分の1に当たる9,820万人の市民が接種を済ませ、世界1位のワクチン接種国になりました。(2位は中国の5,270万人、3位はインド2,620万人)
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ワクチンの効果が現れたのか1月前半の半月平均1日感染者23万人をピークに感染が減少に転じ、2月前半の半月平均11万人そして3月の前半9日間平均は5万4千人、そして3月9日単日の1日感染者は4万5千人まで減少しています。
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感染者が日本の45倍も高いのに3月8日には米疾病対策センター(CDC)は接種を完全に済ませた市民は、マスクなしの通常生活に戻れる場合もあるという、新たなガイドラインまでも発表しています。
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2021年2月27日、米食品医薬品局(FDA)は2020年12月14日に最先端技術を使って開発したmRNAワクチン接種を開始したファイザー、12月21日に同じくmRNAワクチン接種を開始したモデルナに続き、3つ目となる従来型のウイルスベクターワクチンを開発したジョンソン・エンド・ジョンソンに対し、使用を承認しました。
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アメリカはなぜこんなに速く、従来型や最新技術を使ったワクチンを開発・実用化できのだろう思っていましたが、1999年世界ではじめてインフルエンザウイルスの人工合成に成功し、2003年にインフルエンザ生ワクチンを開発した東京大学医科学研究所河岡義裕教授がNHKのテレビ番組で話したことを聞きわかりました。(参考3)
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2001年9月アメリカで起きた炭疽菌事件をきっかけにアメリカ政府はテロ対策として巨額の予算投入し、大学、研究機関、企業を支援した結果、スピード開発につながったということでした。
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【国産ワクチンの開発が遅れた背景】
一方、日本では過去に幾度も副反応による障害とそれに対する訴訟が起こり、ワクチン接種に対する国民の不信感が国や研究者や開発者の意欲を低下させているという背景がありました。
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1970年代の天然痘ワクチン接種により、何人かの子供に脳炎が発症し、重度の障害を起こし、訴訟になり、国の責任が問われました。
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1989年のMMRワクチン(はしか、おたふく風邪、風疹の3種類)予防接種を受けた子供に高熱を伴う無菌性髄膜炎が多発し、1993年に予防接種を中止追い込まれ、国民にワクチン接種に対して不信感が高まりました。
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1994年政府は予防接種法を改正し、接種を国民の義務から努力義務に変更したことで予防接種は国主導から個人の判断にゆだねることになりました。
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その結果、国はワクチン開発に消極的になり、大学・研究機関・企業の研究・開発意欲が低下したことそして国民のワクチン不信感がワクチンの開発の遅れにつながっているそうです。(参考3、4)
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さらに開発難しくしているのは、通常、薬品が開発過程の動物実験で効果や安全であることがわかっても人間に対して安全性が確認されるまで少なくとも数年かかる3段階の臨床試験を行う必要があります。
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今回、パンダミックを起こしている新型コロナウイルスにたいするワクチンについて政府は海外同様、緊急使用として従来の基準を緩め承認することにしました。それでも、動物実験で効果を確かめ、3段階の臨床試験を行い、承認を得るまで1年から2年かかるといいます。
(日本の承認基準は過去の苦い経験から他国より厳しいようです。)
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また、2002年11月〜2003年7月に中国を発生源とするSARS(重症急性呼吸器症候群)の感染が拡大し、中国・韓国・台湾など32カ国に8000人の感染者がでて、反省から感染症対策が進みましたが、日本はSARS感染者がほとんど報告されず、国も国民も感染症に対して軽く考えていたきらいがあり、感染症発生に対する危機感を持つことはありませんでした。
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危機感を肌で感じたSARSの発生元の中国や炭疽菌事件を経験したアメリカは2000年前半から感染症ワクチン開発に着手していました。
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河岡教授始め国・大学・薬品メーカーの多くの方々は新型コロナウイルス感染が増加し始めた2020年3月にはワクチン開発に乗り出していました。しかし、それでもアメリカや中国に比べ5年〜10年の遅れがあるため、実用化が遅れることはしかたがないことだと思いました。
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【海外ワクチンの確保と接種状況(表1)】
国産ワクチンは間に合わないため、政府は海外ワクチンを確保し、2月17日より接種を開始、OEM生産の準備に入っています。
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【国産ワクチンの開発状況(表2)】
国内の大学・研究機関・企業は一刻も早い、国産ワクチンの開発・使用に向けて治験中です。
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【参考】
NHK BS1 スペシャルで放映された東大医科学研河岡ラボの2020/3〜2020/11の記録の概要をまとめてみました。
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2020年3月、河岡教授は副反応が少なく、開発方法もわかっており、既存の設備・工場も使える従来の方法で新型コロナウイルスのワクチンを開発することにしました。
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1.新型コロナウイルス不活化ワクチンの開発
完全に死滅させた病原体や活性を無くした毒素を皮下や筋肉内に注射して、人がそれを異物とみなして、自然免疫から獲得免疫への一連のプロセスにより抗体を産生することによって免疫をつける。
@生きた新型コロナウイルスを大量に増やす
A薬品を使い毒性を無くす(不活化)
B不活化ウイルスを取り出す
Cこれを何回も繰り返し治験用ウイルスを確保する
(2020年6月(3ヶ月間)不活性ワクチン原液完成)
D動物実験ハムスターに抗体ができ、ワクチンの効果確認
E 製薬メーカーで臨床試験準備(2020年11月)
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2.新型コロナウイルス生ワクチンの開発
生ワクチンは弱毒生ワクチンとも呼ばれ、ウイルスなどを生かしたまま弱めておいて、それを注射することによって、軽くその感染症に罹ってもらうことにより免疫をつけるものです。
生ワクチンの開発方法としてリバース・ジェネティクス法と継代法がある。
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(1)リバース・ジェネティクス法による新型コロナウイルス生ワクチンの開発
リバース・ジェネティクス法は河岡教授が世界で初めて開発したものです。
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@既に入手した新型コロナウイルス
A遺伝子配列を培養細胞に入れ人工的に再現
B培養ウイルスを大量に増やす
C培養ウイルスを大腸菌の中に入れ増やす
D2020年11月生ワクチンの増殖に成功した
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(2)継代法による新型コロナウイルス生ワクチンの開発
新型コロナウイルスの細胞を取り出し、数十代以上にわたり培養を繰り返す(継代)ことにより弱毒化した新型コロナウイルスを作り、大量培養しワクチンとする
@ウイルスを分離して培養細胞で継代を続ける
A継代を繰り返し、毒性の弱まったウイルスを見つける
(2020年中頃に病原性が弱いウイルスを発見した)
B弱毒性ウイルスを培養し大量に作る
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【参考資料】
(1)「新型コロナウイルス 世界のワクチン接種状況は」、BBC.NEWS.Japan、2021.3.13
(2)「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年3月9日版)」、厚生労働省HP、2021.3.9
(3)「国産ワクチンを開発せよ! 〜東大・河岡ラボ300日〜」、NHK BS1 スペシャル、2021.2.14
(4)「コロナワクチン接種〜過去の副反応被害の不安〜」、読売新聞、2021.2.27
(5)「ワクチン開発と見通し」、厚生労働省HP、2021.2.24
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