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「体液に枝濡れてゐる」 

2016年08月19日 ナビトモブログ記事
テーマ:俳句ポスト投稿

 最近、俳句作りがとみに盛んになってきているという話を聞く。それは、俳人、津軽わさおとしても、嬉しい限りである。

 そんな中、全国の俳句作りのサイトで最も熱気に包まれているのは、「俳句ポスト365」であろう。「俳句ポスト365」は、愛媛県の松山市が運営する俳句の投稿サイトだ。

 「俳句ポスト365」では、入選が「天、地、人、並」に分かれる。入選の「天、地、人、並」の内訳は、各回、天の俳句1句、地の俳句9句のほか、大体、人選の俳句200句、並選の俳句300句だ。

 人選と並選の入選句といえども、全体3,000句程度のたった17%にすぎない。

 天・地の俳句になると、全体3,000句の中で10句だ。これは、至難中の至難である。津軽を拠点とする俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による天・地の俳句への挑戦は、これまで23回を数えるが、まだ天・地の俳句に入ったことはない。


 直近の「俳句ポスト365」の第151回 2016年7月7日週の兼題は、「鵙の贄(もずのにえ)」である。兼題の説明に曰く。

鵙の贄(秋の季語)「もずのにえ」。肉食の小鳥である鵙が、その習性として、捕らえた虫や、蛙、蜥蜴などの小動物を木の枝などに刺しておいたもの

 兼題「鵙の贄」に係る天選1句と地選の9句を以下に掲げる。

 体液に枝濡れてゐる鵙の贄   天選  ポメロ親父    

 
 鵙の贄少し動いて乾きけり  地選  クズウジュンイチ    

 まだそらを濡らして縮む鵙の贄   地選  緑の手   
  

 速贄やけたけた笑ふやうに脚   地選   ウェンズデー正人     

 火山灰積もり乾ぶる脚や鵙の贄   地選   田中憂馬     

 長きもの垂れて月下の鵙の贄   地選  比々き        

 鵙の贄ほとびにけりし橋のうへ   地選  夜市    

 ご隠居の狆見上げをり鵙の贄   地選  ララ点子      

 鵙の贄ヴィシソワーズのまだぬるく   地選  ぐわ      

 一概にそうとも言えず鵙の贄   地選  大塚めろ     

 そして、以下に掲げるのは、俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による人選3句と並選2句である。人選3句と並選2句だが、俳句集団結成後10か月強の初心者集団としては、健闘である。

 戦争は終わった海も鵙の贄   人選  津軽わさお  

 凱旋の熱き隊列鵙の贄   人選  篠田ピンク  

 海峡を抜ければ内地鵙の贄   人選  野々原ラピ

 寝惚け眼へぶっかける水鵙の贄  並選  津軽ちゃう    

 手鉤の刃ずぶっと刺して鵙の贄   並選  津軽まつ   

 
 以上のように、天・地の俳句と人選・並選の俳句を並べてみると、違いがある。

 
 どこが違うのか。天・地の俳句は、着眼点が独特であるし、表現の仕方がいい。それによって、読者が感じるなるほど感と味わいが深い。

 だから、いい俳句を作るポイントは、できるだけ独特な着眼点で、できるだけいい表現で、できるだけ読者のなるほど感と味わいを深めることにある。

 「俳句ポスト365」の選者にして、今をときめく俳人、夏井いつき先生のお使いになる表現をお借りすれば、天・地の俳句は、「発想のオリジナリティと描写のリアリティ」に優れ、「上質な詩になっている」、ということであろう。

 付言するに、俳句を作る際の季語との距離間が近いということもあって、天・地の俳句に入っている句があるようだ。
 


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