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心 どまり

涙の数だけ 

2015年10月19日 ナビトモブログ記事
テーマ:イベント

 昨日は、孫が習っている硬式空手道選手権大会が開催されました。正に秋日和で、カメラを持つ手も汗ばむ程でした。

 先週は、中間テストも有り、勉強と練習に頑張っておりました。テスト結果は、目標点数をクリアしましたので、まあ〜まあ〜の出来だったようです。

 空手の試合は、中学生になっての初戦ですし、励ましの意味を込めて、朝食は勿論”かつ丼”にしました。
緊張の余り”食欲がないのでは”と心配していたのですが、それは老婆心だったようです。
ぺろりとたいらげ、道着に着替えている孫の後姿に、ほっと胸を撫で下ろした、出掛ける前の娘と私でした。

 その様な心持も束の間、会場に着きまして受付を済ませ、頂いたパンフレットを見ていた娘が、

「ばあば 此れ見て!たー君(孫)シードに入っているわ!
 初戦は二回戦よ!
 多分、○○君が勝上がって来るわね!嗚呼〜!」

 ○○君とは、同じ道場でいつも一緒に練習している先輩の二年生で、昨年の中学生の部の優勝者です。まさか初戦で当たるとは・・・
二人で顔を見合わせ、溜息が!

 孫を見ますと、何も言わずに支部旗の下に集まっている仲間達の方に向って歩き出していました。

「頑張ってらっしゃい!」

と声を掛けますと、振り返らずにうなずいた後姿は、覚悟を決めた風にも見えました。

 此の空手の会は、県内に八支部(九道場)有りますので、遠方の支部は、大型バスでやって来ます。

 2020年の東京オリンピックに、空手が追加種目として国際オリンピック委員会(IOC)に提案される事が決定し、9月28日に追加種目が発表されてから、初めての大会になる今回、会長を筆頭に、支部長達も師範の方々も、例年にない気合の入れようです。

 昨年の硬式空手道全国大会一般の部の覇者は、孫の通う同じ道場生ですので、関係者一同期待が膨らみます。

 
 私の子供達(娘・息子)が小学校に入学する頃、弟は有段者で此の会に籍を置きまして、練習の傍ら、子供達の指導にも当たっておりました。

 弟が自宅で練習をしている姿を見ていた私の子供達は、見よう見まねで、型や蹴り・突き等、真似をしていまして、とても危なっかしく思っていたのです。

「入会させて、空手を習わせてみたら!」

 その様子を見ていた弟の提案に従い、娘は小三から、息子は小一から此の道場に通わせました。

 現道場長は、娘の先輩道場生ですし、肩書は相談役になっていらっしゃいますが、前道場長は、子供達の師範でした。

「孫の様な子供達相手に、遊んでいますよ!」

 御挨拶にいらした相談役は、お年を重ねられて、お優しいお爺ちゃまにお成りです。
娘は、道場に通っていた頃を懐かしむように

「昔は、恐かったのよ〜!いつも怒鳴られていたわ!
 今は、優しい笑顔でしょう〜 格好好いお爺ちゃんよね!
 『まさか、たー君を教えるとはなあ〜感無量だよ』
 って、会う度に、仰るのよ!」


 孫の試合は、3コート中のAコート。第8試合目に組まれていましたので、二階観客席でAコートが良く見える場所に、カメラをセットしまして、スタンバイOKです。

 子供達の試合の時もそうでした。試合を見守る御両親や御家族同様、私も例に漏れず、熱いものが込み上げて来て、ファインダーが覗けなくなった事も屡々(シバシバ)でした。

 愈々、試合開始になり、防具を付け、コートに立つ孫の顔をUPしますと、緊張した面持ちに『礼』も心なしかぎごちなくて・・・

 「始め!」
 
 審判の掛け声が掛かるや否や、相手の上段蹴りが孫の右顎に!ビデオは廻しておりましたが、思わず目を閉じてしまいました。

 私も様々な競技会やレースの出場経験は有りますが、現役を離れ、温々とぬるま湯にどっぷりと浸かった生活をしておりますと、体力は勿論の事、メンタル面でも可成り弱くなっているようです。(-.-;)フー!

 負け戦と解り乍らも、蹴られ突かれ乍らも、必死に立ち向かう孫の姿に、夢中で拍手していたばあばでした。

 防具を外し、応援席に戻った孫は、俯いていてUPにしても顔は見えませんでしたが、泣いている様に思えました。
この様な時、誰も声は掛けません。
師範達も、同じ道場生の子供達も心得ていて、泣き止むまで思い切り泣かせてあげ、泣き止むのを待っていてあげるのです。

 泣き方は、年齢により様々です。
受けた痛みと恐怖と悔しさとで、低学年の大方の子は、大声で泣き喚きます。殆どのお母さんは、我が子を抱きしめながら、涙しています。
高学年に成るに連れ、静かに耐える泣き方に変わり、御家族の方々も、離れた場所で目頭を押さえています。

 特殊な生活環境でも無い限り、現代の子供達に取って、この様な機会でしか、体に受ける痛みの経験は無いように思われます。
学校でも、体罰は厳しく制限されていますし、大部分の親達も、余程の事がない限り、子供に手はあげないでしょう。

 又、少ない兄妹や一人っ子も多く、兄弟喧嘩が未経験の子もいます。孫もそうです。親に叩かれた事も有りませんし、一人っ子ですので、兄弟喧嘩もした事がありません。

 唯一、体験出来るのが空手ですし、自身で痛みを感じる事で、『加減』や『限度』と言うものも解って来ます。
同時に、他の人を思い遣る心も育まれます。

 体罰や暴力等で不測の事態を招いてしまいますのは、此の手加減や人体の急所・限度を知らないからです。

 休憩時間になりまして、私達の所に戻って来た孫ですが、まだ涙は溢れていました。
頬も少々腫れ、口の中も切れていたようです。

 娘も試合の度に、肋骨にヒビが入り、痛みと恐怖と悔しさとで泣いていましたので、孫の胸中は手に取る様に解るのでしょう。何も言わずに、孫の頭をなでなでしただけでした。

 
 心配していたのですが、今朝の孫は、いつにも増して、爽やかそうで元気でした。
試合には負けましたが、精一杯頑張りました。
試合当日まで、常に試合の事は心の片隅に有った筈です。
試合も終わり、昨夜はさぞかしゆっくり眠れた事でしょう。
沢山涙を流し、スッキリ ストレス解消にもなったのでしょう!

 いっぱい経験して、いっぱい泣いて、涙の数だけ強くなれ
た〜君! 空手も! そして 『心』も!


【1枚目の画像は開会式。2枚目の画像は有段者決勝戦です。】



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良香さんへ

さん

迫真の実況中継を見ているようで感動しました。

2015/10/28 16:28:15

みのりさんへ

良香さん

いつもありがとうございます。
何しろメンタルの弱い”ばあば”ですので(オホホ)
負け試合と解っていながら、頑張る孫の姿に、
只々感動しておりました。

試合直後ですのに、近々、昇級試験があります。
試験に備え『型』の練習をする孫の後姿が、
とても逞しく見えました。
コメントをありがとうございました
感謝致しております。

2015/10/23 12:22:57

SOYOKAZEさんへ

良香さん

まあ〜 ダンスが御縁で!
素敵なお二人なのでしょうね!
御子息も沢山努力なされ、頑張られたのでしょう。
涙を乗り越えて。上位に上がられたのですね!
大したものです。

>見ている身内の方が辛いですね。

仰る通りです。
子供達の試合を見守る御家族の殆どが、
目頭を押さえていました。
負けても涙!勝っても涙です。
あっ!そう言えば、そうでない人もいました。
満面の笑みで、大声をあげ大騒ぎしていた
優勝者の母親もいました。
人様々ですね!(ww)

2015/10/23 12:04:07

たまさんも

良香さん

同じ経験をされたのね!
負ける事の方が多いのが、人生ですものね!
挫折と言っていいのかどうか解りませんが、
生きて行く上で、挫折の経験も必要です。
勝てない相手と解っていながら、立ち向かって
行く孫の姿に、涙が溢れて・・・
コメントをありがとうございました
いつも感謝致しております。

2015/10/23 11:38:37

風香さんも

良香さん

御次男さんの試合を見ていらして、さぞお
辛かった事でしょう。
御長男さんもお優しいわね!
息子さん達を、立派にお育てになられまし
たのは、風香さんの偉業ですね!

”負けて落ち込むのでは"と心配していたの
ですが、老婆心でした。
此処数日、顔つきが心なしか逞しくなった
様な気が致します。
負けた事が、メンタル面に良い効果を齎したの
でしたら宜しいのですが!

2015/10/23 11:21:52

マリーさんの

良香さん

お孫さんも空手を習っていらっしゃるのね!
負けても泣かないなんて、凄いわ!
将来が楽しみですね!
コメントをありがとうございました。
感謝致しております。

2015/10/23 10:43:29

空手

みのりさん

 お孫さんが空手の
試合に出られたようですね
試合を見ているとドキドキしませんか

 それでも頑張る姿は
たのもしいですね

2015/10/21 17:26:48

泣いて乗り越えて

さん

我が息子も(姪は一緒に居たけれど)一人っ子でした。
競技ダンスを始め、初戦敗退を繰り返し、悔し涙にくれていたのが、それをバネにして、今はかなり上に上がりました。
お嫁さんとも、その過程で巡り合い、結ばれました。
挫折を乗り越えて、人は初めて強くなると思います。
よくやったね!
大丈夫。頑張れば結果はついて来るよと抱きしめてあげたくなりました。

見ている身内の方が辛いですね。
笑って検討を称えましたが、帰ってから、胸中を思うと涙が出たことを思い出しました。

2015/10/19 20:05:11

読みながら涙が

さん

出ました。格闘技はわが子や孫には無縁でしたが、痛くて泣くんじゃないでしょうね。悔しいのでしょうね。今日まで頑張ってきたのに負けたことが悔しいのでしょうね。
子供たちや孫たちはバスケでした。
矢張り試合が終わった後は泣くこともありました。
勝つばかりが人生ではないですものね。
負けて少し成長するんでしょうね。

2015/10/19 19:26:57

頑張りましたね

さん

いっぱい褒めてあげていいですね。
勝つことよりも負けのほうが得るものが多いこともありますし。
きっと精神的に大きく成長していくのよね。

次男は中体連のバスケで初戦敗退し、キャプテンとしても悔しかったのでしょう、
涙をこぼし、観戦に来ていた長男(こちらもバスケだった)に励まされていました。
言い思い出になったと思います。

2015/10/19 18:51:35

空手

さん

良香さんのお孫さんの初戦相手には強い人と当たってしまって残念でしたね。

私の孫も空手をやっています。(小2)
試合では初戦敗退。
ちっとも泣かなかったそうです。

2015/10/19 17:59:39

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