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第70回 昭和35年盛夏 子ども服店のアルバイト 

2014年09月01日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


中学3年夏休みになったばかり、絵の教室のキャンプの帰り、駅の方から大回りして、元町商店街を通って帰宅する事にした。
元町洋装店の隣の元町子ども服店の若い奥さんが、大きなお腹を抱えて、店先に立っている。
いつも、にこやかに声を掛けてくれる奥さんなので、私も笑顔で挨拶した。
洋装店のおばさんの息子さんの、若奥さんなのだ。
「ちょうどいいところで会ったわ。もうすぐ、赤ちゃんが産まれるのよ。」
「夏休み中、手伝いに来て頂戴ね。お中元の配達もあるから忙しいのよ。」
「はい。お手伝いします。」と、やったー!ラッキー!と跳び上がるほど嬉しい気持ちを抑えて、ニッコリ顔で返事をした。
若奥さんは、「これで安心。」という表情だったが、私も「これで夏休みは安心。補習授業は休めるぞ。」と、同じような気持ちだ
次の朝、「親戚のお産の家に手伝いに行くので、補習授業を休みます。」と、学校へ伝えに行った。
翌日から、子ども服店の手伝いに行く。
今までの、アルバイトのように、お店の掃除から始めると、若奥さんが、「最近掃除が行き届いていないから、嬉しいわ。」と言ってくれる。
計画を立て、棚など店全体を順番に掃除することにした。
昼前になると、随分暑くなったので、人通りが少なくなり来店者はない。
ご主人の店長さんが、お中元用の仕立券つきワイシャツの生地やタオルセットなどを、仕入れて帰って来た。
店の奥の部屋で、包装し始めたが、涼しい気がする。
奥の部屋は風が入らないからと、その頃では珍しく冷房機が付いていて、快適に包装ができる。
箱によって、包装の仕方がちがうので、教えて貰った。
まず、キャラメル包装だが、これは、キャラメルの包み方と同じなので慣れている。
次は、箱の上部は包装紙がきれいになり、底部分は包装紙の端がきれいな斜めになるデパート包み(ななめ包みとも言う)だ。
家で、届け物があった時、開いたことがあるが、包むのは初めてだ。
箱の角の包装紙を丁寧に折れば、きれいに仕上がる。
夕方涼しくなって、店長さんと車で、大会社や市役所や教育関係の役職のお宅に、包装したお中元の箱を届ける。
丁寧に挨拶し、届け元の会社名や個人名もお伝えする。
「僕が届けるより、若い娘さんが届ける方が、お客さんは喜ぶんじゃよ。」と、店長さんが言ってくれる。
それを聞き、もっとにこやかにはっきり話すようにして、一週間くらいお中元を届ける仕事が続いた。
入院していた若奥さんが、かわいい顔のちっちゃな赤ちゃんを抱っこして帰って来た。
洋装店のおばさんは、おばあさんの表情で、店長さんも始終笑顔で、隣のお店の人達も喜んでいた。
お手伝いに来て、幸せな時に居合わせて本当に良かったと思う。
お盆前からは計画通り、店の全体の掃除をすすめ、「大掃除をして貰って、きれいになっわ。ありがとう。」と若奥さん。
嬉しくなり、また手伝いにきたいと願った。
店員の仕事が私に出来るかもしれないと思い、将来のことを思い浮かべ、少し安心感もわいてきた。

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