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第59回 昭和34年夏 クラブ活動の応援(1) 

2014年05月11日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


中学2年の夏休み、校舎の側のホプラの木の葉が、午後の強い陽射しに少し疲れているようだ。
運動場のバレーボールのコートに、ミイーンミイーン・ジイージイーと蝉の声が聞こえ、より暑さを感じる。
バレー部では、対校試合に備えて3年生と2年生の部員が一緒に練習することになった。
3年生部員は9名で、怪我をして試合に出られない時、2年の補欠部員が試合に出るそうだ。
その頃は、前衛と中衛と後衛それぞれ3名づつの9人制だった。
試合に出たい練習熱心な2年部員がいたが、自信がないので出たくない2年生もいた。
サーブはコートに入らないし、強い攻撃のボールを受けられない私は自信がない。
練習前に氷屋で氷を買って来てかち割り氷を作ったり、大きなやかんに氷水を作るのは、2年生の役目だった。
私は練習前の準備をしながらおしゃべりする方が、練習より楽しかった。
卒業した元バレー部の高校生の先輩が来て、サーブの打ち方やレシーブのやり方を教えてくれるようになった。
ずっと以前から、夏休みに先輩が後輩に教えに来ることが、続いているそうだ。
こうやって部活動が受け継がれ、後輩が上手になり強くなることを知り、すごいことだ思う。
隣のコートで、先輩3人が攻撃して、3年男子選手がレシーブの練習を始めるようだ。
「見学して勉強しよう。」と先輩が女子部員に声を掛けたので、コートの傍に座った。
先輩のサーブとアタックのボールはとても強く、襲ってくる感じだ。
男子選手は、必ず受け取ってアタックしようとの気構えだ。
その中で、中衛のレフトの小柄な選手が、滑り込んで膝を擦りむいてボール受けているのに、気が付いた。
また次に、素早く高くジャンプして攻撃する姿に、見入ってしまった。
思わず「ナイスアタック!」と大声を挙げた。「すごい!」とみんなも拍手。
次の日、「今日は男子と女子で練習試合をしよう。」と、またやって来た先輩が提案した。
さっそく、3年の男女選手が練習試合を始め、2年部員は応援だ。
男子選手の攻撃はとても強く、女子選手は真剣にボールを受けている。
私は、また中衛のレフトの選手のレシーブに見とれてしまい、「ナイスレシーブ!」と声が出る。
もちろん、他の選手にも、「ナイスサーブ!」「ナイストス!」と声援を送った。
2年部員みんなも声を出して応援していた。
コートの中で、先輩が失敗した選手に「ドンマイ!ドンマイ!」と声を掛けた時も、「ドンマイ!ドンマイ!」と続いた。
すぐに大きな声を出したり大拍手をして応援してしまう私は、応援するのが楽しくて好きなんだと気づく。
練習試合は予想通り男子が勝った。
女子選手は疲れたらしいが「ありがとうございました。」と笑顔だ。
氷のかち割りや氷水を「お疲れさま。」と言いながら、選手みんなに配って、2年生部員も楽しそう。
8月になり、他の中学と対校試合の日程が決まったようだ。
「としこは応援がうまいし、チームの気が沈んだ時、気分転換して盛り上げるのが上手じゃから、補欠に入れて対校試合に連れて行こう。」と、先輩が女子キャプテンに話しているのが聞こえる。
サーブやレシーブに自信がない私は驚いた。
だが、レフトさん(名前を聞くのが恥ずかしいので、心の中でレフトさんと呼ぶことにしていた)の応援をしたいので、対校試合に行きたくなった。
補欠で出場するかもしれないので、サーブなど真剣に練習するので疲れるが、対校試合が楽しみだ。
対抗試合当日、特に上手な2年女子2人と私の3人が補欠に選ばれ、3年の選手と一緒に汽車に乗って出発した。
席に座って斜め向こうのレフトさんの方を見ていると、目が合った。
頬が熱くなって、胸がドキドキする。
汽車から降りて、対校試合のある中学校に着き、初め男子次に女子の対校試合が始まった。
今まで以上に、レフトさんやみんなに大声援を送り、胸がドキドキする。
相手チームの好アタックにも「ナイスアタック!」と声を出しそうになる。
冷静になるよう自分に言い聞かせながら、応援を続けた。
炎天下、拍手する手も喉も頬も胸も体も熱くなり、熱射病になったようでとても疲れた気がする。
男女とも対校試合に勝って、みんなも熱気に包まれたまま汽車に乗り、にぎやかに帰路に着いた。
これからとても暑い中、胸が熱いまま部活を続けたら、どうなるかしらと一瞬心配になる。
しかし、クラブ活動は盆休みになり、熱射病の心配はなくなった。

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