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(新)ごんぼねっこ日記

笑って暮らしていればいいのだが… 

2013年10月13日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

エンジェルトランペット。
今頃、どんどん花を咲かせている。
* * *
調べて驚いた。
猛毒を持っているらしい。
汁が目に入ると失明の恐れもあるとのこと。
* * *
ヒガンバナ(別名曼珠沙華)と同じ成分の毒。
ヒガンバナは、食べると彼岸に行ってしまうからヒガンバナだとのこと。
このエンジェルトランペットの別名は曼荼羅華、これは、食べると自分が仏さまになっちゃうからだそうだが…
* * *
* * *
電話のベルで受話器を取った。
「先生、ご無沙汰してました。」
教え子の兄だった。
声が明るい。
* * *
ジサマが担任した教え子は、数年前に亡くなった。
可哀想すぎる人生だった。
* * *
中学校を卒業し、技術専門校に進んだ。
まじめでいつも笑顔で、誰からも好かれる子だったが、家は貧しかった。
技専校の自動車科で、修理工の資格を取った。
* * *
修理工場での働きっぷりを認められて、客から婿養子に迎えられた。
それが狂ったのは、ひとつの事故。
客の車を移動中、ぶつけられてしまった。
修理工場の社長は、客への手前もあってか、教え子に一方的に責任をなすりつけた。
* * *
実は、社長は暴力団ともつながりがあると噂される男だった。
しかも、教え子は、もともとけんかなどしない子。
法外な修理費用を強制的に負わされた。
* * *
婿養子に入った家でも、話すことが出来なかったらしい。
仕事も辞めさせられ、妻の親から家を出るよう言われてしまった。
仕事もなくなり、帰る家もなくなり… 
しばらくは、実家にも言えなかったらしい。
時々、変な時間に実家を訪ねてくることで、母親が気づいた。
* * *
病気が見つかったのは、実家に戻ってからだった。
奇病だった。
まるで、狂牛病。
ジサマたちが見舞いに行ったときは、すっかりやせ細っていた。
* * *
「分かるか?」
ジサマが聞くと、笑って
「分かる。」とは言っていたが…
本当に分かっていたのかどうかは分からない。
亡くなったのはそれから間もなくだった。
* * *
葬儀の日、腰の曲がったお母さんが黙って立っていた。
喪服は着ていても、いかにも貧しい田舎のおばあちゃんだった。
ジサマを見て、
「○○先生…」と言ってくれた。
40年過ぎても覚えていてくれた。
* * *
隣には兄がいた。
ジサマは、1年だけ教科を担当した。
その頃から、口から生まれてきたような男だった。
* * *
葬儀が終わって、しばらく過ぎて、電話が来た。
あの兄だった。
「先生、今すぐどうしても払わなければならないお金があって…」
お金の無心だった。
「分かった」
教え子の供養、そして年老いたお母さんへの助けになるならば、との思いだった。
* * *
「すぐ返しますから」
兄貴は、笑顔で帰って行った。
そのあと、再び電話が来たのは1年も過ぎてからだった。
* * *
「先生、どうしても必要なお金があって…」
同じようなことを言った。
前のことは何も言わない。
忘れているわけではないだろうが…。
* * *
あのお母さんの姿を思い出すと、むげに断ることは出来なかった。
「あさってあたりに、お金が入るので、すぐ返しますから」
頭を下げて、帰って行った。
* * *
あれは震災前だった。
あれから3年近く過ぎて電話が来た。
全く明るい声。
だが、次の言葉は同じだった。
「近くで不幸があって、お金が必要なんです…」
* * *
いろいろな人からお金を借りていることは聞いていた。
お母さんのことを思うと可哀想だが、
「ごめんな…」
と言って、今回は断った。
そう言うと、電話はあっという間に切れた。
* * *
…兄貴はもう55を過ぎている。
あのお母さんが笑って暮らしていればいいのだが…

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