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「ワガネ」が分かる吉田沙保里選手 

2013年10月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

我が青森県は、江戸時代における津軽藩の全域と南部藩の一部の地域からなっている。

 県の中央を走る八甲田山系によって仕切られ、日本海側の津軽地方と太平洋側の南部地方に分かれる。

 津軽弁と南部弁とでは、使う言葉が違うし、イントネーションがまったく違う。津軽弁は威勢がいいのに対し、南部弁はおっとりしている。

 津軽弁を使う私が南部弁の中で最も不思議な使い方だと感じる表現は、「バスからおちる」という表現だ。

 「バスからおちれ」ば、怪我をするに決まっているのに、南部の人たちは、「バスからおちて」も怪我せず、平気なのだという。婆様でも爺様でも平気なのだ。そんな馬鹿な。随分丈夫なものだな。

 南部衆は、「降りる」ことを「おちる」と表現するのだ。「バスから降りる」を平気で「バスからおちる」と言う。

 津軽衆は、もちろん「バスから降りる」としか言わない。決して、「バスからおちる」とは言わない。

 それから、「だめだ」は、津軽弁では「マイネ」、南部弁では「ワガネ」と言う。例示すれば、次のようになる。

 標準語 だめだだめだ、そのやり方はだめだだめだ

 津軽弁 マイネマイネ、そのやり方はマイネマイネ

 南部弁 ワガネワガネ、そのやり方はワガネワガネ

 ところで、津軽弁でも「ワガネ」という言い方はする。ただし、津軽弁の「ワガネ」は、「分からない」という意味である。

 一度聴いただけで南部弁の「ワガネ」が「だめだ」であることを分かる津軽衆は、歴史上一人もいない。津軽衆には、初めは、南部弁の「ワガネ」が「だめだ」であることは、「ワガネ」。

 同じ青森県人の津軽衆でも、南部弁の「ワガネ」は「ワガネ」から、ましてや南部衆の本家の岩手県人以外の他県人に分かるわけがない。分かる人がいたら、それは奇跡だ。


 ブダペスト、と言っても、もちろん豚がペストに罹ったという意味ではない。

 ブダペストは、東欧はハンガリーの首都である。街の美しさから「ドナウの真珠」とも呼ばれる。
ドナウ川を挟んで西側がブダ地区であり、東側がペスト地区だそうだ。ブダとペストでブダペストであるところが面白い。

 そのブダペストで先日開かれたレスリングの世界選手権。去る9月19日の大会4日目に、女子55キロ級で吉田沙保里選手が11連覇を達成した。
 2004年アテネ、2008年北京、2012年ロンドンと3連覇したオリンピックと合わせた世界大会連覇を14に伸ばした。これは、男女を通じて前人未到の最多記録の吉田沙保里選手自らによる更新である。

 吉田沙保里選手は、昨年9月に前人未到の世界大会13連覇を達成し、11月には国民栄誉賞を受賞していることも記憶に新しい。

 私たちは、吉田沙保里選手の強さに慣れ、世界大会連覇に慣れてしまっているが、アスリートにとって、一度でも世界大会で優勝することは至難の業である。大部分の選手は、その一度でも世界大会で優勝することができない。

 したがって、吉田沙保里選手の前人未到の世界大会14連覇は、奇跡である。

 その吉田沙保里選手は、南部弁の「ワガネ」が「だめだ」であることを分かる。それも、奇跡である。

 なぜ、吉田沙保里選手は、南部弁の「ワガネ」を分かるのか。

 吉田沙保里選手は、三重県津市(旧一志郡一志町)に三人兄妹の末っ子として生まれた。
 お父さんは、青森県は八戸市出身でレスリング全日本選手権の優勝経験がある吉田栄勝(えいかつ)さん。お母さんは、幸代(ゆきよ)さんで、テニスの元国体選手。お兄さん2人もレスリング経験者で、二番目のお兄さんは、国際大会の出場経験もあるそうだ。

 吉田沙保里選手は、自宅で子どもたち相手のレスリング道場を開いていた父の指導に基づき、3歳の時からレスリングを始めた。

 お父さんの吉田栄勝さんは、吉田沙保里選手に、小さい頃から、徹底的に必殺のタックルを教え込んだ。

 吉田栄勝さんの物の言いぶりは、何度かテレビで観たことがある。吉田栄勝さんは、青森県の南部衆以上の南部弁なのだ。
 南部衆もビックリの南部弁。吉田栄勝さんは、八戸市に住んでいた高校生の頃までと寸分違わぬ南部弁のままで、その後もずうっと生きてきた、と見た。
 それが吉田栄勝さんのアイデンティティーなのだろう。ましてや、彼は、体育会系の人間だ。その辺のところは大いに理解できる。
 
 「沙保里、ワガネワガネ、そのタックルのやり方だばワガネワガネ」
「沙保里、だめだだめだ、そのタックルのやり方ではだめだだめだ」

3歳の時から20年以上にもわたり、そうやってお父さんの指導を受けて、世界の吉田沙保里選手になっていった。

 だから、吉田沙保里選手を国民栄誉賞の受賞や前人未到の世界大会14連覇の達成に導いたのは、南部弁の「ワガネ」だ。


 お父さんの吉田栄勝さんは、高校卒業後、青森県を後にして、レスリングを相棒としつつ、一生懸命に生きた。おそらく大分ご苦労もされたことだろう。

 そのお父さんの頑張りが吉田沙保里選手を成長させた。吉田沙保里選手には、半分は青森県人の血が脈々と流れている。だから、私たちにとっても吉田沙保里選手の大活躍が誇らしい。

 吉田沙保里選手に聞いてみたい。

 「吉田選手は、バスからおちたことがありますか」

 吉田選手は、答えるはずだ。

 「あるわよ。この間もブダペストでバスからおちたわよ」

 「バスからおちて大丈夫でしたか」

 「平気よ。なんたって、アルソック(ALSOK 綜合警備保障)ですもの」

 そして、ニヤリと笑って唱え始めた。

 「アルソック、バスからおちてもアルソック」「アルソック、バスからおちてもアルソック」


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津軽弁と南部弁

Mr.中年元気さん

私は津軽出身ですが、高校の時、県大会が八戸で開催されたとき、行った事ありますが、皆さんが話してる南部弁が柔らかいと感じましたねェ。
それに比べて、自分が話してる津軽弁がごつくて、
汚い言葉で恥ずかしいなあと思いました。

2013/10/05 10:22:00

おもしろい

さん

私たち三重県人の誇りである吉田沙保里さんは、wasaoさんたち青森県人にとっても誇りなんですね。

でも一番喜んでるのはALSOKだったりして。

2013/10/04 22:39:47

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