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平成の虚無僧一路の日記

願いが必ず叶えられるとなったら 

2013年05月26日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



中日新聞「三百文字小説」から
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「人間ナビ」 小久保久里(愛知県刈谷市・会社員・44歳)

人間ナビが開発された。
なんと、将来なりたい職業に必ずなれるという夢のような
最新ナビだ。

僕は幼い頃から野球選手になりたかった。そこで、僕は
迷いなく装置を購入。「野球選手」と入力、セットした。
しかし…。
必ずなれるとわかった途端、野球選手にはなりたくなくなって
しまった。

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フムフム。なるへそ。

「努力も不安もなく 手にはいる」となったら欲しくなくなる。
わかる わかる。

65歳になったら「敬老パス」がもらえ、名古屋の市営地下鉄も
バスも無料となる。「敬老パスがもらえたら、虚無僧で
名古屋中あちこち行ってみよう。毎日稼げるぞ」と
ずっとずっと心待ちにしていた。

そして 65歳、ようやく 手にはいった。フリーパス。
しかし「どこへでも行ける」となったら、どこにも
行きたくなくなってしまった。虚無僧に出ても、
お布施ゼロでも、地下鉄に乗って家に帰れると
思ったら、刹那さ、必死さ、緊張感が無くなって、
ただのコスプレおじさんになってしまった。
さっぱりお布施がいただけない。

「これ趣味なの?、ホンモノなの?」と聞かれて、
はて、自分でも解らなくなった。虚無僧は本業なのか
趣味なのか。

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