もうすぐクリスマス!これぞクリスマス!おすすめ映画3選
掲載日:2021年12月17日

もうすぐクリスマス!これぞクリスマス!おすすめ映画3選

もうすぐクリスマス。日本では解釈が広がり、「大切な人と過ごす冬の特別な日」となっています。その解釈の一環でクリスマス=恋愛のイメージも強いわけですが、本来クリスマスとはイエス・キリストの降誕を祝うお祭りのこと。
神の誕生と人々の健勝を祝い、様々なものへの慈悲の心を確認する日でもあるわけです。

ご紹介する3本には恋愛も描かれますが、そこがメインではありません。様々な欲望を持つ人間が、なんらかの気づきを得て新たなる生き方を見出す、という物語。これぞクリスマス映画だと思うのですが、いかがでしょうか?
まずは『素晴らしき哉、人生!』の奇跡から!

何が何でも感動したい方におすすめ 『素晴らしき哉、人生!』(1946)

雪の降るクリスマス・イブの夜から始まる物語。多くの人がジョージ(ジェームズ・スチュアート)の再起を神に祈っています。ジョージは思いやりに溢れ、家族思いで愛妻家。父の会社である貯蓄貸付組合を継ぎ、幼なじみでもある妻メアリー(ドナ・リード)と、かつて夢を語り合った古い屋敷を改装して暮らしています。

そんなジョージは売上を横領した罪に問われ、何もかも失う一歩手前。保険金でカバーしようと橋の上から身を投げようとしています。彼を追い詰めたのは、ジョージの躍進を妬む事業家のヘンリー・ポッター(ライオネル・バリモア)。所得が低くても家を持てる事業を営むジョージと異なり、あらゆる方法で人々から搾取しようとする非道な人物です。

本作は、人々の祈りを聞いた神がジョージを救うように2級天使クラレンス(ヘンリー・トラヴァース)に言いつけるところから始まります。クラレンスは「僕なんか死んだほうが、価値があるくらいだ」と言うジョージに、1人の人間が他者にもたらす影響について語ります。

クラレンスと一緒に振り返るジョージの人生は本当に魅力的。時々、誤解や罠によって辛い目にもあうからこそ、この映画で見られるクリスマスの奇跡が大きな感動をもたらします。何が何でも感動したい方におすすめです。

名匠フランク・キャプラが監督。悪徳事業家ポッターを演じているのは、ドリュー・バリモアの大伯父であるライオネル・バリモアです。
何が何でも感動したい方におすすめ 『素晴らしき哉、人生!』(1946)

古き良きアメリカのクリスマスを堪能 『三十四丁目の奇蹟』(1947)

ニューヨークに実在する有名デパート「メイシーズ」の名物、クリスマスのパレードとサンタクロースと話せるイベントを、見ることができる貴重な作品でもあります。

メイシーズの人事係ドリス・ウォーカー(モーリン・オハラ)は現実主義のシングルマザー。パレードが始まる直前に酔っぱらって出演不可能となったサンタクロースの代役にサンタの別名であるクリス・クリングル(エドマンド・グウェン)を名乗る、特殊メイクなしでサンタが演じられる人物を起用します。

メイシーズがこのイベントをクリスマス・シーズンに行うのは客寄せから。他店より1つでも多く物を売ることが課せられたイベントにも関わらず、クリス・クリングルはメイシーズにない物や品が良く安い物が他店にあると、躊躇なくそちらを紹介してしまいます。

当初、経営サイドは問題視しますが、そんな博愛主義な姿勢が消費者にはプラスに映り、買い物客が殺到するようになります。しかしデパートの専属医はそんなクリス・クリングルが面白くなく、精神的な病を持つと診察を出し、病院に入れてしまいます。

最後は「サンタクロースは存在するか?」という永遠のテーマに法廷で結論を出すことになりますが、その法廷劇としても笑えるし、スリリング。タイトル通り「奇跡」も味わうことができます。

戦後、経済的な発展を遂げていくアメリカの物質主義に警鐘を鳴らすかのよう。「クリスマスは形でなく、心の問題」というクリス・クリングルの台詞が胸に残る作品です。現在は高級アパートメントとなっているライバルデパート「キンベル」の外観も映し出され、当時のニューヨークの街並みを堪能できます。監督はビング・クロスビー、グレース・ケリー主演の『喝采』(1954)や『大空港』(1970)のジョージ・シートン。
古き良きアメリカのクリスマスを堪能 『三十四丁目の奇蹟』(1947)

クリスマスに聴きたい音楽がびっしり! 『ラブ・アクチュアリー』(2003)

様々な背景を持つ19人の老若男女が織り成す9つの愛を、クリスマスの5週間前から描いた作品。

登場するのは、首相になったばかりのデイヴィッド(ヒュー・グラント)、再起をかけたかつてのロックスター、ビリー(ビル・ナイ)、妻が連れ子を遺して亡くなったダニエル(リーアム・ニーソン)、親友ピーター(キウェテル・イジョフォー)の結婚相手ジュリエット(キーラ・ナイトレイ)に片思いしているマーク(アンドリュー・リンカーン)、失恋したばかりの作家ジェイミー(コリン・ファース)、夫ハリー(アラン・リックマン)が部下と浮気中のカレン(エマ・トンプソン)など。

どんな背景を持つ人物にも等しくクリスマスが訪れるように、地位やお金の有無に関わらず悲しみも幸福もまた平等であり、それを乗り越えるのは“愛”なのだというテーマが、しみじみ伝わってきます。

音楽の使い方が抜群にうまいこの作品。片思いするジュリエットの結婚式にマークがサプライズで贈るビートルズの「愛こそはすべて(All You Need Is Love)」。夫の浮気を知ったカレンが一人で聴くジョニ・ミッチェルの「青春の光と影(Both Sides Now)」。芽生えた恋心を抑えられずデイヴィッドが思わず官邸で踊るポインター・シスターズの「ジャンプ(フォー・マイ・ラブ)」。どれも音楽とともに心に残る名シーンです。

ハリーがクリスマスのプレゼントを買う「セルフリッジ」はイギリスの高級デパート。販売員役を演じるローワン・アトキンソンは最後まで活躍。シニカルかつスマートなところがイギリスの空気を感じさせます。監督は『ノッティングヒルの恋人』(1999)、『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)のリチャード・カーティス。人間の深みを笑いとともに描かせたらナンバー1の監督です。

いずれにしても一年が終わる間近の12月。大切な方や気の合う方と今年を振り返りながら、よい時間を過ごされることを祈っております。

関口裕子 プロフィール

「キネマ旬報」、エンタテインメント業界紙VARIETYの日本版「バラエティ・ジャパン」編集長を経て、フリーランスに。執筆、編集、コンサルタントとして活動中。趣味は、歴史散歩。

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