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作品名 3月のライオン 評価 評価評価評価評価評価(5)
タイトル March comes in like a lion とは
投稿者 パトラッシュ 投稿日 2017/04/01 14:02:24

中学生で、プロの将棋指しになった。
となれば、きっと天才少年なのでしょう、この映画の主人公
「桐山零」は。

私は、小学校のクラブ活動で、囲碁と将棋のコーチを務めています。
生徒らとの雑談において、話題に出るかもしれません。
それで、囲碁将棋関係の映画は、極力、見ることにしているのです。

囲碁将棋は、勝負が全て。
勝ちか負けかで、その中間がない。
善戦したが惜敗した。
なんていうのは、他の分野では、ともかく、囲碁将棋においては、
価値がないのです。

勝者がいる陰には、必ず敗者が居る。
という冷厳な事実に、この映画は、真っ向から向き合って行きます。
敗者は辛い。
生活がかかっていることは、もちろん、時には、挫折し、
人生の方向転換を、余儀なくされたりもします。

一方で、勝者は喜ばしい。
地位を得、名声を博し、もちろん、収入も増える。
万々歳です。
しかし、彼とても、その歓喜の向こうにある、敗者の悲哀と苦悶に、
目を向けないわけには、行きません。

それが、赤の他人なら、まだ良いでしょう。
相手が、育ての親だったら……
そして共に幼少期を過ごした、義理の姉や、兄だったら……
辛いですね。
罵倒を浴びるのも覚悟で、しかしそれでも、勝負は負けられないのです。

勝てば勝つほど、人を不幸にしかねない。
その矛盾に、若い高校生の主人公が、悩まないわけはありません。

そんな時に出会った、三姉妹。
その和やかな家庭に、心の安らぎを得た主人公です。
見ている者も、思わず、安堵します。
対局のシーンが、あまりにも苛烈だからです。
目と目が直視し合い、それこそ火花の散るような、光景が続くからです。

私は映画を見る時に、たいてい妻を誘うのですが、今回は止めました。
将棋を知らない妻が、退屈すると思ったからです。
しかし、見終った今は、違います。
私は、上映時間の二時間が、短く感じられました。
物語の展開が、スピーディで、緊迫感に満ちていたからです。
妻が見ても、きっと同じでしょう。
将棋には素人である妻の、この映画に対する、感想を聞いてみたいと思いました。

「ちゃんと泣いてあげることは、いいことだね」
三姉妹の末っ子が、死んだ母を偲び、涙を流しているところへ寄り添い、言葉をかける主人公。
同じ運命を経た者としての、惻隠の情を示す、いい場面です。

人間の中に混在する、情と非情。
温柔と冷厳。
そのどちらにも、徹することはない。
人間は、その間に折り合いをつけ、生きてゆくよりない。
と言うことを、改めて思わされた映画でした。

私の映画レビューは、何時も☆☆☆☆☆になってしまいます。
嗅覚を働かせ、これはと思う映画を選ぶからです。
それでもたまに「外れ」はあります。
その時は、そもそも、レビューなど書きません。
それで、ことごとく、☆☆☆☆☆になってしまうのです。

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コメント

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みのりさん

中学生の将棋のプロが
いるんですね天才少年が

2017/04/01 14:55:51


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