ナビトモのメンバーズギャラリー

条件で調べる

カテゴリ選択
ジャンル選択

前の画像

次の画像

ギャラリー詳細

作品名 67になっても、たまにはデートしたい(62) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(62)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/04/26 12:43:46

+++女はこれを大いに歓迎した。男の心理と生理を
良く知っていて、男を二度楽しむみたいなものだった
から、実に怪しからん女だ!

62/63.グッタリとなる

 女が入社してから5ケ月目に入った。もう相手が熟
して落ちるのを待つだけと考えていたが、計算の狂っ
た部分がある:愛情が湧いて来るのは社長側が先であ
る筈だったのに、本気で処女を演じてモチツキを繰り
返す内に、女が先にモチのネバリに足を取られてしま
ったのである。

 モーツアルト的感覚で、女は道具としてのセック
スは良く知っていたが、結婚を前提にした真面目な愛
や優しさを男から示された経験が、それまでに無か
った。社長の優しさが、その実バツイチという引け目
に由来するものに過ぎなかったのに、女はそれを丸々
本気で信じ込み、のぼせ上がってしまった。
 もっとも、そう悪意に取るのは、年甲斐も無く私
のやっかみだったかも知れないが。

 女が急傾斜で男へ傾いて行くのが、手に取るよう
に判った。若い女は恋に生きる事が出来る。私の存
在は大好きな「お父さん」であると同時に、素敵な
「恋人」だった筈だのに、それ以上の深度で、私と
は別の男の中へ身を投げ出すように、女は落ちて行
った。

 そんな手違いが起きたから、作戦の進捗具合の報告
というより、女は半分以上「のろけ話」として毎回ベ
ッドで私へ話した。女の両目はピンクのハートマーク
で溢れ、恋の大輪が咲いていた。矢張り、若い魂同士
には敵わないと私は兜を脱いだ。女を手放す時期が来
たのである。

 父親が娘を嫁にやるに似た一種の寂しさを味わいは
したが、私は心から女の恋を祝福した。結婚式が四ケ
月後のその年の秋に決ったと聞いた時、作戦は完了し
たのである。
 いよいよ最後となったベッドで、名残を惜しんだ私
は念入りに女の体を慈しんだ。女もそれに応え、何
度も私を求めて何時に無く燃え上がった。私はグッタ
リとなりながら、六十七の体力の無さを噛み締めた。

(つづく)

前の画像

次の画像



【比呂よし さんの作品一覧はこちら】

最近の拍手
全ての拍手
2014/04/26
MOMO
拍手数

1

コメント数

0


コメント

コメントをするにはログインが必要です


同ジャンルの他の作品

PR







上部へ