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作品名 67になっても、たまにはデートしたい(60) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(60)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/04/23 10:10:10

+++社長へプレゼントした。無論私の場合とは違
って、定額の倍で買わせたのではなく、特別手配の無
料優待券。社長は花束を抱えて観に来た。

60/70.ばれないかなあ?

 細かい事を言えば、四ケ月目に女は追加して、バレ
ンタインのチョコも買って与えたし、序にブランド物
のネクタイもプレゼントして、男へしっかり首輪も付
けた。 

状況からして、放っておいてもホテルへ誘われるのは
もう時間の問題である。いやいや、その方面では手慣
れていたから、私には内緒で、女は既にホテルの手順
を先行していたかも知れない。こんな事態を想定して
以前から女へ繰り返しこう教えていた:

「ホテルでは、必ず処女のように楚々と振る舞うん
だよ。絶対大切だ!」
 これに、女はケケケと声を立てて笑った。
「私の齢だと、誰も処女だとは思わないわよ。実際処
女なんて実在しないと思うものーーー」

「君は勘違いしているよ。モーツアルトの悪い癖だ。
大抵の平均的な男は君が考えるより、保守的なもの
さ。遊び慣れている男は、ごく一部なんだよ」
「へえ、そうかしらーーー?」

「特にあの社長は一流大学を出ているし、毎日仕事漬
けで、バツイチだとしてもエンジニアの典型で、冗談
一つ言えない真面目なタイプなんだろ? 君がそう言
ったじゃないか!」
「ええ、大真面目よ、彼は」

「結婚したら、殆どの妻は夫が必ず浮気するものーー
ーと用心して日頃から警戒する。男は浮気な性(た
ち)と、頭から決めているからだよ。ねえ、そう
だろ?」
「ええ、そんな風だわね、男は浮気が趣味の動物よー
ーーー」 
女は私の顔を意味有り気に見て、ニヤリとした。

「だけどね、反対に、自分の妻が浮気すると想定する
夫は、殆ど居ないものだよ。まるで迷信みたいに、妻
や彼女だけは例外だと信じ切っているんだ。それが女
と男の違いさ。男の浮気は直ぐにバレルけれども、女
の浮気が絶対にバレないのは、こんな男の甘い心理の
せいだと、誰かに教わったんだ」

「そりゃ、男性が女をそう信じているのは何となく判
るわーーー。だから女の浮気は確かにバレ難いのよ
ねえ。でも、そんな女の浮気心と男の心理を、教えて
呉れた親切な人というのは、一体誰かしらねえーー
ー? 多分その人は人妻で、自分自身が浮気していた
のね、きっとーーー」
「ーーーー?」

「その人妻の浮気のお相手って、一体誰だったのかし
らねえーーー? ウフフのエヘヘ」
「いや、馬鹿な! 話がこんがらかってしまったじゃな
いか」
「ウフフーーー」

「言いたいのは、男の考えと女の考え方は、天地程も
違うということだよ。ウソでもいいんだ、あたかも晩
生(おくて)みたいに、外見だけでも処女のように振
舞ってたぶらかすんだ。それだけで男は感動する。君
は演技のプロだった筈じゃないか?」

「でもそんなベッドでの演技は、今までに練習したこ
とが無いわ。それに私って、アノ時になったら直ぐ本
気で体が感じてしまうんだもの。相手にバレないか
なあ?」

(比呂よし)

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