読書日記

『牧師館の殺人』 <旧>読書日記1386 

2023年05月30日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記

アガサ・クリスティ『牧師館の殺人』ハヤカワ文庫(クリスティー文庫)

ミス・マープルの長篇ものの最初の一冊である。

閑静な小村セント・メアリ・ミード村で殺人事件が発生。しかも場所はこともあろうに牧師館の書斎―頑固な村の退役大佐が、射殺死体で発見されたのだ。やがて犯人と目される画家が自首したことから、事件は簡単に解決すると思われたが…せんさく好きの老嬢ミス・マープルが深い洞察力で真相に迫る長篇初登場作。

話の語り手は牧師館の主のレオナルド・クレメント。被害者は治安判事のプロザロー大佐。熱心なキリスト教徒であるが思い込みが激しく頑固で多くの村人からは嫌われていた。それがこともあろうに、牧師館の書斎で殺されて発見されたのであるから大ごとである。

村にはおりしも、画家のローレンス・レディング、考古学者のストーン博士とその個人秘書であるグラディウス・クラムという女性、そして謎めいたエステル・レストレンジという女性が滞在しており、さらに補任されたばかりの副司祭であるホーズ、ならず者であるアーチャーの存在がある。牧師館のメイドであるメアリはどうやらアーチャーと付き合いがあるようだ。果たして犯人は誰か?

やがて画家のローレンスが自首して、事件は解決かと思われたがさらにプロザロー大佐の妻も自分が犯人だと自首してきて、混迷する。結局この二人は釈放されるのであるが、のちに、この二人は不倫の仲であることが判る。話の終盤、副司祭のホースが自殺を図り(実は真犯人がそう見せかけたもの)、その結果として、ミス・マープルは自分の推理を警察の担当者やレオナルドなどの関係者に語り、真犯人を罠にかけることを提案するのであった。

トリックはある意味、目くらましの極みで叙述の仕方で犯人を読者の目から隠しているものであった。また、ここでは、ミス・マープルはある意味で「恐ろしい」女性として描かれていて、行動的な部分もあって完全な安楽椅子探偵でもなかった。
(2020年11月2日読了)



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