メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (百十七) 

2021年07月03日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「あら? 素敵な小物入れね。あなたには、ちょっと似合わないわ。あたし位の年齢にならなくちゃ」
 武蔵がトイレに立った折に、初めて席に着いた典江が小夜子に詰め寄った。
武蔵からのプレゼントだろうと、あわよくば取り上げてしまおうと考えた典江だ。
「こらこら、人の物を欲しがるな! お前さんの悪いくせだぞ 」
 すかさず、梅子が嗜める。首をすくめて、その小物入れを小夜子に戻した。

「これだけは、だめなんです。あたしの宝物なんです、アーシアに貰ったものなので」
 頬ずりせぬばかりに、胸の前でしっかりと抱きしめた。
「あら?  この絵柄……えっ! ま、まさか。これ、アナスターシアから貰ったの? どうやって貰ったの? 何々、何て書いてあるの! 」
 特異なロゴを目ざとく見つけた典江が、声を荒げた。
「“小夜子へ、アーシアより” ですけど」

「どういう関係なの。ちょっと待って。あなた、さよこって言ったわね? ひょっとして、ファッションショーに出なかった? 」
「マッケンジーさんのですか?」
 典江のあまりの剣幕に気圧された小夜子は、小声で聞き返した。
「ああ、そうなんだ。そうよ、あなたよ。あたし、覚えてないかなあ。
うん、うん。見覚えがあるとは思ったけど。そっかあ、あなただったんだ」
 ひとり悦に入る典江に、おしゃべりに興じていた他の女給たちが口を揃えた。

「なになに、どういうことなの?」
「この小夜子ちゃんが、あたしの敬愛するアナスターシアのお友だちってことですよ」
 小夜子をしっかりと抱き寄せて、得意げに典江が言う。
「ああ! 雑誌に載ってた、新進若手モデルって、この子?」
「うーん、なんとか小夜子……そう、竹田、竹田小夜子だ。ね、雑誌にね、載ってたよね、、、 」
 小夜子の両手を大きく上下させながら、典江が興奮している。

「そうなんです。掲載しない筈だったのに、載せられちゃって。
おかげで学校にバレちゃいました。退学騒動になっちゃって。
わたしとしては退学でも良かったんですけど、結局は停学処分に決まって 」
「良かったじゃないの。退学というのは、だめよ。あたしは、退学なの。
でさ、父親のコネを使って就職を狙ったけど、だめ。あたしの素行不良がたたって、父が諦めちゃった 」

「何だ、そりゃ。情けねえ親だな。ごり押しすりゃいいのに。
俺だったらやるぞ。可愛い典江のためだ」
 後ろから武蔵が、顔を覗かせた。
「イヤだもう、社長ったら。 どさくに紛れて、どこ触ってるの。
珠江ちゃんが睨んでますよ!」

>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)





この記事はナビトモではコメントを受け付けておりません

PR







掲載されている画像

    もっと見る

上部へ