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平成の虚無僧一路の日記

漆黒の闇 

2011年08月30日 外部ブログ記事
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8/30 中日新聞掲載 五木寛之『親鸞』

「念仏して病が治るわけでもない、暮らしが楽に
なるわけでもない。ならば、なんのために念仏を
唱えるのか」という民衆の疑問に、親鸞は子供の頃の
体験を語りだした。

「9歳の時、比叡山の奥深くにある横川(よかわ)まで、
重い荷物を届ける役目を仰せつかった。

夜になり、月の光を頼りに深山幽谷の山道を登る。
月が陰れば、漆黒の闇。崖伝いの道を這うように
進んでいったが、滝壺の音が聞こえ、手足がすくんで、
一歩も前へ出られなくなってしまった」と。

私も経験ある。南木曽から大平峠を越える時、夜に
なった。最初は月が出ていたが、雲で月が陰ると、
一寸先も見えない。自分の足元も見えないのだ。

山道は曲がりくねり、すり足で進むが、道の両側に
生い茂る草木が体に触れ、蜘蛛の巣が顔にかかり、
全く先に進めない。そこへ、車が登ってきた。

木々の間から、ヘッドライトの明かりが漏れ、
ほのかに辺りを照らす。七曲りを登ってくるから、
ライトの方向はグルグル廻る。

車一台しか通れない狭い山道だが、車はかなり
飛ばしてくる。深夜に、こんな山奥で、まさか
人が居るとは思わないだろうし、まして白装束に
天蓋を被った虚無僧がいたら、びっくり仰天、
ハンドル操作を誤って谷底に転落しかねない。

そう思うと、私は、道端に身を隠す場所を求めたが、
なにせ真っ暗。左は谷底。少しずつ足で探って、
草の中に身を隠した。

車が去れば、また漆黒の闇。そこで身動きせず、
夜が明けるまで待つことにしたが、時折「カサカサ」と
草葉が擦れ合う音がする。鹿か猪か、何かが居るようだ。

恐ろしい夜だった。いや、通り過ぎて行った車が
一番恐ろしかった。その車も、私に気づいたのか、
猛スピードで走り去っていった。彼は「山中で
幽霊を見た」と、恐ろしい体験を人に話したかも。

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